生歌!生バンド!最高!「First Bullet~Shotgun Rose One-Man Live~」レポート
2020年11月1日、鈴鳴すばる・AZKi・水科葵によるラジオ番組
「すばるあずきみずしーの3コードミラクル」から結成された番組限定ユニットShotgun Roseのワンマンライブがニコニコ公式生放送にてオンライン開催された。
本記事では3人の歌姫によるユニットShotgun Roseがどんな音を奏でたのか述べていこうと思う。
1.進行役・AZKiパート
開幕。治安の悪いギターとドラムの音が鳴り響いていた待機画面から、Shotgun Roseの3人が「3コミわー」と挨拶をしながら登場、散弾銃を構え撃つポーズを取る。Twitterの実況タグやライブのスクリーンショットに関する前説が行われた。
そしてついに歌が始まる!と思われた矢先、始まったのは「3コードミラクルがミラクルな行動をする」。ラジオで3人が毎週している、3人が力を合わせてミラクルを起こすコーナーだ。いつもはミラクルが成功しないとラジオが始まらないが、今回はライブが始まらないという由々しき事態だ。
挑戦内容は「音を合わせましょう」。今回は生バンドのライブということで、バンドメンバーが弾いた楽器の音を聞き、Shotgun Roseの3人がせーので口にした擬音が合えばクリアという内容だ。3人の口から様々なオノマトペが飛び出し、会場とコメントから笑いが起こる。
そして何度目かの挑戦で音を合わせ、ついに歌が始まる。1曲目はこの日発売されたばかりのEP「Shotgun Rose」から「Million stars for you」。疾走感のあるギターとドラムがワクワクを加速させ、メインボーカルのすばる様の格好いい歌声に、AZKi先生とみずしーの透き通った歌声が華を添える。歌いながらエアギターを弾き、曲の締めで腕をグルグル回すShotgun Rose。この楽しい振り付けはすばる様が考えたという。さすがダンス&ボーカルユニットまりなす(仮)のメンバーだ。
1曲目の後のMCではラジオ番組「すばるあずきみずしーの3コードミラクル」や自己紹介とライブへの意気込み、ライブチケットや今回のオリジナルギフトなどの説明がされた。また今回進行は交代制で最初はShotgun Roseのリーダー「開かずの扉」ことAZKi。ミラクルを起こすコーナーや、進行が交代制なのは普段のラジオと同じ構成にならっているようだ。
そして今回演奏をしてくれる「サカノウエヨースケ with SPIRAL SPIDERS」が紹介され、「Million stars for you」の作詞作曲を手掛けたサカノウエヨースケ氏から曲の説明が入る。番組プロデューサーからの指示は「治安悪い感じで」だったので、超最速ビートな激しいロックにしたとのこと。その難しい曲を見事に歌い上げたShotgun Roseを賞賛した。
2曲目からはソロ曲のコーナー。すばる様の「Next world」から始まる。キレキレのダンスと美声、そして生バンド演奏で興奮しないわけがない。歌っているすばる様は、普段の可愛く面白いトークをしている姿からは想像できないギャップがある。
次はAZKi先生のソロで「青い夢」。感情を込めた歌唱と生演奏のピアノが感情を揺さぶってくる。「……守れないよ。」の無音からピアノ演奏が始まり「愛が君を救えるなら」で一気に全員の音が合流するのは、バンドメンバーの演奏の動きも相まって静から動へのギャップが凄まじかった。
すばる様、AZKi先生とくれば次はもちろんみずしーのソロ「メロウ」。生での披露はこのライブが初となる。水中を思わせる音と幻想的な演奏、浄化される透き通ったみずしー歌声は、MVの世界観を一瞬で再現した。「メロウ」のMVは全人類に見て欲しい。
2.進行役・水科葵パート
3人がソロ曲を1曲ずつ披露したところで進行役を「ツッコミ番長」のみずしーに交代、そして2度目の「3コードミラクルがミラクルな行動をする」のコーナーが始まる。テーマは「何と言っているんでしょうか?」。バンドメンバーがある言葉を音だけで表現し、Shotgun Roseの3人がその言葉を正解したらミラクルとなる。1回目同様苦戦するが、バンドメンバーのしゃべるような演奏と「夏の食べ物」というヒントから、3コミのラジオ内でもやった「流しそうめん」を見事正解した。
そして始まる本日発売のEP「Shotgun Rose」収録の2曲目、AZKi先生がメインボーカルの「Devil&Angel」。格好いいロックサウンドと歌詞と、3人の可愛い歌声とダンスのギャップが楽しい。散弾銃を撃つ治安の悪い振り付けに合わせて、散弾のオリジナルギフトが贈られ視聴者との一体感もバッチリだった。
