空間転移(テレポート)が技術的に実現した社会のSF考察(その2)
こんばんは。初回だけやって無期限休止とならないように、続けていこうと思います。
空間転移がインフラ化した社会を考えるにあたって、前回もやりましたが、まずは空間転移とは、から検討したいと思います。
前回は定義に触れましたが、今回はその価値を考えてみようと思います。
“転移“という表現を調べると、
① 場所が他にうつること。また、場所を移すこと。移転。
② 病原体や腫瘍細胞が原発巣から血流やリンパ流などを介して他の場所に移り、そこに同様な組織変化を起こさせること。癌などにみられる。
③ 物質が、ある状態から他の状態へ変化する現象。ふつう結晶層の変化や同素体変化などの相転移をいう。
④ 前に学習したことが、後の他の学習に影響を与えること。学習を促進する場合を正の転移、逆の場合を負の転移という。
⑤ 精神分析で、患者が幼児期に親などに対して抱いていた感情を治療者に向けること。
とあります。(goo辞書調べ)
一番意味合いが近いのは①ですが、転移という言葉そのものに、不連続性を指すニュアンスはどうやらないようです。より適切な表現があるかもしれませんが、今回はそのまま転移としたいと思います。
テレポートという場合、我々は、少なくとも物理的な距離を超えて移動する、ことを期待してその言葉を使用しますが、ここでいう物理的な距離を“超えて“とは何か、ちょっと考えてみます。
我々が物理的な距離を移動するには、移動距離に応じ時間を要する必要があります。テクノロジーでその時間を早めることには成功してきましたが、例えば同じ手段で移動をする場合、遠くに行く場合と近くに行く場合では移動に費やす時間は必ず変わります。テレポートという概念は、この絶対的なルールを超えて、遠くにいくにも近くにいくにもかかる時間が一緒である(瞬間移動であれば一瞬)、という点がキモであり、その点が私が前回表現した“不連続性“の意味かな、と思います。
一方、物理をかじった物なら皆さん思いつくでしょうが、移動という行為に費やされるものは当然時間だけではありません。こちらが、社会インフラ化を考え得るにあたって重要なテーマである、エネルギーです。物理を本当に齧っただけの私の理解なので、誤りがあるかもしれませんが、ものが動いている時に有しているエネルギーは、動くものの質量に比例することとなります。動かす時に必要なエネルギーもそれに近い考え方になる野が自然です。テレポートを扱う多くのフィクションでも質量に制限を設けているものが散見されるのは、おそらくこの点を意識しているものと思われます。理想の技術は重かろうが軽かろうが同じコストで捌いてほしい、と思いますが、それだと何か宇宙の根本みたいなものに抵触しそうな気もするので、この考察では、質量に比例してエネルギーがかかるものとします。
では、距離はどうでしょうか?近くても遠くても同じエネルギーになるでしょうか?物理法則に基づくと、ものが動いている時に有しているエネルギーは、物体を動かす速さの二乗に比例する、とあります。本考察の場合、速さはパラメータになりませんから、この法則は無視できそうです。が、速さが一定でも、遠くに行く場合は、それだけ時間がかかることになります。5分で行く距離と、15分で行く距離では、要するエネルギー量も変わるのが自然です。テレポートには時間という感覚が上記の通りありませんが、とはいえ、距離を問わずに要するエネルギー量が一定、とするのは、何となく気持ち悪いものがあります。。。ということで、本考察では、上記物理法則から拝借し、テレポートでも、移動する距離の二乗に比例して、エネルギーを要するという設定といたします。
この設定だと、
①テレポートを使えば、非常に短い時間でどこにでも移動が可能
②ただし、遠くに行くにはエネルギーがそれだけ必要
ということになりますので、移動にかかるパラメータは時間ではなく、エネルギーで置き換えることが可能になります。テレポートが浸透化した社会では、「遠くに行くのは時間がかかる」ではなく、「遠くに行くのはエネルギーがかかる」という感覚になりそうですね。(既に飛び恥なんて言葉があるくらいには、後者の感覚が一般化していそうですが。)
今回の投稿はここまでとし、次回こそは、どのようなインフラを敷くか、構想してみようと思います。
ではまた。
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