お嫁さんになれなかった零くんと、幸せな空想
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「先輩……!ちょっと、お話があります。」
一人で外出していた所にひろみくんが現れる。
覚悟を決めたような顔で呼び止められ、ひろみくんの声色に周囲の人は振り返る。
闘次郎ちゃんにはまだひろみくんを庇う気持ちがあり、事を荒立てないように、若干の恐怖を覚えながらも、人気のない路地裏へ連いて行く。
「先輩っ……
僕をもう一度、愛してはくれませんか。
僕は、貴方無しでは、生きていけません……」
「……」
やはり目を逸らした闘次郎ちゃんへの絶望は瞬時に怒りに変わる。
怒りに任せて壁を叩くと、レンガが割れる。
闘次郎ちゃんは恐怖のあまりおしっこを漏らしてしまい、そのままレイプされてしまう。
零くんの家へ戻った闘次郎ちゃんは目を泣き腫らして怯えていて、勘のいい零くんはすぐに気がつく。
闘次郎ちゃんには何も告げずに、邪魔者を始末しに行く。
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「う~~~~~~ん…………
コイツはもう、駄目だな。
戻ってこない。
諦めろ。」
「………………」
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「どちら様ですか。
……あぁっ、先輩っ……!!!
戻って来てくれたんですね……」
「………………ごめんな……」
ひろみくんは腹を鋭いナイフで刺される。
「え…………?」
アメイジング・グレイス。
「…………さようなら……」
ナイフを回して致命傷を与えてから抜いて、自らの腹に刺し、倒れる。
ひろみくんも同様に、大量の出血をして貧血を起こし、立っていられなくなる。
吐血をして、這いずりながら闘次郎ちゃんを抱きしめる。
「あぁ……先輩!
こっちへ……此方へ来てください……!
あはは……
これで、ずっと一緒に居られますね…………
先輩……好きです……大好き……
愛……して、……る……………」
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誰の為に謝っているのだろうか。
ひろみくんを見捨てたこと、ノコノコと戻って来たこと、零くんを見捨てたこと。
「ごめんな…………ごめん。……ごめん……」
「良いんですよ。
貴方さえいれば、それで良いんです……。」
二人きりの部屋で、仕事や学校へも行かず、ただ、愛し合う。
出逢った頃のように。
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