サカノウエヨースケ氏の解説では「Million stars for you」より「Devil&Ange」を先に制作し「治安が悪い」という連想から「Devil&Ange」という曲名にしたとのこと。そしてShotgun Roseの3人の三者三様の歌声を歌の総合格闘技と評した。苦労した点として、どこを絞ってどこを聴かせたいか、3人の歌の分量に悩んだことをあげていた。また収録時のエピソードとして、すばる様が歌入れの2時間前から準備していたことが明かされ、褒められたすばる様が照れていたのが可愛かった。
2度目のソロパートの最初はすばる様の「Chain Gang」。本来はまりなす(仮)の4人で歌う曲を今回は1人で歌っている。しかし1人でもセクシーな歌とダンスは健在で、この曲もまた独特の治安の悪さを感じさせた。
続くAZKi先生のソロは1stアルバムの表題曲「without U」。AZKi先生と開拓者の共依存や歌への情熱を感じさせる曲だ。この曲はAZKi先生自身のソロライブでも何度も披露しており、私にはいつもの歌詞を表示する演出が見えた気がした。
AZKi先生がみずしーにバトンタッチする際、視聴者に「バンバンやってね」と次に歌う曲を示唆した。当然みずしーが歌う曲は「鮮紅の花」。コメントも真っ赤に染まり、バンバン!という音に合わせて散弾のギフトが贈られる。みずしーの「咲き誇れ!」は何度聴いても凛々しく格好いい。
一旦ここで歌は休憩タイム、生バンドの良さや、3人がお互いの歌を袖から見ていたときの感想を語り合う。話題はラジオに移りユニット名「Shotgun Rose」が当初「三段腹」から始まり「散弾薔薇」に変化し「Shotgun Rose」が生まれた思い出を振り返る。
AZKi先生が半年前ラジオですばる様と初めて会った時、第一印象で「仲良くなれそうにない」と思った話にも触れ、今では初対面のスタッフから「仲良すぎないですか?何年一緒にいるんですか?」と言われるレベルになったことを喜んだ。
そしてここから始まるのは2人ユニットでの歌。最初はAZKi先生とすばる様によるAZKi先生のオリジナル曲「ERROR」。ロックな「AZKi BLaCK」シリーズのサウンドとすばる様の凛々しい声の相性は良く、AZKi先生とすばる様も長年の相棒のように息の合った歌唱を聴かせてくれた。
次はAZKi先生とみずしーの番。歌う前に2人が初めて会ったAZラジMAXの日のことを振り返る。最初は真面目で他人行儀だった2人も1年以上の付き合いを経て、一緒にライブに行ったり好きなものを語り合い仲を深めてきた。そんな2人が歌うのはみずしーもカバーした思い出の曲「いのち」だ。
「いのち」はAZKi先生のオリジナル曲でも屈指の感情を揺さぶれる曲で、何度も開拓者たちを全滅させてきた。その曲を思い出の曲としてこの2人が歌えば、「床になった」というコメントが大量に流れるのは自然な流れだろう。私も2人が向かい合って「大丈夫ずっと私は歌い続けるから」と一緒に歌った場面でもうダメだった。
2人ユニットの歌の最後の組み合わせすばる様とみずしー。正反対の性格の2人だが、今ではすばる様がみずしーを「まりなす(仮)のメンバー」と言うくらい仲が良いと言う。
そんな2人が歌うカバー曲は「TK from 凛として時雨」の「unravel」だ。凄まじい熱量の歌で、バンドの演奏も大きく体を揺らしあらぶっていた。すばる様も歌いながら踊りたくなってしまい、アドリブで振り付けを付けてしまったことを歌った後に明かした。
3.進行役・鈴鳴すばるパート
ここでいったん休憩ということでトークが始まる。進行役を「お弁当係」のすばる様に交代し、またこの3人でライブをやりたいこと、今日食べた牛タン弁当の話などに花を咲かせる。牛タン弁当の写真と重なったAZKi先生が茄子に見えるというコメントで笑いが巻き起こった。
ライブも後半戦に入り、ここからは3人でカバー曲を歌う。1曲目は「ヨルシカ」の「だから僕は音楽を辞めた」を熱く熱く歌い上げた。
続く曲は「コレサワ」の「たばこ」。AZKi先生が歌ってみた動画を出し、みずしーも弾き語り歌枠で歌っている曲だ。失恋のバラード曲を三者三様の切ない歌声で歌う。3人のハモリが素晴らしく生バンドの演奏も涙腺を優しく刺激してくれた。
カバー3連続の最後は「LiSA」の「紅蓮華」。親の声より聞いた今のトレンド曲だ。3人とも盛り上がる曲を歌いながらリズムを取っていたが、その中でもすばる様の動きがひと際大きく楽しそうだった。
最後の曲の前に「サカノウエヨースケ with SPIRAL SPIDERS」のバンドメンバー紹介を行う。「世界は忘れていくだけだ」を作詞作曲したイズミカワソラから、歌詞にみずしーがTwitterに投稿していた深夜ポエムを参考にしたという制作秘話が語られる。
