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第2回:コミチが目指す分散と共創──NFT、WEB3、プラットフォームからの脱却


はじめに

 こんにちは、コミチ代表のマンディこと萬田です。
 おかげさまで、前回の記事はご好評をいただきまして、大変ありがたく思っております。

 今回は、予告の通り「NFT」「WEB3」といったキーワードに触れながら、コミチが思い描く近未来のビジョンを、より踏み込んで皆様にお伝えできればと思います。
 それでは、よろしくお願いします!

NFTってなに?

 デジタル領域における技術は、日々進化し続けています。
 数年前には知られていなかった技術が、あっという間に一般化する……ということが、これまでも繰り返し起きてきました。 
 
 最近、ニュース等でもよく取り上げられるNFTも、そのような技術を用いた仕組みのひとつです。「NFTという名前だけは聞いたことがある」という方も多いでしょう。
 あるいは、NFTは知らなくても、ビットコインやブロックチェーン技術についてはある程度知っている、という方もいらっしゃるかと思います。
 ビットコインは、ブロックチェーン技術を用いて運用される暗号通貨です。NFTもブロックチェーン技術に基づいているのですが、両者には大きな違いがあります。
 それは、ビットコインなどの暗号通貨が、それぞれ同一であり、相互交換が可能であるのに対し、NFTは売買はできますが相互交換ができない、つまり「非代替性」を持つのが特徴となります(NFT=non-fungible token=非代替性トークン)。
 そのため、デジタルアートやデジタル資産など、デジタル領域における「なにか」に固有の署名をし(NFT化)、権利を保有することができるのです。ここに、新たなマーケットが急激に拡大しつつあります。

 デジタルアートはともかく、「Twitter創業者の最初のツイート」が3.2億円の資産価値を持つなんて、数年前には考えられないことでした。
 NFT市場は、2021年の段階で1.5兆円規模と言われています。前年の2020年が300億円でしたから、1年で50倍に拡大したことになります(なお、出版業界の国内業界規模は2020年段階で1.6兆円でした)。
 もちろん、まだまだ市場として未成熟であり、法的にも技術的にもリスク含みであることは否めません。一時的なバブルという見方もあります。それでも、こういった領域で試行錯誤と発展が猛烈な速度で進んでいることは、把握しておいて損はないでしょう。
 なぜなら、NFTによるマネタイズの可能性は無限大で、もちろんマンガにもそのチャンスは充分にあるからです。

マンガとNFTの関係は?

 そう、マンガの世界においても、すでにNFT化の動きは始まっています。

こちらは『ヤングマガジン』さんの取り組みですが、新連載の第1話から、1ページ単位、限定10点で原稿のデジタルデータのNFTを買うことができるという取り組みです。
 ちなみに、私も早速購入を試みたのですが、狙っていた1ページ目は買えず、なんとか最終ページを購入することができました。
 このような取り組みは、マンガ×NFTによる新たな収益化の第一歩であるとともに、まだまだ「その先」があることも感じさせてくれます。
 なぜなら、「マンガ原稿のNFTを個人が買う」という行為は、D2C(Direct to consummer)にあたりますが、現在進行しているWEBの新しい形「WEB3」においては、D2Cが有力になると見込まれているのです。
 ヤングマガジンさんの『code:ノストラ』は新連載開始時からNFTを発行しており、作品が大ヒットすればNFTをほしい人が増える→二次流通で取り引きされてキャピタルゲインを得られる→クリエーターに収益が戻るという流れをつくる取り組みです。
 コミチももちろん、WEB3時代を見据えて動いているわけですが、それはいったいどういう近未来になるのでしょうか?
 次項では、WEB3についてみていきましょう。

WEB3とは?

 WEB3(ウェブスリー)についても、単語だけは聞いたことがある、という方は多いでしょう。
 これまでのウェブの歴史を簡単に振り返ってみると、まずはポータルサイト(これは今でもありますね)が大きな影響力を持ち、ウェブサイト同士が繋がるようになったWEB1の時代がありました。
 次に、さまざまなSNSが勃興と衰退を繰り返す、ユーザーとの双方向の時代が訪れました。これがWEB2の時代です。
 そして、いままさに進行中のWEB3時代への変化は、デジタル上でさまざまな「もの」を所有可能なD2C時代になると考えられています。さきほどのNFTもそうですが、すでに電子書籍などの形で、デジタル的な所有を日常の行動として行なっている方がほとんどでしょう。この変化が、より進んでいくと考えられているのです。
 もちろん、地球上にさまざまな水準の技術が並存しているのと同様に、WEB1やWEB2の遺産が消え去ってしまうわけではありません。
 むしろ、これまでのウェブの資産と、シームレスに繋がる形で変化は進行すると考えられます。
 ただし、大きな変化として、WEB2時代にデジタル世界の覇権を握った「プラットフォーム」の価値が、相対的に低下する可能性も考えられます。

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引用:Grayscale Research(Nov. 2021)

コミチは「プラットフォームからの脱却」を目指す

 小見出しで言い切っておいてなんですが、プラットフォーム自体は別に悪ではありません。
 ただし、たとえばAmazon(Kindle)やApple(App)のようなプラットフォームに対し、いま現在コンテンツを作っているクリエイターやその伴走者である編集者(出版社)が依存を余儀なくされているという一面は確かに存在します。
 このことは、前回の記事で触れた「コミチはあえてWEB」の理由を思い出していただければと思います。
 WEB3の思想のひとつに、「プラットフォームからの脱却」があります。顧客のデータを見られなかったり、独自規制で配信できなかったりというプラットフォーム依存から起きるくびきから逃れて、ひとつの分野でひとつのプラットフォームが世界的な覇権を握る状況を覆していこう、もっと自由に「分散」し、「共有」しよう──そう考える人々が、いまも世界中で活発に新たなサービスの開発を進めています。
 そして、コミチもそのひとつである……という風にお考えください。

コミチの考える「共創型パートナーシップモデル」は「雑誌」に近い

 先述のように、コミチはプラットフォーム化を目指しません。
 なぜなら、その方が互いに(コミチもそのお客様も)成長できる、と考えているからです。
 プラットフォームの話に戻りますが、顧客(たとえば電子書籍購入者)の属性データが提供されなければ、販売施策はどうしてもざっくりとしたものにならざるを得ません。そもそも、独自規制で販売できないなんてのは論外です。
 ですから、コミチはオープンにすべきデータはオープンにします
 これは、かつての漫画雑誌のような機能が、現在のプラットフォーム依存時代に失われていること、そしてそれを出版社・クリエイターが取り戻すことが必要だと考えているからです。
 雑誌では、アンケートを通じたダイレクトな反応をはじめとする、読者との独特のコミュニケーション文化がありました。現在、紙の雑誌市場は縮小中ですが、それをウェブにおいて、新たな形で再獲得できないか?
 実は、その取り組みは、すでに始まっています。
 最終回となる次回ではコミチが考える『雑誌DX』について、できるかぎり具体的にご紹介できればと考えています。

おわりに

 ここまでお付き合いいただきありがとうございました。
 思いのほか長文になってしまいましたが、NFTやWEB3、そして来るべき近未来にコミチが何をしていくか……と盛りだくさんでお届けしました。
 ──そして、未来はもう始まっています。
 次回では、その一端をご紹介することで、コミチのことをより深く、そして身近に感じてもらえればと思っています。
 長文をお読みいただきありがとうございました!

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