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零くんの過去の時間


深夜にベッドでスマホを眺める零くん。
ロリータ服のショッピングサイトを開いている。
(いいな……こんな服着たい……。
でも、サイズ無いや……)


障害持ちの母は、父に虐げられ、見捨てられ、碌な職にも就けず貧しい生活を強いられながら、僕のことを大切に育ててくれた。
彼女には感謝してるし、母親として尊敬している。だからこそ、一つ後悔することがある。
母は、本当は、女の子が欲しかったらしいのだ……。
二人で出掛けると、たまに、可愛らしい服を身に着けた女の子を連れた母娘に羨望の眼差しを向ける。
でも、そのことは決して僕には言わない。
子供の性別を選ぶなど、傲慢か?
僕はそうは思わない。少なくとも母に関しては。
不幸な人に、一つくらい、望みがあったって良いじゃないか。

母は善い人だから、僕が〝あんなこと〟をしていると知ったら、悲しんで、貧しいが故に息子にそんなことを強いてしまった自分を責めるだろう。

「母さん。僕、大学に入るよ。お金の心配は要らない。僕の成績が良いので、支援してくれる人が現れたんだ。良い仕事に就いて、きっと楽させてあげる。」
男の僕に出来るのは、このくらいだ。
暫く、母には会えなくなってしまうけど。

母は、僕が大学に入る直前、亡くなった。

「じ……自殺……したんだ……。
僕と離れ離れになってしまうことを嘆いて。
結局僕は自分のことしか考えていなかった。
時間が戻ればいいのに……。」


大学へ行く意味も無くなってしまったが、パパ活を続けながら惰性的に通っている。
そんな中で、闘次郎ちゃんに出逢う。


特に旦那さんを連れて幸せそうな妊婦さんを、(いいなぁ……)という目で眺めてる。


闘次郎ちゃんと付き合い初めてから、〝パパ〟からの連絡は全て既読スルーして、執拗い相手はブロックする。

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