月刊こしら Vol.88 (2022年9月号) 「ちりとてちん」
「ちりとてちん」 文・立川こしら
わかりやすい話の代表と言ってもいいぐらいの作品ですが、違和感がどうしても残る落語の一つでもあります。
何を食べても「美味い」と喜ぶ男が最初に登場します。
そりゃそうです。食べさせてもらっているのは高級品ばかり。美味いに決まっています。
徐々に庶民的な食べ物へと変化していっても、同じテンションで「美味い」と連呼します。
ご馳走する方は嬉しくなって、次々と料理を提供してしまいます。ごく一般的なご飯ですら、感激して食べる姿は一種異様とも言えますが、気持ちのいい食べっぷりと、何でも喜んで食べる姿に気持ち良さすら感じます。
この時点で登場人物は二人
ご馳走する人と、食べる人です。
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