【令和6年度入試】宗教系学校における大学入試合格実績

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【令和3年度入試】宗教系学校における大学入試合格実績 | 大納會/大納会 (ameblo.jp)
【令和3年度入試】宗教系学校における大学入試合格実績② | 大納會/大納会 (ameblo.jp)

毎年恒例のこの企画ですが、今年は大幅に遅くなりました。
というのもなかなか各校の合格実績が出揃わず、夏を経てようやく目処が立った次第です。といっても智辯奈良のみインターエデュからの孫引きとなっています。
では早速参りましょう。


注意事項

※「令和6年度入試」とは令和6年4月に入学する大学選抜入試を指します。
入試は大きく2つに分かれ、学校推薦型入試や総合型選抜(旧AO入試)は令和5(2023)年9月~11月頃に実施され、一般入試は大学入学共通テスト4年目(2024年1月実施)を経て2024年1~2月にかけて行われます。合格実績数値はこれらを合わせた数値です。
合格実績数値は例外を除き各学校の公式ウェブサイト上に掲載された数値であり、2024年9月29日時点で確認できたものを対象としています。

令和6年度入試の合格実績が確認できたのは以下の学校です(順不同)
創価、佼成、佼成女子、明法、幸福(那須)、幸福(滋賀)、関西創価、天理、智辯、智辯和歌山(インターエデュより転記)、智辯奈良、金光大阪、金光八尾、MIHO美

未掲載の学校は以下の通りです
金光(いずれも前年・前々年と同数値であったため)
※松風塾、修徳、金光藤蔭蔭、三育、富士陽光は定点観測から外しています

令和6年度入試の概況

まずは大学入試全般の流れです。大学入試共通テストの志願者は前年から約2万人減少して491,914人となり、1992年の大学入試センター試験以来、32年ぶりに50万人を割り込みました。
来年は指導要領改訂に伴う入試の変更があるため安全志向になると思われましたが、結果的には例年通りの出願になりました。
総合型選抜・学校推薦型選抜の増加傾向は止まらず、私立大学に限れば入学者の58.7%が上記選抜を利用し、初めて一般選抜が40%を割りました。受験生のニーズは年内入試へとシフトしつつあります。
こうした実情をふまえ、各校の実績を確認していきます。

2年連続堅調の創価

昨年躍進を遂げた創価は今年も実績堅調であり、東大2名(前年2、以下カッコ内は同義)を筆頭に国公立大計26名(24)、早慶上智も23名(29)とほぼ同数をキープ。系列大学への進学も225名(229)とほぼ前年と変わらない数値でした。
なお系列の創価女子短大については2026年度以降の募集停止を発表しており、今回の入試が最終年度となりました。在学生に対しては卒業まで万全を尽くすとも述べられています。

隔年の佼成、躍進を続ける佼成女子

佼成学園は国公立37名(57)と苦戦するも、2年前は27でありそこと比べると増加傾向にあります。佼成は概ね隔年で増加と減少を繰り返しつつ、長い目で見ると増加傾向です。今回の国公立37名も過去7年で見ると2023年(57)、2019年(46)に次ぐ3番目の成績です。
早慶上智は36名(27)と増加、理科大26名(41)は減少、GMARCH137名(156)も減少であり、総じてみても前年よりも苦戦した様子が伺えます。

一方の佼成女子は近年合格実績が躍進している注目校です。今年も国公立11名(3)、上智は15名(19)と微減でしたが3年連続の2桁合格者数、GMARCHは26名(35)と若干苦戦でしたが、上位層の国立志向が高まった結果とも伺えます。

2025年度より全面共学化の明法

明法は2019年度から高校を男子校から共学校へ変更、2025年度からは中学も共学化して再起を図ります。
今年度は卒業生数161名に対して国公立8名(14)、早稲田は2年ぶりに合格者2名(0)を輩出、GMARCHは28名(36)と微減でした。日東駒専は47名(48)であり、現在のボリュームゾーンは日東駒専と言えます。

