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無人島自給自足キャンプで野生に目覚めた話(後編)
皆さんは野生の本能に目覚めた時ってありますか?わたしの場合は20代後半の時にボーイスカウトで体験した「無人島自給自足キャンプ」がまさに自分自身の野生の本能を感じた体験でした。
今回は前編・後編に分けて“無人島自給自足キャンプ”の体験を振り返ってみたいと思います。
(前編はこちら)
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前編では愛知県の三河大島を舞台に繰り広げられた3泊4日の“無人島自給自足キャンプ”の初日~2日目に起きた出来事をお話しました。後編では3日目~最終日にかけてのお話をしたいと思います。
初日はレジャー感覚が抜けきれなかった総勢18人の社会人・大学生を中心としたチームは、初日の悪夢のような晩ご飯で“覚醒”し、2日目から狩猟民族のように“生きていくための狩り”に没頭しました。
そのおかげで狩りで得られる魚や貝などの“収穫”も大幅に増え、2日目からは1日2食はまともなおかずで食事ができるようになりました。
当然ながらチームの士気は狩りの収穫量に比例して高まっていきます。3日目はさらに上を目指そう、ということで「山班」「貝班」「釣り班」に加え、投網やモリを使ってさらなる成果を得ようという猛者も現れました(そう簡単にはいきませんでしたが・・)。
2日目と同じく早朝から狩りをはじめて昼食を済ませ、午後の狩りまで小休止をしていたそのときでした。「奴ら」が現れたのは。
「奴ら」とは“海の暴走族”です。わたしも初めてこのときに見たのですが、「陸」ではなく「海」の暴走族です。イメージ湧きますか?
小型ボートやマリンジェットを派手にデコレーションしたり、エンジンを改造したり、そういったマシンを駆る20人くらいの集団がわたしたちが狩りをしていた浜に突然来たんです。
「?????」最初はもうわけが分からず、呆然と“海の暴走族”たちの暴走行為を眺めていました。マリンジェットでスピード勝負をしたり、曲芸を競い合ったり、こちらのことは一切構わずやりたい放題。
当然そんな状況では晩ご飯のおかずを調達することはできません。当時のわたしも含めチームの中には血気盛んなタイプもいましたから、だんだんと彼らの行為に腹が立ってきて一触即発の雰囲気になっていきました。
ただ、僕らはボーイスカウト。いくら不条理とはいっても怒りを抑えて“海の暴走族”たちに事情を説明すると理解してくれて、1時間ほどで撤退してくれました。
これは後日談として聞いたのですが、彼ら(海の暴走族)にも縄張りのようなものがあるらしく、以前は別の場所で暴走していたようなのですが、僕らがキャンプを張っていた三河大島の西浜エリアはあまり人が寄り付かないエリアなので、「あの場所だったら多少はしゃいでもいい」と言われたそうな。・・・えらい迷惑なんですけど。
といった大きなハプニングが3日目にありましたが、狩りに手慣れてきたわたしたちは十分な収穫を得て、最後の晩ご飯はこれまでで最も豪勢な食事にありつくことができました。
食後は夜の浜辺で皆で遅くまで星空を眺めながら、まったりと過ごしていました。
「色々あったけど、明日には東京に帰るのか。もう少しここで過ごしたかったよね」こんなセリフも飛び出すほど無人島での自給自足キャンプを楽しめるたくましさが皆に備わっていました。
そして最終日。名残惜しさもあっていつもより少し早くテントから出て浜辺に目を移したときでした。
「これはどういうことだ???」
わたしたちの眼前に飛び込んできたのは、浜辺に打ち上げられたおびただしい数の魚たちでした。恐らくイワシだったと思います。打ち上げられて間もないのか、勢いよくどの魚も跳びはねています。
しばらく呆然としていたときに、釣りに詳しいリーダー格の方が「これは魚の群れが捕食者となる大きな魚に追われて浜に逃げ込んだんじゃないか」と話をしてくれました。後から調べてみましたが、こういった現象は全国でよく起きているようです。
「いやー、これ最終日じゃなく1、2日前に起きてくれれば。なぜよりにもよって今日?それ早く言ってよ~」
恐らくチームの全員が某有名CMと同じセリフを叫びたかったことでしょう。しかし最終日、何とも言えないエンディングに動揺しながらも気持ちを切り替えて東京への帰路につきました。
こうして後にも先にも経験できないであろう3泊4日の“無人島自給自足キャンプ”は幕を降ろします。今でもふと人生の中でもう一度やってみたい、と思う貴重な経験でした。
皆さんの中にも“野生に目覚めた経験”や“海の暴走族と遭遇した経験”をお持ちの方がいらっしゃると思いますので、是非教えてください!