甲府。弾丸日帰りひとり旅
9月の連休最終日に、ふらっと甲府へ日帰り旅行に出かけてきました。甲府は通過することはあっても立ち寄ったことのない街で、以前から一度は訪れてみたいと思っていました。
連休の甲府は、車で行くと中央道の渋滞に巻き込まれ、電車で行くと指定席がほぼ満席になるという鬼門の街です。今回は、普通電車で行き、帰りは特急を利用しました。
甲府の概要
甲府市は山梨県のほぼ中央に位置し、県内最大の人口を持つ街です。人口は19万人で、2000年の20万人から緩やかに減少しています。
「甲府」という地名の由来は、「甲斐」と「府中」の頭文字です。「府中」には、国の政治・経済・文化の中心地という意味があり、甲府は武田家が築いた甲斐の中心地でした。
甲府市の主要な産業は電子機械と農産物で、特にぶどう、もも、すももの生産量は山梨県が日本一です。そのため、山梨県は「フルーツ王国」と呼ばれています。
もっとも、マーケティング目的で自ら「フルーツ王国」と名乗っているかもしれませんが…。
甲府駅の北口には武田信虎の像がありました。武田信虎は武田信玄の父親です。
中央線普通電車で甲府へ
この日、甲府に電車で向かった目的は、電車内で読書をすることです。自宅で本を読むのも良いのですが、せっかくなら景色が移り変わる電車の中で本を読もうと思い、中央線快速電車に乗り甲府を目指しました。
都内からの中央線では甲府まで直接行くことができず、高尾駅で甲府行きの中央線に乗り換えました。
高尾駅で下車
高尾駅で甲府行きの中央線に乗り換えるまでに20分ほど時間があったため、改札から出て高尾駅周辺を少し散策しました。
高尾駅まで東京郊外に来ると、駅前には特に何もありません。ただ、駅舎に風情がり、それが印象的でした。
高尾駅を過ぎると、電車の車両も、車窓から見える景色も大きく変わります。
高尾から中央線ローカル電車に乗る
高尾駅で乗り継いだ電車は、かなり旧型の車両で、最近の都内ではあまり見かけないタイプでした。
高尾から山梨県側の中央線の普通電車は、運行間隔が約30分に1本です。特急も同じく約30分に1本の間隔で運行しているため、特急と普通電車の本数は同じくらいになります。
この車両の雰囲気から、昔ながらのボックスシートかと思っていましたが、都内の電車と同じくロングシートでした。
高尾駅を出発してから、乗車した先頭車両はほぼ満席になるほどの混雑でしたが、大月で多くのお客さんが降り、車内は一気にガラガラになりました。その後、甲府に向かうにつれて、徐々に乗客が増えていきました。
武田神社
「甲府→甲斐→武田」と脳内で連想していたわたしは、真っ先に武田神社へ足を運びました。
元々は武田家の屋敷だった
武田神社は、甲府駅からまっすぐ武田通りを進んだ突き当たりにある神社で、あの武田信玄を祭神としています。祭神とは、その神社に祀られている神のことです。
武田家の本拠地が城ではなく屋敷だったことに驚きました。
武田家繁栄時の甲斐中心地
武田と言えば、戦国の武将です。武田家は、当時山梨県や静岡県など広い地域を治めていました。その拠点となったのが、現在の武田神社のある屋敷です。
この屋敷を中心に、城下町のような市街地が発展していきました。時は1500年代、戦国時代のことです。
しかし、武田家は長篠の戦いで織田・徳川連合に敗れ、やがて滅亡してしまいます。
その後、政治の中心は武田神社のあるあたりから現在の甲府駅付近にある甲府城へと移りました。 甲府城のまわりに城下町が発展するにつれて、武田神社周辺は城下町の片隅になります。
しかし、武田家の御屋敷跡として、戦国時代を思い起こさせる名所の一つとして残されました。
武田神社の誕生
1900年代の明治時代に、武田信玄の祀る神社を建設しようという運動が起こりました。当時の天皇陛下のご意向や山梨県知事の働きかけもあり、大正時代に武田神社が創建されたそうです。
日本の歴史を振り返ると、文化や宗教と政治が深く絡んでいることが多いですね。
姫の井戸
当時、武田家の屋敷で生活用水として使われていた井戸が、今でも残っています。その名は「姫の井戸」。武田信玄のご息女が生まれた際に産湯として使われたことが、この名前の由来のようです。
甲斐の国は山に囲まれており、水は非常に貴重な生活資源でした。その確保がとても大変だったのではないかと思います。
宝物館
武田神社には宝物館があります。境内は入場は無料ですが、宝物館は大人300円の入場料が必要です。宝物館には、ここから出土した品や、武田家にまつわる品々が展示されていました。
武田信玄ミュージアム
武田神社の向かいには信玄ミュージアムがあります。無料で見られる部分もありますが、大半はお店や観光地の案内等の広告宣伝です。ほぼ有料のミュージアムと考えて、訪れた方が良いでしょう。
入場料は300円です。信玄ミュージアムというよりも、甲斐と武田家について学べるミュージアムです。施設のネーミングは集客効果を狙っていると思いますが、ミュージアムのテーマとしてそんなに間違っていないと感じました。
武田神社までの道のり
武田神社までは、甲府駅前から30分に1本ほどバスが出ています。しかし、バスの時間がうまく合わなかったため、行きも帰りもタクシーを利用しました。
甲府駅からタクシーで10分程度。料金は1,300円程度です。渋滞がなければ、もう少しやすく行けるかもしれません。
武田神社にもタクシー乗り場があり、だいたいタクシーが待機しています。乗ったタクシーの運転手さんは「俺は武田神社専門」とおっしゃっていて、いつも武田神社前のタクシー乗り場で待機しているそうです。
