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奈良観光。1日でまわるひとり旅

奈良は、中学校の修学旅行以来、訪れていない場所です。平城京など、奈良時代の貴重な文化財が今も多く残っています。戦時中、軍事施設がほとんどなかったため、空襲の被害を免れ、歴史的建造物が現在も奈良市を中心に保存されています。

観光地として世界的に有名ですが、京都に比べると少しアクセスが不便です。

京都で新幹線から近鉄特急で「奈良」へ

奈良には新幹線も空港もないため、京都まで新幹線で行き、そこから近鉄に乗り換えます。京都駅では、新幹線から近鉄特急乗り場までが近く、乗り換えがスムーズです。

「あおによし」という豪華な特急が京都と奈良の間を走っていますが、時間が合わず、さらに2人でないと予約できないため諦めました。

2人分の特急券を買って1人で乗ることも考えましたが、勇気が出なかったうえに、やはり時間が合いませんでした。

次に来るときは、もっと勇気を蓄えてこよう…

京都を少し離れると、近鉄特急の車窓に田園風景が広がります。不思議ですよね。JRではなかなか見られないのに、私鉄は少し走るだけでこんな景色になります。

田園風景が大好きです。旅をしている気分になれるからです。

名前が謎なアーケード街「東向商店街」

近鉄奈良駅に着いて、まず東向商店街へ行きました。

アーケードにはお店がずらりと並んでいて、名前もユニークです。そのまま商店街を抜けて、東大寺へ向かいました。

人混みが絶えない高速餅つき「中谷堂」

東向商店街を抜けると、人だかりのできたお餅屋さんがありました。周りの人が食べていたのに影響されて、よもぎ餅とおせんべいを買いました。

このお店は中谷堂。職人さんが高速で餅をつく実演が見られるそうです。でも、時間が合わず、よもぎ餅だけ買うことにしました。

店の前はすごい人だかり

つきたてのよもぎ餅が驚くほど柔らかくて感動しました。周りの人がその場で食べていたので、私も真似していただきました。

持つだけで形が崩れてしまうほど柔らかいよもぎ餅

よもぎ餅をいただいて、そのまま奈良公園方面に向かいました。

五十二段階段

中谷堂から興福寺へは、五十二段の階段を登りました。名前の由来は段数からだと思いますが、確かめるために数えるのを忘れてしまいました。

五十二段階段を登って興福寺へ

五重塔を見たかった!「興福寺」

興福寺は、奈良時代に藤原不比等が建て、奈良の政治や文化、宗教の中心として活躍してきました。

もともとは「山階寺」と呼ばれていましたが、平城京への遷都で現在の場所に移り、「興福寺」と改名されたそうです。

興福寺の中金堂

中金堂には、薬師如来像や日光・月光菩薩像などの仏像がありました。ただし、写真撮影は禁止されています。

興福寺といえば五重塔を見たかったのですが、残念ながら改装工事中でした。この工事は明治時代以来の大規模なもので、2031年まで続く予定だそうです。

五重塔がこの鉄骨の中にあって見えませんでした

什器が置かれ、足場も組まれていました。2031年まで五重塔が見られないのは残念です。

次に来るとき、自分は何歳になっているのだろう…と思いました。

興福寺の三重塔

五重塔が見られなかったので、代わりに三重塔を見ました。真っ黒な三重塔は、写真に撮るとさらに黒く写ってしまい、少し残念でした。

依水園

依水園は、東大寺の旧境内に江戸時代に造られた庭園です。美しい庭が広がっていましたが、この日は奈良時代の建造物を見るのが目的だったので、入口付近までで引き返しました。

依水園の入り口

次に奈良に来たときは、ゆっくり依水園を見たいです。

1,000年の歴史を目の当たりにできる「東大寺」

東大寺は、日本を代表する仏教寺院です。奈良時代に聖武天皇が国の平安と繁栄を願い、「大仏造立の詔」を出して創建されました。

広い境内を持つ東大寺は、近鉄奈良駅から歩くと、最初に南大門が見えてきます。

南大門

東大寺の南大門

東大寺の南大門は、正門にあたる建物です。初代の南大門は平安時代に建てられましたが、平氏の焼き討ちで消失しました。

その後、鎌倉時代に再建され、何度も修理されながらも、鎌倉時代の建築様式がしっかり残っています。

鎌倉時代の建築様式が色濃く残っています

東大寺の南大門には金剛力士像があり、阿形(あぎょう)像と吽形(うんぎょう)像で構成されています。

写真は口を閉じた吽形像です。口を開けている方が阿形像になります。

東大寺の金剛力士像。吽形像

東大寺の大仏殿

南大門をまっすぐ進むと、大仏殿が見えてきます。中学校の修学旅行以来でしょうか。記憶は曖昧ですが、この辺りで集合写真を撮ったかもしれません。

大仏殿の前は観光客でとても賑わっていました。

観光客で賑わう大仏殿前

大仏殿では、ついに「あの奈良の大仏」にお目にかかることができました!とにかく圧倒的な大きさに驚きました。

奈良の大仏は752年に開眼供養されました。その後、平氏の焼き討ちや戦火で何度も損壊しましたが、一部には当時の部材が今も残っているそうです。歴史の重みを強く感じました。ここまで来て本当によかったです!