この流れのままShotgun RoseのEP最後の曲「世界は忘れていくだけだ」を歌う、と見せかけて始まる「3コードミラクルがミラクルな行動をする」のコーナー。「ドレミファかぶっちゃやーよ」というShotgun Roseとバンドメンバー含めて全員でかぶらずに順番にドレミファソラシドを声や音を出すミラクルに挑戦した。予想通り難易度MAXのミラクルには苦戦したが、幾たびの失敗を乗り越え作戦会議を行い、バンドメンバーの紹介順に音を出していくように忖度することで達成した。
そして無事歌われる最後の曲「世界は忘れていくだけだ」。ピアノの音色が綺麗なこの曲を情感を込めて歌い上げる。すばる様が考えた3人の振り付けも息があっておりユニットの絆を感じた。ラストの曲にふさわしい切なく爽やかな曲を聴きながら、もうすぐライブが終わる寂しさを噛みしめる。
最後の曲を歌い終わり、それぞれが今日の感想を述べる。すばる様は「あと20時間くらいやりたい。リハから良すぎてライブに出ずに見ていたいくらいだったけど出て良かった。すごく楽しかった」、みずしーは「生バンドで歌う貴重な体験ができた。3人で歌うのが楽しかったからこの1回で終わらせたくない。Second Bullet希望!」、AZKi先生は「今オリジナル曲を作ってライブをしていることをラジオを始めたばかりの半年前の自分たちに言っても信じてもらえない、そのくらい一緒の時間を過ごして今日この日があって嬉しい。今日はこの3人と素敵なバンドメンバーと一緒にできた、我々音楽専門ですよ。たくさんのミラクルを起こして3人で今日この日にたどり着けて嬉しい」と述べた。
そして視聴者から次のライブを切望されながら、今日の終わりを惜しまれながら、バンバンばらばら~の声とともにライブは終了した。
まとめ・感想
生バンド・生歌の良さが際立つライブだった。この音たちの振動をリアル会場で肌で感じたいと強く思った。Shotgun Roseの3人が歌い踊る姿と、その後ろで頭と体を振り回し演奏しているバンドメンバーの姿が今も網膜に焼き付いて離れない。このライブを見て全国の視聴者が感じた興奮が、少しでも出演者に伝わっていることを願う。
Shotgun Roseというユニットは少し特殊だ。彼女たち3人は普段はそれぞれのまりなす(仮)、イノナカミュージック/ホロライブ、GEMS COMPANYというそれぞれ所属している事務所でユニットやソロとして活動している。
やはり同じ事務所内の方がコンビやユニットなども組みやすいのだろう。Shotgun Roseのようなメンバーが別々の事務所に所属しているVTuberのユニット、それもオリジナル曲を出してライブをしているとなると、現状ではかなり珍しい。
しかし私はこの事務所の壁を越えた活動に将来性を感じた。お互いのオリジナル曲をカバーしたりデュエットしたりできれば、選曲の幅も大きく広がる。いつかホロライブの公式曲をホロライブ以外のVTuberが歌う日が来るかもしれない。そういう文脈を作れる可能性を、Shotgun Roseから感じた。
ライブの最後で今日の感想を述べた時の、AZKi先生の「我々音楽専門ですよ」という言葉が印象に残っている。Shotgun Roseの3人がいかに音楽が好きで、ずっと歌い続けたいと思っているかを強く感じる一言だった。
このライブは「First Bullet」と銘打たれている。3人の歌姫が放った弾丸は、たしかに視聴者の心臓を撃ち抜いた。この最初のワンマンライブをさらに上回る「Second Bullet」の開催を期待している。
「First Bullet~Shotgun Rose One-Man Live~」セットリスト
1.Million stars for you(ShotgunRose)
2.Next world(鈴鳴すばる)
3.青い夢(AZKi)
4.メロウ(水科葵)
5.Devil&Angel(ShotgunRose)
6.Chain gang(鈴鳴すばる)
7.without U(AZKi)
8.鮮紅の花(水科葵)
9.ERROR(AZKi・鈴鳴すばる)
10.いのち(AZKi・水科葵)
11.unravel(鈴鳴すばる・水科葵)
12.だから僕は音楽を辞めた(ShotgunRose)
13.たばこ(ShotgunRose)
14.紅蓮華(ShotgunRose)
15.世界は忘れていくだけだ(ShotgunRose)
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