「ホストに溺れた女」

これはYouTubeチャンネル「ホテル橋本のオリジナルラインストーリー」の下書き台本になります。LINEを作る上でこのようなストーリーを先に書いた上で作成しております。YouTubeはコチラです(https://youtu.be/euqHXapYIQ8)

風人(25)
職業 ホスト
イケメン、お酒好き、彼女なし、高校卒業後歌舞伎町に飛び入り、入った当初は挫折も味わったが、今ではNo.3の地位に、目指すはもちろんNo.1

明美(34)
未婚、事務員、嫉妬深い、恋愛経験浅め、彼氏出来たことない


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第1話

明美は学生時代からずっと暗かった。そんな自分が嫌で毎日会社に勤めながらいつ死んでもいいと思えるくらい毎日が充実していなかった。
そんな彼女に人生の転期が訪れる。
前の日にAmazonプライムでたまたま見た映画がとても面白く、翌日は勤務だということも忘れて最後まで見てしまった。映画の内容は純愛のラブドラマである。明美はこれまで誰とも付き合ったことがなかったが、人一倍興味はあった。理想が高すぎたのであろう。言い寄ってくる男性はちらほらいたが自分が求めるスペックでなかったため切り捨ててきた。そして避け続けたが故に未経験の34歳、「行き遅れのおばさん」会社では明美のことをそう呼ぶ連中もいた。明美もそのことには気づいており必然的に会社の中で自分の居場所がなくなっていた。
その翌日眠い目を擦りながら明美は起床した。出発の30分前に起きるのが彼女の日常だ。
女性にしてはかなり少なめの朝の準備、それもそのはず、彼女は朝ごはんも食べずにメイクもさほどしないからだ。この生活が続いてもう3年にもなる。明美は自分が30歳になった瞬間から何かを諦めてしまった。その日の業務は卒なくこなしたが、定時の18時になり退社し電車に乗ったあたりから様子がおかしくなった。昨日の疲れからかいつも降りる駅を通り過ぎてしまった。ふと気がつき電車を降りてみるとそこは歌舞伎町だった。
目の前に広がる激しいネオンに昨日見ていた映画を思い出す。
気がつくと自分の本能が反応したのか駅を降りていた。
しかしそこは歌舞伎町、チャラチャラした若者がうじゃうじゃいて、そこに薄化粧の三十路すぎのおばさん、自分で考えただけでも明らかに場違いだった。「やっぱり帰ろう」そう思った時「そこの綺麗なお姉さん、道に迷われましたか?良ければ自分が案内しましょうか?」と声をかけられた。
あまりにもありきたりなナンパの手法に明美は薄ら笑いを浮かべた。その声の方へ目を向けた時びっくりした。パッチリ二重に逆立った前髪、すらっと高い身長、ニッコリ笑うと中から見える白い歯、あくまで容姿だけだが、明美が男性に求めていたものずべ手が揃っていた。そう明美はこの瞬間わずか2秒間の間で一目惚れしてしまった。

風人は明美が一目惚れしたことは何となく察した。伊達に6年ホストをやっていない。
風人は出勤前で今から店に向かう途中だった。そこで偶然なんぱを試みたのだ。もちろん明美を女性としてみたのではなく、1人のお客さんとして。
その日偶然にも風人に指名客がいなかった。最近は1位の蓮也に店の話題を全て持っていかれていた。蓮也は今年23歳で風人より3歳も年下である。
その焦りは最近感じてきていた。今の風人に必要なのは「太客」であった。
そこで今目の前にいるのは、推定だが今自分に惚れている女性、どれくらいお金を持っているかはわからないが若くはないので少し期待。身に付けてるものを見てもさほど自分磨きをするタイプでもなさそう。もしかしたら今後自分を支えてくれる人になってくれ苦かもしれない。そう本能で悟った風人はもう一声かけてみた。
「今何されてますか?もしよろしければ僕が働いているホストクラブに来てみませんか?」
明美は緊張しすぎてうまく聞き取れなかったが、「ホスト」という言葉が聞こえてきて点と点が線で結びついた。「あぁこの人はホストなんだ。そりゃこんだけかっこいいわ。」
そして風人についていくようにして人生初めてのホストクラブに入った。
店内は見たことないくらいキラキラしていて少し目が痛かった。
ホストクラブに関してほぼ何も知識がなかったのでお金の面が怖かった。すごい金額を請求されるのではないかと。心配そうに財布に目をやった明美を見て風人が言った。
「お客さん、もしかしてホストとかって初めて?大丈夫安心して。何十万円も請求されるなんてことはないからここでは1時間飲み放題で1万円、まぁ普通の居酒屋に慣れていればかなり高額だけどね笑」そう言われ明美はホッとした。そして同時に風人への信頼感もさらに増した。明美の中でホストは女を騙し高額な酒を入れさせ大儲けをしているイメージだったからである。
その日明美は2時間風人とお酒を飲んだ。主に仕事の愚痴を聞いてもらい明美は大満足だった。会計は2万円と普通に考えたら高いと思うものも安く感じるくらいだった。帰りに風人は明美にLINEを教えた。明美は普段全くLINEなどしない、特に男性と事務連絡以外で連絡をとった記憶がほぼない。そんな中今大好きな風人からLINEを聞かれた。この瞬間明美は点にも昇る気分だった。明美の常識ではLINEのIDを聞く=好きな人にする行為という方程式があるため、風人も自分のことを好きなのではないか?と錯覚した。
その日は寝るまで風人とLINEをした。二日連続で寝不足になってしまったが、気分は最高の朝だった。今日別に風人に会う約束などないがいつもより30分も早く起きて化粧をした。
一方風人は、自分のもてる全力の優しさを明美に投じた。仕事内容を聞いた時事務の仕事ではあったが、なかなかの高給、そして趣味などがないため貯金がかなりあるのではないかと睨んでいた。風人のその予想は半分当たっていた。貯金はあるが、半分は実家の銀行に預けているため容易には下ろせない。
明美は翌日から一週間風人のことで頭がいっぱいだった。会いたい会いたい。しかし本当に会ってしまってもいいのだろうか?風人ほどの男なら自分以外にも連絡をとっている女がいても何らおかしくない。むしろ自分のようなおばさんと連絡をとっていること自体が異常なのではないかと。でもやっぱり会いたい。明美はこの一週間ほぼこのループに陥ってしまっていた。そして会社である事件が起きてしまう。取引先との会議の時間を明美が上司に共有し忘れていたのだ。もちろん明美はあくまで確認の作業だったので明美が連絡していなくても本人同士で確認をとっていればこのような状態にはなっていなかった。
一緒に仕事をしたのは後輩だ。誰のせいにされるのかなんてすぐにわかった。
明美と同じミスをした入社3年目の松本有紗は誰にも叱られなかった。彼女は会社のアイドルで、みんな彼女に惚れているからだ。松本は泣いてみんなに謝っていた。そのことが余計に松本の好感度を上げてしまい、誰も彼女を咎めなかった。
今回明美は泣いていないもののみんなに謝った。しかし周囲は明美を強く非難した。
明美はわかっていたが悔しい気持ちが溢れ、泣いてしまった、気がつくと明美は風人の店の前に立っていた。


