機動戦士GundamGQuuuuuuXを見た。

 

迷っていたんですが見てきました、ガンダム。


ジークアクス、普通には読めん。

 絶対にスクリーンで、そして映画館の音で見たほうが良いと多くから言われていたんですけど、本当にその通りで……友人誘って行ってきましたが、これは行ってよかった、今もなにか不思議な高まりがある。

 しかしお前……。

マジでこれしかでてこないだろ、こんなの。

 これ……これ見た人ら、1/17から今の今まで何も言わずにいたのマジで凄くないか? そら皆してタフの「う、うそやろ……こ、こんなことが許されていいのか」しかTLに貼れないわけですよ、何も言えるわけ無いだろこんなの。

 マジで何も言えないです、これ少しでもリークあったら完全にだめだったと思うので、多くの同志達の配慮と気高さ、そして悪辣さに感謝。

 感想の何を言おうにも、マジで何も言えないのでここから先は見てない人にはお見せできない。こういうライブ感のあるイベントには久しく出くわしてない地方民なので新鮮な気分。

 いや、最高の体験でした。というか映画館すげー、最後に行ったのガルパンですよ、その時でさえ10何年ぶりとかいう状態だったのに、この疲れ切った身に仕事帰りに最終上映時間に駆け込むとかいう行為をさせるとは、驚きとしかいえない。

 それだけ話題が多かったということです、だってTL……ほとんどタフになってたし。面白すぎでるでしょ、影響力大きかったと思いますね。

ここからネタバレ有り







 警察がザク作ってて制服がジオンっぽくて、という事前情報でTLで早期から「ジオンの勝った世界の話では?」という推測が出回っていたので、若干ある程度は予想していた通りではありましたが。

 開幕コロニー落ちてくるアレでスタートするとは。

 どうして「こうなった」世界なのかという導入として完璧ではありました、実際ですがこの序盤がネタバレされてしまうとおそらく、ガンダム知ってる人は行くけど、知らない人はたぶん興味持たないだろうから。

 MSデザインが今までのデザインラインとは全く違うので、ファーストの時代……0079からマジで本当に始まった時は叫びそうになったという人も多いと思うんですよね。というか赤いザク出てきた時からマジかお前しか出てこなかったです。

 まあ二次創作とかではままある「シャアがガンダムを強奪して乗ったら」という流れなんですが、ギレンの野望で一応公式としてそれらしいことができたとはいえ、マジでそれやってしまうんですかという。

 シャアの言う「私は運のいい男」というのは、まあそう……まずやらかしマンのジーンが機体故障でいません、よって自分で出る。そしたらあるやん連邦の新型……これガンダム奪えるんじゃね? 今まで何十年と描写されてきた「ガンダム大地に立つ」をシャア・アズナブルがする。ジーンがいない、そのバタフライエフェクトが生み出すこれは「もし」の世界なんだなと、ガンダム知ってる人間には強烈に叩きつけてくる。

 上手いのは、ファースト1話の流れをそのままやってるので、構成として完璧で、わかりやすい。知らない人が見たら「これが正史」になるという点です。ガンダムという主役機に乗るプロローグの主役はシャアという変な仮面の人、ということになる。とにかく「これがこうなってこうや!!」と劇中でしてくるんで誰でも話わかる構成の妙だな。

 ホワイトベースが奪われてシャアの船になるのは面白いアイデアだなと、大抵はガンダムだけ奪ってますけど、流石シャア、欲張る時は欲張る。ジオン唯一の強襲揚陸艦として使い倒されてる様は、本来の用途で張り切ってる感じがしてよかったです。ギミックも「らしさ」を感じた。そうだよな、その前足そうやって使うのが「らしい」よなって、改めて深くうなづきましたよ。

 V作戦丸ごとゲットしたシャアのせいでアムロ・レイという常軌を逸したハリキリボーイが現世から退場したのか、ただの一般人として避難し、そのままおそらく状況的に生きているだろうテム・レイと共に暮らしてる……そんな逆シャアまでに受けた仕打ちを思えば涙が出るほどの「IF」が始まるわけですが、この「もし」が実は結構響いていまして。

 いやあ「IF」の世界って中々複雑なんですよ、でもこれは受け入れられた。

「IF(もし)」の呪

 ガンダムのソシャゲでUCとかいうのがあるらしく、私はやってないんですが。たまにムービーがTLとかYouTubeとかで流れてきますね。それを見てて思ったのが……蛇足だなと。

 ギレンの野望経験者ですし、別に悪いとは思ってないんですけどね、なんか違うんですよ。各作品ごとのストーリーを再構成したり、カミーユやジュドーが逆シャアの時間軸にいたり、その他諸々色々やってても良いとは思うんですが。