奈良の大仏(正面より)

奈良の大仏は、横から見るとさらに大きさと迫力を感じます。奈良時代にこれほどの大仏を造り、地震や劣化を乗り越えて今も残っていることに感動します。

横から見ても迫力があります

大仏殿の柱の一つに観光客が集まり、穴をくぐっていました。この穴をくぐるとご利益があると言われ、子どもや観光客に人気だそうです。

私はやりませんでした。ちょっと恥ずかしかったので…。

大仏殿の柱くぐり。行列をなしていました

東大寺で特に印象に残ったのがお香です。専属の方がていねいに整えていて、とても綺麗でした。こんな綺麗なお香は初めて見ました。

印象的な写真が撮れました


二月堂

大仏殿から歩いて二月堂に向かいました。二月堂は東大寺境内にある仏堂で、大仏殿よりも高台にあります。

途中、山道や階段を登っていきます。

石の階段を登って二月堂に向かう

二月堂に向かう階段が綺麗だなと思いましたが、これはきっと奈良時代の石ではないですよね。おそらく近年整備されたものだと思います。

坂を登って二月堂の下まで来ましたが、最後に長い階段を登る必要がありました。

二月堂に向かう階段

やっと二月堂に着きました。坂を登りきると、さすがに休憩したくなります。

二月堂には休憩所がありましたが、時間がなく通り過ぎるだけにしました。先を急ぎます!

お茶がお菓子が楽しめた二月堂の休憩所

休憩所を通り過ぎ、二月堂から眺める東大寺方面の景色は壮観でした。ここまで登ってきた甲斐がありました。

ただ、この日は曇り空で遠くまで見渡せなかったのが残念です。また来るぞ、二月堂!

二月堂から見た東大寺方面

登ってきた道とは違う道を通り、二月堂を降ります。長い階段が続きます。

二月堂の石畳がとても気に入りました。奈良時代のものではないと思いますが、角がきれいに残っていて整備されている感じがします。それでも、この美しい石畳には魅力を感じます。