生徒減が止まった(?)幸福、今年も東大合格者を輩出

幸福の科学学園(那須)は今年は東大合格者を2名(1)輩出、過去7年のうち2018年と2021年を除き毎年東大合格者を出している実績はさすがです。系列学校への進学は53名(53)と前年同数であり、ここ数年続いていたとみられる生徒数の減少に歯止めがかかった印象です。とはいえ2023年初頭の大川総裁の死去(教団側からの公式発表なし)の影響はこの先現れるものであり、今後も油断できません。

同じく幸福の科学学園(関西)も今年は東大合格者を3名(1)輩出。過去最大数となりました。国公立も21名(15)と躍進、早稲田9名(6)も順調に増加しています。一方で卒業生数は2020年度の97名をピークに94 → 76 → 69 → 63と順調に下がっています。系列学校への進学は46名でした。
昨年指摘した千葉工業大学の合格者について、今年は那須・関西ともに表記なし(おそらく0名)でした。こちらについては今後も動向を注視します。

安定の天理、生徒数は年々増加

天理高校は過去7年で初の京大合格者1名を輩出、国公立も37名(24)と躍進しました。生徒数は過去3年で390 → 410 → 421と順調に増加しています。系列大学への進学者も169名と過去最高、今年は9月に宗教学会の開催地にもなり、今後の躍進が期待されます。
関関同立は28名(10)とこちらも躍進していますが、天理も隔年現象が起きており2年前は国公立40、関関同立も36名の合格者を出しています。

苦戦を強いられた学校法人智辯学園

昨年は「西の雄」と紹介した智辯学園ですが、今年はグループ全体での苦戦が見られました。そのためなのか、智辯学園は最後まで合格実績ページを更新せず9月に入ってようやく24年度実績が開示されました。智辯和歌山も学校ウェブサイトには23年度が最新となっていたためにインターエデュからの転記に頼らざるを得ず、智辯奈良も苦戦が見られます。

智辯学園は毎年複数いた東大・京大・阪大・神戸大の合格者が0名、国公立全体で見ても33名(49)と過去7年で最小、関関同立45名(75)も前年比40%減と苦戦しました。

智辯和歌山は東大2名(6)、京大9名(15)とこちらも苦戦、関関同立も64名(210名)と前年から約70%減と壊滅的と言えます。これほど苦戦する和歌山はワースト2の2019年(関関同立99名)と比べても厳しいものがあります。そのためか、これまで非公表だった東京理科大13名やGMARCHの実績を開示しています。

智辯奈良は京大1名(1)、国公立41名(38)と堅調を維持しているように見えます。関関同立も73名(59)と増加傾向にありますが、一点気になるのは生徒数です。
今年の卒業生は92名と過去7年を振り返っても最小であり、初めて3桁を割っています。少数精鋭と言えば聞こえは良いですが、生徒数の減少はゆるやかな衰退とも言えます。
これは奈良に限ったことではなく、智辯学園も今年の卒業生数は117名で過去7年で最小、直近3年を見ても152 → 150 → 117と急に下がっています。
これまで合格実績では堅調に見えた学校法人智辯学園ですが、今年はやや寂しい結果となりました。なお智辯和歌山の卒業生数は245名(253)と前年ほぼ同数でした。

躍進の金光系列学校

金光大阪は国公立4名(7)とやや少ないものの、関関同立76名(51)は大躍進です。この規模の学校であれば手堅く私立上位大学を目指す手法は良いでしょう。

金光八尾も2年ぶりの京大1名を輩出するなど国公立45名(32)は大躍進、関関同立151名(159)も安定数値です。生徒数231名(222)も安定しています。

7期生のMIHO美学院

年々苦しくなっているMIHO美学院、今年の卒業生数は20名でした。
合格実績も関西外大4名や神戸女学院2名など細々としたものです。今年は帝京大に1名合格しています。

総括

今年も様々な局面が見られました。ひとくくりに「宗教系学校の流れはこうだ」と言えることは当然なく、各学校の取り組みが現れる入試結果だったと言えます。中でも安定感があるのが東は佼成、西は天理でした。来年は智辯学園が再起を図るのか、今から楽しみです。

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