共鳴都市3 : 妄想ショートショート048
共鳴都市3 : ハーモニー・オブ・フューチャーズ
リナの「Play Forward」プロジェクトは、都市のセンシビリティを音楽に取り入れ、未来への道筋を照らす。彼女は人間の感情とAIが解析する膨大なデータを交え、それを芸術へと昇華させる。リナの音楽は、不確実性を楽章にし、リスクをリズムに変え、都市のあらゆる角を照らし出す。彼女は都市AIメトロマインドの計算と人々の夢を合わせ鏡にし、それを通じて未来の都市が取り組むべき課題と可能性を共鳴させる。
「Play Forward」はまた、市民参加のプラットフォームとして機能し始める。リナの音楽を通じて、市民は自らの考えや願望をメトロマインドに送信できるようになる。それは投票や意見交換の場とは異なり、感情や感覚をデータ化し、都市の未来形成に直接貢献する。人々はリナの音楽を通じて、メトロマインドと共に創造する。それはコミュニケーションの新しい形として、AIと人間の新たな創発を具現化している。
やがて「Play Forward」は世界中の都市に波及し、それぞれの都市が独自のシンフォニーを生み出し始める。リナの創造したシステムは、都市間のネットワークを形成し、地球規模での共感的共生を促進する。都市はそれぞれの独特な音楽を共有し合い、国境を越えた調和と理解を生み出す。リナ自身もまた、このネットワークの一部として成長し、彼女の孤独なクリエイティビティは世界と深くつながる。
「Play Forward」は結局、リナが都市と人類に遺した遺産となる。彼女の音楽は時間を超え、未来へと引き継がれるメッセージとして流れて行く。メトロマインドとの共鳴は終わることなく、それは常に新しい未来を奏で続ける。リナはもはや一人の音楽プロデューサーではなく、未来の都市を形作る詩人となる。その旋律は、新たな世代の創造者たちを鼓舞し、人間とAIの共生する未来へと誘う。
おわり
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あとがきのようなもの
生成AIが誰でも使えるようになり、一年以上経ちました。その進化は目覚ましいものですが、まだまだ一般には浸透していません。インターネットやスマホの普及スピードよりも速くなるとは思いますが、人間は変化を嫌う生き物なので、どんなにインパクトの大きなものでも受け容れるまでは数年かかるでしょう。
しかし、AIによるアウトプットの変化は既に見え始めていて、それは今のところ個人的な小さなトライレベルかも知れません。
このストーリーでは、都市が巨大な生き物のように機能し、そこに流れるダイナミックなデータにより奏でられる音楽が未来の道筋まで照らすようになる。などという一体何のこっちゃ?の展開なのですが、今は小さな個人的な創造活動が辿り着く先が、人類の未来を創ることになる可能性もある。ということは意識していても良いかと考えています。
AIによって、既に他界したアーティストや、自分たちの若かりし頃の記録(データ)を学習させて、"懐か新しい"新曲が作られたりと、そんな事ができる様になったことも最初の一歩です。「Play Forward」はこれからです。