究極の旅
山のお客さんが9割を占める寿庵ですが、時々旅人がやってきます。自転車、バイク、そして公共交通機関を駆使した18切符旅。すごいのは徒歩。それで日本一周中~!なんて人たちも。ほんと、いろんな人がいますね。数か月にわたって旅をしている人もあれば、基本的には仕事の休みをうまく利用して、頑張っても一週間。それでも、時間をうまく利用し、旅をしている人を見ると、私も働きながらもっとうまく時間を使って、旅をしたり登山をしたいな‥って思います。
少し前の話ですが、徒歩旅のお客さんを受け入れました。うちのお客さんが、ここを紹介してくれたのですが、海外の人で、ずっと歩いてる‥という情報を事前にちらっと聞いただけで詳細はわからず。
当日は英語であいさつ程度しかせず、その方もいろいろとすることがあり、すぐに部屋へ。一緒に歩いている日本人の方からいきさつとその方の背景を聞いたのですが、アフリカから歩きだし、南米を目指している!というなんかちょっと頭の中がバグるようなスケールでした。
聞けば、人類の進化のルートをたどっているとのこと。日本人で言えば、関野吉晴さんがいます。関野さんは10年近くかけて進化のルートをさかのぼって東アフリカでゴールでしたがこの方は東アフリカのエチオピアから2013年に歩きだし、今現在、日本を横断中。そして、ご縁あって寿庵の屋根の下を利用してもらえることになりました。
ポールさんは、ジャーナリスト。ナショナルジオグラフィックに寄稿したり、それ以外にも多くの雑誌に寄稿しているようです。報道において、ピューリッツァー賞も受賞されている方。とても温厚な方で、穏やかな口調で、私にもわかるようにゆっくりと英語で話しかけてくださいました。
経歴を知り、とても興味があるので、いろいろ話がききたい‥と、時間が出来たタイミングで聞いたのですが、逆に「宿を運営し、ここでコミュニティーを築いている、あなたの方がきっと興味深い人生を送っている」と言ってくださいました。そんなポールさんのことは下記のHPでぜひチェックしてくださいね。
ポールさんがこのあたりを歩くにあたって、少しばかり情報を提供。そして、寿庵の本棚にあった50年前の大山や米子の町の写真集や、明治大正昭和の大山の歴史を語る写真集に目を通し、とても興味深そうに見ておられました。
アメリカ国籍のポールさんはロシアへの入国ができないため、中国を横切り、そして船で韓国へ移動、それから日本へ。その中国の話をしてくれたのですが、経済発展が華々しい影で、昔から変わらない生活をしている農村エリアと、その日本の古き良き時代の生活が、少しリンクしたようです。コミュニティーを大事にし、その中で子供を育て、食物を育て、循環型の生活をしている。かつての日本もそうだったでしょうね‥と、そんな話をしてくれました。
ご一緒されていた日本人の方はアメリカ在住のようで、流ちょうな英語と、日本語で私とポールさんを交えて会話。言いたいことが言えないので、知ってる単語で回りくどく説明することしかできずに、もどかしい!と嘆く私に、要点をまとめて英語で伝えるアドバイスをしてくれました。
たった、1~2日の出来事でしたが、日々淡々と仕事をこなし、すでに旅へ出なくなった私と、ちょっと非日常を歩いている2人が同じ空間にいることが、なんだかうまく言い表せないのですが、ふわふわした不思議な感覚にさせてくれました。
起業してから旅欲は失せ、定住の道を選び、今はこれで満足し、特にそれ以上を望んではいませんが、少しだけ頭の奥に眠ってる旅の細胞が動いたような気がしました。
いや~~、なんにせよ。すでに10年も旅をしているポールさんの一瞬のサポートではあったのですが、一緒にこのグレートジャーニーを歩いているようなそんな気持ちになれました。
これからまだ北上し、北海道を目指すようです。寒くなるし、気を付けてくださいね。と伝えたら、日本はそんなに寒くはないよ‥とおっしゃってました。そりゃそうだ、10年歩いてりゃもっと過酷なところはたくさんあるはず。日本はそういう意味では、歩いやすい国なのかもしれませんね。
ポールさんの旅は「Out of Eden Walk」で検索できます。日本を旅する途中でも交流会などもあるようです。11月下旬には京都で、トークイベントが‥。行きたいけど、しばらく動けない~~。でも、またどこかでばったりと出会うことがあるかもしれませんね。そんな気がしてならない寿庵オーナーでした。
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