【書評9】自分の小さな箱から脱出する方法⑤
長編になってしまったこの本の書評は今回で最終回。
自分の小さな箱から脱出する方法
著:アービンジャー インスティチュート 監修:金森重樹、訳:冨永星
今までのまとめ
1:自分が他の人のためにすべきだと感じたことに背く行動を「自分への裏切りと」呼ぶ。
2:いったん自分の感情に背くと、周りの世界を、自分への裏切りを正当化する視点から見るようになる。
3:周りの世界を、自分への裏切りを正当化する視点から見るようになると現実を見る目がゆがめられる。
4:したがって、人は自分の感情に背いたときに箱に入る。
5:ときが経つにつれ、いくつかの箱を自分の性格とみなすようになり、それを持ち歩くようになる。
6:自分が箱の中にいることによって、他の人たちをもはこの中に入れてしまう。
7:自分が箱の中にいると、互いに相手を手ひどく扱い、互いに自分を正当化する。
共謀して互いに箱の中にいる口実を与えあう。
どうすれば"箱"の中から出られるのか?
本を読むと、箱による共謀の恐ろしさがよくわかる。
じゃあ、どうすべきなのか?みなさんはどんなしますか?
◯◯をしても意味がない。
箱の中にいるときにしても無駄なこと。
1:相手を変えようとする。
2:相手と全力で張り合うこと
3:その状況から離れること
4:コミュニケーションを取ろうとすること
5:新しいテクニックを使おうとすること。
6:自分の行動を変えようとすること
最初に読んだときは、ぼくが思いつきそうなことばかりで、八方塞がり。
じゃあ、なにをしたらいいのか?
「相手に逆らうことをやめた瞬間に箱の外に出ることができる。」 「相手に対する自分の感情に背くのをやめて、相手に抵抗するのをやめることは可能だ。」
と書いてあるが、感覚的すぎてわからない。
そのヒントが書いてあった。
人はさまざまな人やグループに対して、箱の外にいるときもあれば、中にいるときもある。 日常生活の中では実にたくさんの人々と関わる。 だから相手によってこちらが箱に入っている時間が長かったり、短かったりと差が出てくる。 しかしいずれにしても、人は箱の中にいながら同時に外にいることにもいられる。ここがポイントなんだ。 誰それのに対しては箱の中にいて、誰それに対しては箱の外にいるといった具合にね。
あの人に言うなら!
「Aさんに注意されたときは、非を受け入れて素直に反省する。
「Bさんに全く同じ注意をされるとむかつく!、お前にいわれたくない」
自分のした行為は一緒なのに、注意する人が変わると受け取り方が変わることはあるだろう。
でもそれもおかしな話だ。
注意する人が変わっても注意されるような自分の行為は変わらないからだ。
この場合、Aさんに対しては箱の外にいて、Bさんに対しては箱の中にいる。と言えるだろう。
箱の外にいる人と一緒にいると「実は自分が間違っているかもしれない」と自分の考えを疑うようになり、自分の偽善に気づき、物事をまっすぐ捉えるようになる。つまり箱の外に出るのだ。
誰と一緒にいるか。
「無駄な抵抗をやめろ!」
これは、ある研修トレーナーの方がおっしゃっていた言葉である。
2つのR。あれこれ言い訳(reason) を並べても結果(result)は変わらない。
今ある事実に無駄な抵抗をせずに、事実を素直に受け入れて認めることが箱の外にいるためには必要だ。
箱の外にい続けるには、自分が箱の存在を理解すること。
自分が箱の外でい続けるために自分が努力し続けること。
箱の中に入った事実を認めて、変わる努力をし続けること。
自分が箱の外にいられる人とのつながりを大事にすること。
自分は完璧じゃないことを認めて、本を定期的に読み続けようと思う。