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第2話

自分の味方になって話を聞いてくれる風人の存在は明美にとって大きかった。
会社では静かに過ごす彼女だが、ホストクラブでは風人と楽しくお酒を飲む。このギャップに明美は酔いしれた。
次第に明美の中で風人にもっと何かしてあげたいという母性本能にも似た何かが湧いてきた。このタイミングで風人の生誕祭がやってきた。生誕祭とはホストにとってとてつもない大きなイベントで、ここでお店にどれだけ利益を与えたかによってそのホストの価値が決まる。先月行われたNo.1ホスト蓮也は一晩で相当儲けたらしい。風人はこのままではNo.1はおろかNo.3すら危うくなってくる。ここで風人から初めて明美にお願い事をする。「再来週に俺に生誕祭イベントがあるんだけど来て欲しい」と、明美は初めて自分を頼ってきてくれたという錯覚に陥る。明美は二つ返事でOKと返し再来週に向けて準備をし始める。
そして迎えた風人の生誕祭イベント、明美は風人に「ハミルトンの時計」(十万円)をプレゼントするとともに店内ではシャンパンタワーを注文した。
その夜は明美の人生で最もお金を使った夜だった。風人は明美に感謝した。明美も風人の生誕祭を祝えて満足いくはずだった。しかし明美は納得いかなかった。なぜなら自分以外にも風人に貢ぐ女性がいたからだ。自分より高価なものをプレゼントする者、自分より若くて綺麗な者、ここへ来ても明美は自分の劣等感を感じてしまうことになる。
そして明美は劣等感だけでなく嫉妬心も同時に生成してしまうことになる。
その日の夜、風人に送ったメッセージがなかなか返ってこなかったことから、焦りを覚える。自分と連絡していない間、風人は一体何をしているのだろう。もしかして他の女といるのではないか。誰だ?生誕祭のあの場にいたものなのか?
このようにして明美は風人を思う気持ちが強い故に洲是手を知りたいという欲求に駆られた。風人はまだ確信はついていないものの明美の執着心の強さに少し警戒心を抱くようになる。


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第3話

明美の風人への想いは強くなる一方だった。彼が休みの日に何をしているのか。お昼何を食べたのか。今夜はどこにいるのか?最寄駅はどこなのだろうか?どこに住んでいるのだろうか?どんどん増していく独占欲、明美は自分のへの自信のなさから自らのイメージを悪くしていった。流石に自宅を問いただされた風人は明美が異常な人物だということを理解した。
次第に避けていくようになったが、ここで明美は風人に彼女がいることを突き止めてしまう。なぜ気付いたか。それは明美が風人のマンションの前でずっと張っていたからだ。
明美は激しい憤りを感じ風人にLINEをする。「この浮気者!!」もちろん風人と明美の間には恋人関係は存在しない。明美の一方通行だ。しかし明美の中ではもう結婚を前提に付き合っていた。「客に対して交際を認めるのなんてホスト失格」と豪語する明美に風人が一言「あなたはもう俺のお客様じゃない」
この後も明美のストーカー行為に対して激しく非難した。愛するものからの突き放しに落胆した。店はもちろん出入り禁止、家の前で待ち伏せていたこともあり警察からもう二度と風人氏に近づくことを禁止された。しかし湧き出てくる欲に自生させることが出来ずにまた風人のもとへ会いにいく。風人も我慢の限界がきて再度警察に通報、明美は現行犯で署に連行された。そのことは当然会社にも伝わってしまい、長年勤めていた会社をクビになった。あの日偶然にも歌舞伎町に降りて風人に声をかけられていなければ明美は今も会社に勤めていただろう。風人に会ってしまったことを彼女は後悔しているのか、それとも人生で一番好きになった男性ができたことを幸福に感じているのか。
彼女の真相は闇の中へ。。。

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