日本の国家安全保障90年代 87
国家安全保障 マス・メディアにおける論議 1990年代
オピニオン・リーダーたちの安全保障論 1990年代
政治部記者の安全保障観
雑誌「文芸春秋」1996年1月号では、
「現役政治部記者107人が選んだ 21世紀のリーダーは誰か」
と題したアンケートを掲載した。
アンケートでは
鳩山由紀夫、
船田元、
谷垣貞一、
加藤紘一
の4名が圧倒的上位に位置している。
選出した現役政治部記者は、
読売新聞、
朝日新聞、
毎日新聞、
産経新聞、
日本経済新聞、
東京新聞、
共同通信、
時事通信
の8社である。
鳩山由紀夫氏は
「駐留なき安保」と国際協力部隊
を主張していた。
盟友は「センター・レフト」の菅直人氏だった。
加藤紘一氏は
60年安保闘争で日米安全保障条約に反対するデモに積極的に参加した東京大学の左翼学生で、
「日米中は正三角形の関係」を主張する、すなわち日米の中国への擦り寄りを主張する親中派、
谷垣禎一氏は
加藤紘一氏の腹心である。
船田元氏は
憲法改正による防衛力の強化を目指していると思われる。
この結果は、日本のマス・メディアを反映していて、
主流派は
政治思想的にはリベラル左派思想、
防衛には消極的、
国際協力は積極的、
国家意識、国家主権意識、民族意識・国民意識の低いというものである。
非主流、少数派は
中道派で、
防衛に力をいれる、
というものである。
こうした二つの流れが主流だった。
日本には
保守思想や右派思想を支持するジャーナリスト、マス・メディアは少なく、
左に偏った状態であり、
このような状態では国民がまともな判断を下すのは困難だった。
ジャーナリスト、マス・メディアの思想の押し付け、バランス感覚の無さと意識の低さは国家、国民に甚大な被害を与えている。このことは何時の日にか歴史的に総括されなければならないだろう。