運を拾う男 : 妄想ショートショート020
運を拾う男
主人公の男は、早朝の愛犬との散歩を日課としていた。散歩のついでにゴミ拾いもする。時折他の犬の"うんち"も拾う。これが日常の一部となり、何となく毎日が明るく、健康的になったように感じていた。
しかしそれは単にポジティブな生活習慣に留まらず、日々の生活が望む未来へ向かう清流のように、明らかに良き出会いが増え、運も良くなっている実感がある。
ある日、男はふとしたきっかけで量子力学に関する論文に出会う。全てを理解するのは難しかったが、中で触れられていた"量子エンタングルメント"の概念に目を奪われた。何かのヒントがあると感じ、男はさらに調べを進めた。
無数の論文を読んだ後、男は突如としてヒラメキを得た。"うんち"を拾う行動が、何かしらの量子エネルギーの流れを変化させ、それが"運"の良さに影響を与えているのではないかという仮説が浮かんだ。男は手始めに、自身の行動と日々の運の変動を記録し始めた。
週末毎にそのデータを見つめ、考え、計算を重ねた。そしてある日、男は驚くべき数式を思いついた。
\[ \Psi (\text{運}) = \int \Phi(\text{うんち拾い}) \cdot \Xi (\text{運動}) \, d\tau \]
この数式は"うんち"を拾う行動と"運"の良さの間に存在する、微妙な量子的関連性を示していた。
この数式を携えて、男は地元の大学の物理学部に持ち込んだ。当然ながら誰も彼の話を真面目には受け取らなかった。しかし、ある若き量子物理学者が男の仮説に興味を示し、共同で研究を進めることとなった。
研究が進むにつれ、男の仮説は実際に一定の根拠があり、"うんち"を拾う行動が、量子エネルギーの流れを調整し、人の"運"を高める可能性があることが明らかになった。この発見は、科学界に新たな視点をもたらした。
そして、男の発見は世界中の人々の行動に影響を与えることになる。"運拾い"と名付けられたこの日々の小さな善行が、人々の心を温かくし、コミュニティの絆を強化した。世界中で多くの人々が"運拾い"の実践を始め、街は清潔に保たれ、人々の間の助け合いが増えた。地域社会はより調和し、幸福な空気が広がっていった。
男の単純な行動が引き起こした波動は、世界中に広がり、"運拾い"は日常生活の新たな徳となり、世界を少しずつ、しかし確実に変えていった。
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運というのはランダム性の中の秩序。
霊感や第六感、シンクロニシティ、
雨男や晴れ女なども…いつか科学的に
解明される日が来るに違いない。
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