 やっぱなんか違うなと、それは違うだろと。

 正史至上主義というわけではなく、むしろ二次創作とかよく見る側の人間なんですけど、それを踏まえてもなんか……こう、謎の気持ち悪さがあったんですよね。

 ジークアクスもUCソシャゲ同じ「もし」の物語な筈なんですけど、ソシャゲUCはしゃぶられ尽くしたガンダムのストーリーを混ぜ込んで、骨までしゃぶってるような……それを公式がやっているという、違和感というか気持ち悪さが存在して、ムービーしか見てないのになんか嫌だなという感じだったんですね。

 何が嫌って、もうシャアがシャアの声してないんですよ。

 先日やらかして引退したアムロの人もそうですけど、流石にオリジナル声優の皆さんも歳ですわ。逆シャアとかは作業音楽代わりに流してる時もあったので、聞き慣れた声と結構違う。シャアの声の人だとはわかるけど「シャア・アズナブルの出してる声」ではない、そんな違和感が……よけいに「蛇足で出されたゲームで無理して声当ててる」ように感じられて嫌な気分だったんですよね。

 でもカミーユの声はカミーユでしたね、マジかよ。AC6で年長の声出してたのに、まだこんなキレたナイフみたいな声出るんですか、ヤバ……とは思いました。

 んでGQuuuuuuXで登場したシャア、声優が変わってる。
 凄く良かったんですよ「若い」野心ある青年士官「シャア・アズナブル」の声。

 これの何が良いって、当時のシャアはまだかなり若いので、無理してオリジナル声優の声でやると違和感がある。オリジナルで喜ぶのは「ガンダム知ってる人」だけで、完全新規の人にはなんか声あってなくね? になってしまうだろうところを手当してたことだなと。

 常人ならシャアの声優を変えるのは難しいでしょう、ただのIFなら序章しか今のところ出番のないシャアにはオリジナル音声を当てるのが常道……流石だなと思った。同時に楽しみになったんですよ「ああ、全く知らない、何がどうなるのか予想できない、新しい宇宙世紀が始まるんだなって」。

 Beginningのプロローグでグラナダまでの流れは、その説明として素晴らしかったと思います。蝶の羽ばたき1つでここまで変わる、何もかも変わっていく。今までファンが散々擦って、しゃぶり尽くしてきたガンダムの歴史、ユニバーサルセンチュリーがひっくり返る瞬間を感じたんですね。

 ここから先はマジで何も予想できない世界が広がってる。ジオンが負けて、連邦が腐敗して、時々光を見せていくけれど世界は結局闇に染まって、最後には宇宙戦国時代、最後は文明埋葬されてリギルドセンチュリー……どっちが後か先かわからんですけど、終わりが見えてる物語だったんですよね。

 1年戦争とか無茶苦茶スピンオフつっこまれてもう「1年じゃねぇだろ」状態だし、どんなイベントがあっても、バナージが「それでも」と言っても、結局たどり着くのはここか……みたいな閉塞感があった。

 やー、でももう正直。地球連邦の腐敗を見るのは飽きたんですわ。

 俺はもう疲れたよ、人の闇を楽しめなくなってきている。リアリティ面はまあ……人間は愚かなのでだいたい闇に偏りますし、ミリタリーも好きだからそれはそれでいいんですけど……ヒロイックに若い子が閉塞感をぶっ飛ばしに蛮勇で駆け出す物語……ええやん、いいぞこれ。宇宙に飛び出してくれマチュ。

 コンテンツとして無限に拡大しまくった結果、わけわからんことになってる宇宙世紀でIFしだすともう収集つかんし、それをすると歯止めが効かないって気はしてたんですよ、だからといってそれを「もし」でぶっ潰すのも程度と限度があり、二次創作としては面白いけど公式がするのはなって。まあそれを楽しむなら正直ソシャゲUCよりハーメルンのぶっとんだ設定の大胆な二次のほうが面白いまである……みたいな感覚だったんですが。

 公式からこういうぶっ飛んだやつ出されるともう、何も言えないわ。

 IF、もしの物語なのに。全く未来の予想ができない、これがこんなにも面白い。


「新世代」へ。

 1年戦争がほぼナレ死してシャアが真っ赤に塗ったガンダムと共に消えて、サイコミュやべーわなっただろう「戦後の世界」時は0085……0083(スターダスト)と0088(Z)の間の年から物語が始まるわけなんですが、これが驚き。空白期ですけどUC的には結構重要な戦間期だったところが、ジオン勝利のために「戦後」になってるもんで、舞台のサイド6以外、どうなってるのか全くわからんのですよね。

 キャラクターが女学生だし、デザインも今まで全く違うセンスなので。てっきりジオン勝利の世界線の遙か未来なのかなと思いきや、全然地続きの時代なんですね、つまりこの世界のどこかには今まで見知っている主人公たちが「いる」筈なんですが、全くそれを感じない雰囲気で凄いなと。

