幼児退行②
幼児退行した闘次郎ちゃんは、ボールを追いかけて、車に轢かれて死んでしまう。
病院に駆けつけたひろみくんは担架に乗せられて運ばれる闘次郎ちゃんを見て、声にならない叫びを上げながら何度も呼びかける。
看護師に引き離されながら、過呼吸を起こして倒れる。
霊安室で病衣を纏い、虚ろな目で語る。
「……罰、なのでしょうか。先輩を守りきれないでいながら、そこに先輩がいることに安堵して、呑気に幸福な日々を謳歌していたから。……先輩の苦しみには、目もくれずに……。」
「あのねー。とじろーちゃんねー。いっつもひとりでしゃみちちょうだからねー。いっつもうさぎさんがいっちょにいてあげるんだー。だからひろみくんのとなりにもうさぎさんがいっちょにいてあげるね。」
何億年も生きて……この世界の、終わりと始まりを見てきた。
余りにも壮大で残酷な物語。
俺はただ、君と一緒にいたいだけなんだけど。……