二階堂の階段に惹かれた。この景色、好きです。

そして二月堂を後にして、そのまま春日大社方面に向かいました。

まさに野原!「若草山」

春日大社に向かう途中、広々とした斜面の野原を見つけました。野原というには失礼なくらい綺麗に整備された場所で、ここが若草山です。

若草山は奈良公園の名所で、芝生に覆われた斜面では観光客が走ったり、のんびり過ごしたりしていました。

山に見えない若草山

若草山は道路から写真を撮るだけで後にしました。山頂まで登山できるようですが、30分ほどかかるとのことで、今回はスルーしました。

また来ます…。

春日大社

ついに春日大社に到着しました。奈良時代に創建された、日本を代表する神社で、4柱の神様が祀られています。

1,000年以上の歴史を持つ神社で、その存在だけでも歴史を感じさせます。

樹齢何年だろうというくらいの木

これが御神木とされる大きな杉の木です。樹齢は推定800年から1,000年とされていて、驚きました。

他にも古い木が多く、歴史を感じます。

樹齢がよくわからないけど、すごい木。他では見たことない。

春日大社の本殿は、「春日造」という建築様式で、鮮やかな朱塗りが特徴です。重要文化財に指定されており、歴史を感じさせるとともに、写真映えも抜群です。

境内にはたくさんの釣灯籠があり、2月と8月にはすべての灯籠に火が灯されるそうです。

これが春日造

春日大社のどこに入ったのかは覚えていませんが、真っ暗な空間に灯籠の光だけが浮かび上がっていました。その美しさに惹かれて、思わず写真を撮りました。

裏山には原生林が広がり、古くから神域として守られてきました。樹齢数百年の木々が生い茂っています。

歴史を感じさせる苔や石灯籠の趣に心を惹かれました。

奈良公園と鹿の由来

奈良公園周辺にはたくさんの野生の鹿がいます。古代から「神の使い」として大切にされてきた神鹿です。

伝説では、春日大社の祭神・武甕槌命(たけみかづちのみこと)が白い鹿に乗って奈良に降臨したことが由来とされています。

観光客も多いけど鹿も多い

奈良公園には約1,000頭の野生の鹿がいます。道路で事故に遭わないのが不思議なくらいです。

公園内では200円で鹿せんべいが売られており、鹿はその販売所の近くに集まっていることが多いです。本当にたくさんいます。

せんべいを持つと寄ってくる

かっこいい鹿の写真を撮ろうと思い、狙ってみました。特に理由はないのですが…。

奈良公園で「鹿せんべい」を買うと、鹿が一斉に集まってきます。私も3セット(200円×3)買って、小さな鹿たちにあげました。

奈良公園の鹿は観光客に人気があり、鹿との触れ合いは奈良観光の名物です。公園の魅力をさらに高めていると感じました。

観光客に群がる鹿たち

浮見堂

春日大社から奈良公園を抜けて浮見堂へ行きました。浮見堂は奈良時代の建物ではなく、大正時代に建てられたものです。現在のお堂は昭和時代に再建されたそうです。

浮見堂は池のなかにある

浮見堂を後にして奈良公園方面に戻り、自転車を借りて唐招提寺へ向かいました。

世界遺産「唐招提寺」

奈良に来たら、世界遺産の唐招提寺は外せません。奈良駅から少し距離があるので、自転車やタクシーが便利です。電車なら大和西大寺で乗り換えて行けます。

唐招提寺の金堂

唐招提寺は、唐の僧・鑑真和上が修行の道場として創建しました。その後、弟子たちが建物や通路を整えたそうです。寺内には薬師如来像や千手観音像が祀られています。

奈良時代の建築や仏教美術を楽しめる静かな場所で、奈良時代の雰囲気をしっかり感じられます。

唐招提寺の西の京はふかふかの苔がすごい

唐招提寺で特に感動したのは、西の京にあるこの空間です。苔が美しく、まるでマイナスイオンに包まれているようでした。気温が少し低く、空気がとても澄んでいました。

この苔、すごくないですか?

その後、自転車で唐招提寺のすぐ近くにある薬師寺へ向かいました。

2つも塔がある「薬師寺」

薬師寺は唐招提寺と同じく、西の京にある世界遺産です。680年に天武天皇が病気平癒を願って建立を発願しました。

奈良時代には、医療や科学技術が未発達だったため、神や宗教に頼ることが多かったそうです。その背景が奈良時代の雰囲気を感じさせます。

東塔は国宝です

薬師寺には東塔と西塔があります。一見6重に見える東塔は、実は三重塔で、奈良時代に建てられました。

西塔は1981年に東塔を模して復元されたもので、東塔よりも色鮮やかです。

薬師寺の金堂は再建された建物ですが、中には国宝の薬師三尊像があります。薬師如来は、病気や苦しみから人々を救い、健康をもたらす仏として信仰されてきました。

旅を重ねるうちに、神道や仏教について少し詳しくなってきた気がします…。

薬師寺の金堂

奈良時代の中心地「平城京」跡地

自転車で平城京跡地に向かいました。平城京は奈良時代の都ですが、平安京に都が移る際、建物の資材が持ち出され、今は何もない広い場所になっています。

全て復元です

平城宮跡は現在、歴史公園になっています。実際に行くと、その広さに驚きます。

自転車で来て正解でした。公園を自転車で一周してから帰りました。

ホテルで借りた自転車

平城京跡地には近鉄奈良線が通っています。公園内を電車が走る光景は珍しいですよね。

平城宮跡歴史公園を走る近鉄特急

金魚ミュージアム

この日の最後に奈良の金魚ミュージアムを訪れました。実は隣の大和郡山市が金魚の養殖で有名な街なんです。

文字通りミュージアム

奈良の金魚養殖の歴史は江戸時代に始まり、明治時代には産業として栄え、多くの養殖池があったそうです。

しかし、奈良の金魚ミュージアムからはその歴史を感じることはできませんでした。名前の通り、まさに「ミュージアム」という印象でした。

ミュージアムとしてならとても楽しめます。装飾がとても素敵ですね。

奈良では、歴史を感じながら近代的なミュージアムも楽しみ、1日を効率よく満喫できました。

翌日は奈良から南へ向かい、飛鳥地方を散策しました。


さいごに

奈良駅周辺の観光は、事前に計画すれば1日で回れます。

飛鳥時代を象徴する飛鳥地方を訪れるなら、奈良駅から南へ足を延ばす必要があり、もう1日余裕があると良いですね。

奈良は歴史を感じることができる街ですが、歴史の知識と宗教を知っているともっと楽しめると感じました。

旅行日:2024年10月

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