★サンブルエミューズの21(アルセナール)
🌈当記事を見つけて下さって、ありがとうございます。
今回は上位指名馬アルセナール(牝馬)のエントリーです。いけぽぐでは運よく一本釣りすることが出来ました。とても嬉しいです。その他POGでもご一緒にされる方がおりましたら、宜しくお願い致します。
サンブルエミューズ2021 牝(アルセナール)
父:エピファネイア
母:サンブルエミューズ
母父:ダイワメジャー
厩舎:木村哲也(美浦)
馬主:キャロットファーム
生産:ノーザンファーム
母サンブルエミューズは27戦3勝。クラシック路線では成績が振るわず、3歳時は辛酸を舐める日々でしたが、1400m以下に矛先を向けてから成績を上げ始め、中でも後のアイビスSD2着馬シンボリディスコに3/4馬身差まで迫った駿風Sのパフォーマンスは着順以上に中身がありました。意欲的に遠征競馬を行いながら6歳春まで走り続けた頑健さも長所で、競走成績トータルでは測れないプラスアルファを備えた孝行牝馬でした。
サンブルエミューズの潜在能力は繁殖入り後に大きく花開き、ヴェスターヴァルト(父ノヴェリスト/4勝)、ナミュール(父ハービンジャー/チューリップ賞)、ラヴェル(父キタサンブラック/アルテミスS)と断続的に優秀な産駒を輩出、新進気鋭の有望繁殖として、一気に注目の的となりました。また、上記産駒の父は"全て異なる種牡馬"であるという点も、同馬の並外れた繁殖能力を如実に示しています。
サンブルエミューズの母ヴィートマルシェも繁殖牝馬として大成功を収め、JRA出走7頭中7頭が勝ち上がり、全頭が2勝以上をマークしています。マルシュロレーヌ(BCディスタフ)、バーデンヴァイラー(マーキュリーC、佐賀記念)、グレナディアーズ(5勝)、リリーバレロ(4勝)、同サンブルエミューズ(芙蓉S)、アヴニールマルシェ(東スポ杯2着、新潟2歳2着)など、産駒のバリエーションは非常に多彩で、同馬の神がかり的な繫殖力を強調しています。
ボトムラインにサンブルエミューズ~ヴィートマルシェといった名繁殖牝馬が並ぶ本馬アルセナール、これは要するに「ブラックタイプが濃い」であり、若駒を評価する方法としては古くから存在するありふれたファクターです。しかし、同世代最上位クラスの能力馬を「複数頭」選び出すことが求められるPOGにおいて、高い競走能力を安定的に伝える名繫殖牝馬の存在は非常に頼もしく、血統チェック時にウェイトを置いて精査している超重要項目です。
「サンデーサイレンス+ノーザンテースト≒Vice Regent」を内在する繫殖牝馬は近年非常に勢力旺盛で、同サンブルエミューズ(仔ナミュール&ラヴェル)、パルティトゥーラ(仔タスティエーラ)、スペシャルグルーヴ(仔ジュンライトボルト&グルーヴィット)などが素晴らしい遺伝力を披露してます。直近のクラシック勝ち馬を送った配合形態は"流行の発端"となるケースが珍しくなく、上記パターンを保持し、既に重賞勝ち馬を2頭送っているサンブルエミューズには警戒の目を光らせておく必要があります。
ちなみに、前述マルシュロレーヌ(BCディスタフ)も同様に「サンデーサイレンス+ノーザンテースト≒Vice Regent」を保持しています。競走馬のみならず繁殖牝馬としても確固たる地位を獲得するかもしれません。ドレフォンが配されて誕生した初仔(マルシュロレーヌの2023)には要注目です。
サンブルエミューズは「ダイワメジャー×フレンチデピュティ×ダンシングブレーヴ」という累代だけに、配合相手には本格的な中距離型の種牡馬を持って来た方がカチっと配合が決まります。これまで送り出した仔とその父を並べると、ヴェスターヴァルト(父ノヴェリスト)→ナミュール(父ハービンジャー)→ラヴェル(父キタサンブラック)ですから、まさに判で押したような本格派ばかりが並んでいます。シンボリクリスエス×スペシャルウィーク×Sadler's Wellsという重厚感満載のエピファネイアは、まさに同条件をピタリと満たしています。
サンブルエミューズに初めてSadler's Wellsの血が導入されたところも本馬を推す理由のひとつです。サンブルエミューズの父ダイワメジャーの代表格メジャーエンブレム(桜花賞、阪神JF)、レシステンシア(阪神JF)、アドマイヤマーズ(香港マイル、NHKマイルC、朝日杯FS)はいずれもSadler's Wellを取り込み、数々の大レースを席巻しました。
母父として一大旋風を巻き起こしているキングヘイロー。その父ダンシングブレーヴは日本のみならず海外でも支配力を強めていて、33年ぶりにND系以外の英愛リーディングに輝いた大種牡馬Dubawi、上質なスピードを伝えるInvincible Spiritの後継Kingman、絶え間なく活躍馬を送り出す人気種牡馬Oasis Dream(Kingmanの叔父)、ドバイWC勝ち馬で20年より本邦供用開始のアニマルキングダム、これらは全て"母方にダンシングブレーヴ"を内包しています。
キョウエイマーチからダンシングブレーヴの血を受け継ぐサンブルエミューズ。同馬の威光なくして高次の繁殖能力なし、と形容しても決して大袈裟ではありません。"超流行血脈を保持する繁殖牝馬の仔を狙う"、これもPOG馬選定の際に重要視すべき要素です。
キョウエイマーチが送り出した4頭の仔のうち、最も顕著な成績を残したのはスペシャルウィークとの間に誕生したトライアンフマーチ(皐月賞2着、京王杯2着、京都金杯2着)ですが、本馬アルセナールの父エピファネイアは母父スペシャルウィークですから、久方ぶりにスペシャルウィークとキョウエイマーチが”血統内で再開”を果たした事になります。血統内における両者の共存は、トライアンフマーチとアルセナールのわずか2例しか存在しません。代を経て再び顔を合わせたスペシャルウィークとキョウエイマーチの化学反応は極めて興味深く、アルセナール飛躍の大きな後押しとなるでしょう。
エピファネイアとサンブルエミューズのカップリング馬ですから、プロフィール的にはベタ中のベタではあるものの、サンブルエミューズに初めてエピファネイアが配された配合形態にはとにかく推し要素が満載で、良血馬の一言では片づけられない「特別感」がひしひしと漂っています。
敏感な性格のエピファネイアと体重維持に難があるサンブルエミューズの仔だけに、ネガティブな要素が付きまとうのは事実です。しかし、ここまで書いてきたように血統的ポテンシャルは世代屈指、スムーズに競馬に向かえればほぼ出世は約束されていると言っても過言ではありません。今期牝馬の最上位評価は本馬アルセナールとしました。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。皆様に、競走馬との良いご縁がありますように🙏