 町並みというか、人々の暮らしも程よく「現代の延長線上の未来」を感じる雰囲気で、正直従来のSFな生活感より身近に感じられ、かつコロニーのSFとしての威容と宇宙の広さを感じられて、本当に素晴らしい。

 公式でやってる二次創作みたいなスタートなのに、二次創作する気を感じさせない。デザインと美術の力ですね、キャラクターだけでなくMSとか艦船もそうで、今までのUCラインとは出だしから別物なので、まるで完全新作のロボットアニメーションが始まったように思える、いや完全新作のアニメなんですけど。

 そして肝心の人……マチュ、いいですね光のヒーロー属性なところが。コロニーという閉鎖空間で育ったがゆえの飛ぶこと……空への渇望と、居住区を襲うザクを見ての反骨心、そこでMSに乗ろうとする蛮勇、主人公してるなと思います。まあまだこれからなんで多く語れるほど所要キャラクター知らない、ただ何をしていくのか見てみたい、そう思わせる魅力がマチュだけでなくそれぞれにありました。

 で、肝心のガンダム……デザインがいくと氏センスフルパワーなのでもう実質スペースダークウィスパーだよ。主役機ジークアクスの謎めいたマシンぶり、まあサイコマシンなんですが当然のようにインテンションオートマッチックこと思考制御なんで女学生でも動かせる……わけねぇ代物っぽいので楽しみですよね。なんですオメガ・サイコミュって、なんかヤバい事件がソロモン以降もあったぽい描写もあり、ろくでもねぇ代物なのか、それとも緑の人ことシャリア・ブルのシャアへの重めの何かを詰め込んだ光のマシンなのか、まだ何もわからない。

 しかしユニコーンよろしくインテンションオートマッチックモードになると変形するシート……そして出てきたサイコ・コントローラーがまるで人間の腕のようなインターフェースだったのは、正直何かゾッとするものを感じましたね。それは人と繋がるためのマシン、まるで手と手を重ね、繋ぎあうかのような、そんな雰囲気で。

 UCでブライトがバナージに言っていた、ガンダムに選ばれたのだという台詞を思い出す初搭乗のシーンでした。しかし立ち上がる姿の怖いこと、今までの機械的なヒロイックなメカデザインから、生物的でもなく、機械的でもない、なんともいえないデザインで凄いなと。

 ジークアクスに求められたのは今までみたいなバキバキのメカやリアルロボットとしてのかっこよさではなく、主人公が世界に飛び出すためのマシーンなのだという存在感……オーラがあって、機械屋目線で見がちだった今までのロボットとは違う存在感で感じてます。

 本物なのか不明のシャアが乗ってない赤いガンダムも登場して謎が深まる、ここからどうなるんだという展開の連続でうまく言葉にできないんですが、単純にクランバトルで成り上がっていくような話には多分ならないと思うので、予想不能で本当に楽しみ。

 しかしツレとも話してましたけど、違法移民居住区の雰囲気、クランバトルという機動兵器を使用した興行といい……ボトムズか? ここウドの街では? みたいな感じで雰囲気が良すぎなんですよね。学生生活との落差激しくて楽しくなっちまうよ、リアルバトル(ボトムズでは重火器ありのマッチはそう呼ばれる)もといクランバトルの修羅と女学生の表裏一体の危うさ、コロニーに外壁で隔てられた宇宙と住居のような危うさ、どうなるのか期待感しかない。

もしもの先。

 なにかこう、求める物が全部ある、凄まじい完成度。
 総じて「楽しみにすぎる」新作ガンダムでしたわ。

 まさかガンダムでこんなに感想が、自分の中から出てくるとは思わなかったんですが、水星は完走しなかったのにジークアクスは映画館に行ってまで見れたあたり。何か凄く惹きつけるものがありますわ。

 しかし米津氏……マチュとニャアンの出会いを歌詞にしてるように思いますけども、これはジオンが勝った先の未来「IF」の物語、だから「もしも」なんじゃないかなと思いが巡ると、中々趣深いなと。ガノタならまあ、その時を見てみたくなるのは当然だし、ケンプファーイチオシのガノタなのなら、こんな仕事きたらそりゃテンション上がってるでしょうねぇ。

 いい歳になってきましたが、まさかまだアニメ見てこんな湧き出てくるものがあるんだなと思うと、いやいい体験できたなと思います。こういう機会がないと魂が腐ってきて、創造性を失った無の労働者になってしまう。

 新しいガンダムは我々のような草臥れてきたプロレタリアートにも光をくれる作品だった、シリーズが始まるのを楽しみに待つことにしますよ。宇宙どころか県外にさえ飛び出せない半裸中年男性ですが、マチュが宇宙を駆ける様を楽しみに……俺は仕事だ。

 労働は尊い、市民の義務です。

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