レスリーを2台使う理由
[Ver 1.1]
昔から通常ハモンドを演奏する時、可能な限りレスリースピーカーを2台使うようにしています。元々のきっかけは大昔…1980年ぐらいかな、ジミー・スミスのステージを見た時…確か名古屋厚生年金会館だったか、B-3の後ろに2台のレスリー122がセットしてありました。
その時は単純にカッコいい!と思ったのですが、家に戻って当時家で使っていたハモンドB-3000(B-3生産中止後に開発されたLSI音源のハモンド)に2台のレスリー147を繋いで鳴らしたら…おおっ、
いい音!なんだこれは!
サウンドが二乗になったかの様な効果があったんです。
それ以来、プロミュージシャンになってからは可能な限りレスリーを2台使うようになりました。
通常、特に日本ではハモンドオルガンにレスリー1台という「夫婦」的接続が一般的ですが、アメリカでは複数繋ぐのが珍しくない環境で、特に教会では教会の角角にレスリーが置いてあるなんて事はざらです。
有名なところではジョン・ロードがレスリー4台スタック、8台のバージョンもあったり…果てはリー・マイケルズなんかは16台(!)という伝説もあります。
かわいはというと、過去に日本で3台、アメリカでは6台までのスタックを経験しています。
さて、2台というと音量が凄く大きくなるように感じますが、実はそんなでもないです(笑)。もちろん1台から2台になればそれなりに音量は上がります、が、それはそれ、レスリーはパワーアンプ内蔵スピーカーですから先ずは本体でボリューム調整が可能なわけで、その範疇の中をオルガンのエクスプレッションペダルでコントロール出来るのは、さながら大排気量、高トルクのスポーツカーをコントロールするかのようなものです。
1台でも元来の複雑なトレモロ効果が2台になる事によって互いを干渉し合いながら、より複雑な波となってサウンドをうねらせていく、更には音圧感と広がりが得られてハモンドサウンドがより豊かになるのです。
2レスリーの効果についてを聞かれるとこう答えるようにしている。
「クワイヤの様に複雑なビブラート、抑揚、音圧をコントロール出来る」
ただ馬力がある分、取り扱いには注意が必要なのは言うまでもない。
2台のレスリーの間に身を置いたら…本当にヤバい事になります(笑)。
2台の接続方法はオルガンからモノラル出力されたものを、ふたつに割って接続する単純なもの。
ここまで「2台使うと凄くいい!」と書いてきましたが、ひとつだけ例外があります。大きさの違うレスリー2台を使うと、思ったような効果が得られなくなるのも興味深いです。
というわけで、大きく重いレスリースピーカーをわざわざ2台も使う理由、伝わりましたでしょうか?
そもそもレスリースピーカーって何?という方、それも追々書いていこうと思います。
*2022年9月20日加筆/校正