こうした運転手さんがいるため、武田神社でもタクシーは比較的に捕まえやすいと思います。
甲府城跡
甲府城は、現在の甲府駅付近にあった城で、「舞鶴城」と呼ばれていました。現在では、日本100名城の1つにも選定されており、甲府の主要な観光地の1つになっています。
甲府駅から徒歩でアクセス可能です。
甲府城の概要
甲府城は武田信玄が建てたものだと思っていましたが、信玄の降に甲斐の国を治めた織田氏や徳川氏が建てたそうです。
現在では、城そのものは残存しておらず、跡地が舞鶴城公園として整備されています。
甲府城は、明治時代に進んだ廃城処分によって取り壊されました。その後、中央線開通により、なんと当時の甲府城跡の真ん中を線路が通ることになりました。
現在の甲府城は、明治時代以降に再現された城跡です。かつては甲府駅の両側がに広がっていましたが、再現されたのは主に甲府駅の南側で、そこが現在の`舞鶴城公園となっています。
稲荷櫓(いなりやぐら)
2004年に復元されました。甲府城という名から連想される「城」っぽい場所の写真スポットの1つになっています。
鉄門(くろがねもん)
鉄門は、近代城郭における櫓門(やぐらもん)の一種です。櫓門は、門の上にやぐらを設けた2階建ての門の総称で、鉄門はその扉を鉄板や鉄鋲で補強した櫓門を指します。
甲府城の鉄門も、2004年に復元されました。元々の鉄門は、1876年に解体されて消失したそうです。
こうしてみると、うまく復元したなと思います。当時の建築技法をうまく再現しています。
やっぱり石の階段が現代っぽいですよね。階段として積んである石も綺麗だし、角がしっかりとある。ただ、一段の高さが大きく、当時をうまく再現していると感じました。
天守閣はあったのか?
甲府城には天守台が残っていますが、天守閣があったかどうかは今でも不明だそうです。これまでに発見された書物にも、甲府城の天守閣についての記載は見つかっていません。
天守台はただの跡地になっていますが、とても見晴らしがよく、甲府市街の景観を楽しめます。
明治天皇もここを訪れたようで、石碑がありました。
甲州夢小路
甲州夢小路は、甲府駅の北東に位置する商店街です。この周辺には甲府城の石垣もあり、もともと甲府城の敷地内にあったのでしょう。
建物は全て新しく、おそらくここ20年以内に観光やショッピングを目的として再開発されたものでしょう。
モニュメント
上の写真のあたりが、よく甲府観光で紹介されている場所でしょうか。夜はライトアップされるようです。
その奥はショッピングモールになっていて、お土産屋やカフェなどが立ち並んでいます。ただ、いくつかは閉店しているのではないかというお店もありました。
桔梗信玄餅パフェ休憩
甲州夢小路では、黒蜜庵きなこ亭で小休憩しました。メニューをよく見ずに入店し桔梗信玄餅パフェを注文しました。
お店はほぼ満席。多くの観光客がいました。注文した桔梗信玄餅パフェです。満席で持ち帰ろうとしたのですが、急に席ができたため、店内でいただきました。
パフェは少しだけ観光価格でした。観光地は観光地価格にして当然であると思う派ですので、全く文句はありません。
武田神社にしろ、もう少し入場料等をあげてもいいんじゃないかと思います。
藤村記念館
甲府駅北口にあった古い建物は藤村記念館で、国指定重要文化財に指定されている旧睦沢学校校舎です。
甲府駅の北口の広場にポツンと建っている姿には、少し違和感を覚えました。実は、もともと別の場所にあったものが、取り壊し寸前のところを武田神社内に移築・復元されたそうです。
その後、甲府駅周辺地区の区画整理事業に伴い、現在の位置に移設・復元されたとのことです。
甲府のランチは、ほうとうで決まり
小作
この日の甲府ランチは、ほうとうで有名な「小作」さんでいただきました。開店時間の11時に到着しましたが、すでに店の外には行列ができていました。
5分ほどで店内に案内され、20分ほどで食事にありつけました。今回注文したのは、「かぼちゃほうとう(1,400円)」です。
ほうとう自体もボリュームがありますが、それ以上に、写真では見えない野菜がなかにたくさん入っています。
あつあつでゆっくり時間をかけて食べざるを得ないので、とてもお腹いっぱいになります。
ほうとうについて
小作さんで店内に通されてからの待ち時間で、ほうとうについて調べました。
ほうとうは山梨の名物のように知られていますが、実は元々中国から伝わった食べ物である説が有力なようです。甲府は山に囲まれているため、稲作が盛んではなく、小麦を使ったほうとうが定着し、現在にいたるとのことです。
農水省さんの説明が興味深いので、ぜひご覧ください。
帰りは特急かいじで
この日は連休最終日で、夕方の特急はすでに満席でした。ちょっと早めの特急かいじで帰ることになりました。
ぜいたくにもグリーン車を予約しました。甲府からは空席が目立ちますが、途中の勝沼ふどう園や大月あたりで多くのお客さんが乗り込んで、満席になりました。
連休あるあるですが、グリーン車といえど、座席を向かい合わせる観光客が多くて、とても賑やかな車内でした。
中央線は長閑でいいですよね。
中央線に乗るなら、夏季は山側のA席に限ります。反対のD席は日差しが強くて大変です。
でも景色はちょっぴりD席の方が素敵です。D席側の方が景色が良いのです。
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