マガジンのカバー画像

✏️創作note

36
ことの葉、と称してたまに作る短歌、俳句などはこちら。まれに詩、創作短編なども。企画参加作品が多めです。
運営しているクリエイター

2023年5月の記事一覧

母の日に寄せて

母の日に寄せて

息子たちへ
カーネーションは要らないよ
可愛いスカートも履かないかも
美味しいドーナツなら食べたいかな
ほんの少し話をさせてね

あなたたちの知らない
ママのおばあちゃんのお母さんは
高橋のおばあちゃんという
下の名前は覚えてないの
青森出身の優しいおばあちゃんだったと
ママのお母さんがよく話してた

あなたたちが時々聞く
あなたたちのじぃじのお母さんは
キチヱさんという
明治生まれのおばあちゃん

もっとみる

ことの葉【皐月/俳句・短歌】


薫風や今日はカプリコ苺味


上履きの汚れこすりて過ぎる午後
カプリコかじる私も楽し


半分こしようとすれば崩れゆく
カプリコそっと口にする昼

#11ゼリポイントゲット

また、逢えた。 【ひと色展 キナクリドン マゼンタより】

また、逢えた。 【ひと色展 キナクリドン マゼンタより】

その鞄の、内側のポケットを開けてみたのは、偶然だった。

実家から、半ば強引に持って帰ってきた、ゴブラン織りのバッグ。
母さんがもう使ってないんだから、私もらってもいいよね。
そう言って、年代物の割にはとても丁寧に、大事に扱われてきたことが分かるその小ぶりの鞄を、一人暮らしの家に連れてきた。

あなたがそんなに欲しいんだったら構わないけど‥
それ、あなたのおばあちゃんからもらったやつなんだから、大

もっとみる
「あなたはわたし」  【ひと色展 フタロブルーイエローシェード】より

「あなたはわたし」  【ひと色展 フタロブルーイエローシェード】より

頭が痛い。

体中どこを絞っても、一滴の水分も出てこない。

もう何時間こうしているだろう、今日は晴れなのか、曇りなのか、それさえも分からない。
でも、雨は降っていないのだろう。

雨なら、音で分かる。匂いで分かる。
でも、締め切られた窓の向こうからは何の音も聞こえない。部屋の空気はつゆほども動かず、重く、そして乾いている。

目が開かない。

乾き切ったまぶたは、動かされることを拒んでいる。

もっとみる
数え歌 【ひと色展 イエローオーカー】より

数え歌 【ひと色展 イエローオーカー】より

あそぼあそぼ ぼーくとあそぼ

なにしてあそぼ かぞえてあそぼ

かぞえてうたう かぞえうた

ひとつ ひとりで ひなたぼこ

ふたつ ふっくら ふとんほし

みっつ みけねこ みつかった

よっつ よろけた よそいきに

いつつ いたずら いかのすみ

むっつ むしたち むがむちゅう

ななつ なきむし ななほしの

やっつ やきもち やなこった

ここのつころんで こままわし

とおで とんぼ

もっとみる