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野球のデータ分析手法「セイバーメトリクス」をマンガ業界に導入したい!

はじめに

 マンガ好きの方も、マンガ業界の方も、はじめまして。
 マンガ関連スタートアップ・コミチ代表のマンディです。

 あなたは、『マネーボール』という本をご存知でしょうか?ブラット・ピットが主演で、メジャーリーグの貧乏球団・アスレチックスがデータを重視した球団経営をして、20連勝などの驚異的な結果を出していくという話です。
 実は、僕は前職で『マネーボール』のような球団経営のための分析とシステム開発をした経験があります。この経験を元に、『データ経営』をマンガの世界にも導入したい!というお話をさせていただきたいと思います。

セイバーメトリクスとは?

 あなたは、セイバーメトリクスという言葉をご存知でしょうか?
 セイバーメトリクスとは、野球においてデータを統計学的見地から客観的に分析し、選手の評価や戦略を考える分析手法のことで、アメリカ野球学会の略称SABR(Society for American Baseball Research) と測定基準 (metrics) を組み合わせた造語です。

 日本の野球では、ノーアウトで出塁したら、送りバントというセオリーがありますよね?
 しかし、メジャーリーグでは、送りバントはほとんど使われません。
 打率、打点、勝率、防御率、奪三振率などの指標がありますが、それはチームにどのぐらい貢献しているのでしょうか?
 そのような曖昧なものを、統計学的見地から分析するのがセイバーメトリクスです。

 有名なセイバーメトリクスの指標でいいますと、
 ・打者指標として、出塁率+長打率で計算する「OPS」、
 ・投手指標として、(与四球数 + 被安打数) ÷ 投球回数で計算する「WHIP」
 があります。

 セイバーメトリクスの世界では、送りバントは効率が悪いとされています。そのため、日本では2番打者にバントの得意な曲者選手が座ることが多いですが、メジャーではかなり以前から、2番打者に大谷のように長打力がある強打者を置くようになりました。統計学的見地からすると、そのほうがチームの勝利に貢献するためです。

 2000年代、オークランド・アスレチックスのGMビリー・ビーンは、球団の資金力がない中でセイバーメトリクスを重視したチーム編成を敢行し成功を収めました。
 その改革を描いたノンフィクション作品が前述の 『マネー・ボール』です。
 いまや、セイバーメトリクスはメジャーリーグの球団経営ではなくてはならないものになっているのです。


マンガ業界に、OPSとWHIPを当てはめると?

 先程、OPSは打者の評価指標、WHIPは投手の評価指標であるといいました。
 これをマンガ業界に当てはめると、どうなるのでしょうか?

 僕はマンガ版OPSの指標として、作品をベースに考えてみたいと思います。
 OPSは、長打率+出塁率です。
 ・長打率=塁打数÷打数
 ・出塁率=(安打+四死球)÷打数+四死球÷犠打
 です。
 これをマンガで考えてみると、
 作品売上率+掲載率という計算式を仮説として考えてみました。

・売上率は、単行本の売上÷雑誌の売上
・出塁率は、作品の掲載話数÷連載期間話数(休載含む)

 ではどうでしょうか?
 まだ検証中の段階ではありますが、おもしろいメトリクスが出ています。

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2軸分析グラフの例

 次に、マンガ版WHIPの指標として、雑誌デジタル力をベースに考えたいと思います。
 いい投手とは、雑誌という媒体ブランドであるという仮説を立てました。
 (本当は編集者をベースにしたいのですが、SNSをやっていない編集者さんが多いので数値化するのは難しいと考えました)
 雑誌デジタル力は、Google検索率+SNSインプレッション率で代替します。

 ・Google検索率=作品の検索ボリューム÷雑誌掲載作品全体の検索ボリューム
 ・SNSインプレッション率=作品SNSインプレッション÷雑誌掲載作品全体の検索ボリューム

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コミチメトリクスのイメージ図

 いろいろな意見はあるかと思いますが、
 仮説検証をすることで、良い漫画を作り、売っていくことに貢献できるようになるだろうと考えています。

マンガを売り逃さず売り伸ばす「コミチメトリクス」を完成させたい

 コミチという会社の名前の由来は、ラテン語で「マンガ」です。
 マンガメトリクス→コミチメトリクスを完成させたい。
 それが、僕の夢です。

 イチローは、1年目に二軍でたくさんの打席に立たせたことが良い育成期間となり、それが成長につながったという話は有名です。
 マンガ家の世界でも同じことが起こせるのではないでしょうか?

 たくさんの良いマンガ家を輩出するにはどうすれば良いのか?
 僕の大好きな雑誌という媒体は、デジタルの力、データの力で復権するのではないか?

 そういう仮説を検証したいと思い、コミチメトリクスを作りはじめています。

まとめ

 野球の世界には、NPB BIPという日本プロ野球のデータプラットフォームがあります。
 そこには、1995年からの1打席1打席の成績データがすべて入っています。

 マンガの世界だと、単行本販売データ、雑誌の話売データは取得することが出来ますが、すべての作品共通のデータプラットフォームがないため、データ分析できる範囲は限られてしまいます。
 日本のマンガ業界の発展のために、一緒に協業し、共創して頂けるパートナー企業を探しています。

 エンタメの世界では、データ分析を武器にして発展した企業にNetflixやSpotifyがあります。
 今度はマンガの世界で、マンガ版セイバーメトリクスを作ってみませんか?

すでに、取次、電子書店などのデータを一か所に集め、データを見る仕組みのプロトタイプは出来ています。これをこれから、マンガを扱う全ての企業に使ってもらえるように整備中です。

 コミチでは「100年愛されるマンガづくり」に貢献したいという思いから、Webマンガ誌の分析・販売ツール「マンガSaaS」を提供しています。
 もしご興味のある出版社さんがいらっしゃいましたら、ぜひご連絡ください。

 「マンガSaaS」について、詳しくはこちらをご覧ください。

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萬田大作 / 技術の力でマンガ家を支えたい!コミチ代表
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