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シーズン最初のできごと

週末、大雪注意報も発令され、ひやひやしていた寿庵オーナーですが、天の神に願い通じたのか、程よく雪が降り交通機関のマヒも渋滞もなく、スムーズにお客様も大山に到着。山沿いでは80㎝!!と予報が出ていたのですが、実際は1日に2~30㎝程度。1日40㎝くらいまでは精神を病まないレベル。今のところ精神穏やかに営業できております‥

が、そうもいかない出来事がありました。

ニュースにもなった21日の大山の遭難。すでに日が落ちた18時、雪に阻まれ動けなくなった登山者からの救助要請。さすがに救助は次の日から開始ということで、一晩ビバーク。遭難者の情報も少なく状況が把握できていない‥と言うのが第一報のニュースでした。

そして、次の日に無事だという連絡が本人より入ったニュースを見て、生きている!と安堵。その後救助隊と合流し無事下山してきたのが夕方の6時前だったので、通報から24時間後の生還‥と言うことになります。

昨年も同じ時期に、同じようなことが起きました。マウンテンナイトの次の日に遭難事故。今年同様、山の上はホワイトアウトで吹雪、見通しの悪い中、先にすすめなくなった3人が山中でビバーク。この遭難に関しては下山までに48時間を要したので、命あってよかった~!とみんなが思ったことでしょう。

やはり12月はまだ冬になれない時なのでしょうか?必ずといっていいほど事故が起きています。

そんな気になるニュースをネットで追いかけた22日。昼前にチェックインをしてきた海外からのお客様は、登山目的。荷物を置いて、雪の降る中、山へ向かいました。

香港から来たMさんは、頭の先から足の先まできちんとした冬山装備を身に着けていました。ピッケルにアイゼンも持参。ただ、スタート時間が遅いうえに、天気が悪いので私も心配でした。同時に捜索中の救助隊もいるような日に、送り出すのもいかがなものかと思案。装備、経験ともに問題なさそうだったので、とにかく無理せずに、途中で引き返すように伝える。

下山予定時刻は18時。ヘルメットにヘッデンも装着。暗くなっても大丈夫とは言え、初めての山で、言葉の壁もある。私も彼が下山するまでソワソワ落ち着きませんでした。それと同時に、ネットで遭難の最新ニュースをチェックする。

昨年あたりから、アジア系のお客さんの冬山の問い合わせが増えてきました。欧米のお客さんは山になじみがあり、慣れた方が多いのですが、アジアのお客さんは雪も初めてという方も多い。

予約の時点で登山に関する相談がない以上、私がとやかく言うことはないのですが、山のことで聞きたい‥と相談を受ければ細かく案内。時にはやめるように伝えることもあります。でも、やめるように‥と言っても、とりあえず行けるところまで‥と言って、結局は登頂してしまいます。

Mさんは約束通り、18時前に下山。山頂はホワイトアウトで様子がわからないうえに、風も強く、トレースが消え、道がわからなくなった‥と話をしてくれました。結局、山頂へ登頂したのかすら本人は理解してなかったのですが、状況を聞くと「Almost」山頂だったので、登頂したと同じですよ‥と伝えました。※ヤマップなどのアプリも確認しルートは把握していたようですが、まったく先が見えなく迷ったようです。

下山時にたくさんの登山者に出会った‥と言っていたのですが、服装を聞くと救助隊のメンバー。無事に下山したとはいえ、一歩間違えば救助要請をしないといけないことになる可能性もあったわけなので、なんだかとてもドキドキしました。

でも無事でよかったね。

というと、

「18時までに下山しないと通報する!といったので、時間を気にして下山しました」

確かに、脅しではありませんが、万が一にどうするかを伝え、時間のリミットを設けました。何かあればすぐに私に電話すること、もし連絡がなければ救助を要請します!と真面目な顔で伝えたので、そこは気にかけてくれたようでした。

「大山はそんなに高い山じゃないけど、冬は怖い」

とMさん。怖さを理解してくれたこともすごくうれしかったし、真面目に冬山に取り組むようで、来年入ってすぐ八ヶ岳で冬山訓練付の5日間のツアーに参加すると教えてくれました。香港からは直行便があり比較的簡単に来れるようです。円安も幸いし、日本で冬山をするのはチャンスなのかもしれません。スキルも上げて次は青空の大山に来てくださいね。

Mさんが登った日の山頂の様子です。地元の方にいただいたのですが、まったく視界がなく、どこへ向かっているかすらわからなくなるレベル。

山頂台地の様子、看板が見えます

木道は一部見えていたようですが、木道とキャラボクのエリアと区別がつきません。

うっすら浮かび上がる木道

木道は1m~1m50㎝あたりに設置されているので、踏み抜くとキャラボク帯の中にはまり込み脱出できません。

実際、Mさんも腰まで雪の中にはまりしばらく抜け出せなかったようです。救助要請をした男性も雪にはまり身動きできなくなって救助を要請していました。単独行は怖い。携帯が通じるからこそ、救助を頼めるけど、これでバッテリー切れだと、発見されるまでに数日かかったはずです。せめて、グループで、もしくはガイドを雇ってほしい‥。

スキーのお客さんはそこまで心配しないんだけど、山はやっぱり心配。もちろん、ケガのリスクはゲレンデがもしかしたら多いかもしれない‥いずれにせよ雪というのはやはり一歩間違えると命にかかわる。私も除雪作業(屋根の雪下ろし)は気を付けないといけないですね。

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