すとんと落ちてくる広告コピーってなんだろう
好きだから、あげる・・・丸井(1980)
想像力と数百円・・・新潮社・新潮文庫(1984)
恋が着せ、愛が脱がせる・・・伊勢丹(1989)
恋は遠い日の花火ではない・・・サントリー・オールド(1996)
恋を何年、休んでますか。・・・伊勢丹(1989)
地図に残る仕事。・・・大成建設(1993)
美しい人はより美しく、そうでない方は、それなりに・・・富士写真フイルム(1980)
NO MUSIC , NO LIFE・・・タワーレコード(1997)
愛とか、勇気とか、見えないものも乗せている・・・九州旅客鉄道(1993)
恋人は、しょせん素人です。・・・ヘルス東京(2000)
大変だけど、幸福な仕事・・・誠文堂新光社(1991)
楽しくやるために、東京に来たんじゃねーのか・・・東芝昇降機(1991)
ウィスキーがお好きでしょ もう少ししゃべりましょ・・・サントリー(1990)
きれいな人が、本を読んでいた。・・・東日本旅客鉄道(1995)
なんにもしないをするの。・・・西武百貨店(1990)
3階の娘の部屋は、会社より遠い。・・・旭化成ヘーベルハウス(2001)
一瞬も 一生も 美しく・・・資生堂(2006)
結婚しなくても幸せになれるこの時代に私は、あなたと結婚したいのです。・・・ゼクシィ(2018)
試着室で思い出したら、本気の恋だと思う。・・・ルミネ(2000)
10代で口ずさんだ歌を、人は一生、口ずさむ。・・・ソニーWALKMAN(2010)
ほとんどの広告コピーは、正直なところよく分からない。たぶんターゲットでもないし、ターゲットにもなりきれない。
それでもときどき胸をすくような、自分を救ってくれるような、景色の見えるコピーに出会えることがある。それらはすとんと心の底に落ちてきて(心には深さがあるのだろうか)、じんわりとオレンジ色のようなものがひろがっていく。
きっとそういう言葉は広告の上を探すよりも、駅までの道に落ちてたり、喫茶店で隣の席から聞こえてきたりと、偶然の端っこで出会えるものなのだと感じる。
そして何食わぬ顔でひょんと顔を出すそれらは、それぞれに違った表情を見せながらどこか似ているのだ。
掴めそうでつかめない、まだうまく言葉にはならないこの共通点もいつかはこの心にすとんと落ちてきてくれるのだろうか。
それは朝起きてカーテンを開けるくらい身近なことのようにも、地球の青さを言葉に落とし込むくらい遠くのことのようにも思える。