零くんは眠れない
夜中に過呼吸でセンセに電話する零くん
寝巻きのまま車で零くんの家へ合鍵で入る。
零くんの嗚咽が聴こえる。
「苦しいですか?」
「苦しい……」
「どこが苦しいですか」
「胸が……心が、痛い……」
「あああぁあああぁ……やだよぅ……生きるのがやだ……辛い……」
「お薬飲めますか?」
「うん……」
「不安で、悲しいのが収まらないの……」
「なにか甘いものでも食べると落ち着きますよ」
「うん……でもね、お布団から出るのが怖いの……」
「では、私が……」
「待って……行かないで……行っちゃやだ……」
「わかりました。」
「……センセ。センセは、ずっとボクの傍にいてくれる?」
「えぇ。もちろんですよ」
「本当に?……絶対?」
「はい。約束です。例え貴方より早く死んでしまっても……ずっと零くんの傍で見守ります。」
「えへへ……そっか……。……ね、センセ……人間って、なんで死んじゃうんだろ……神様が悪い人間に罰を与えているの?」
「……神様は気まぐれなのです。でも、善い行いをしていればきっと、神様は安らかな死を与えてくださいますよ……」
「センセ…………一緒に、行こ…………?」
「……駄目です。貴方を連れて行かせる訳にはいきません……」
「じゃあさ……もしボクが死んじゃったら……センセは来てくれる……?」
「……私には『“行かない”と言う』という選択肢しかありません。貴方を死なせたくはありませんから。」
「ふふ……じゃあ、もし本当に死んじゃったら、センセは来てくれるんだね……大丈夫だよ、センセを置いて自殺したりなんかしないよ……でも、センセが死んじゃったら……ボク、着いていくから、ね?」