まち歩きの秋! 専門家と学ぶ「建築さんぽ」&自然観察を楽しむ「植物さんぽ」
少しずつ、朝晩の涼しさを感じられるようになったこの頃。もうすぐ、行楽の秋。大ナゴヤツアーズ的には、まち歩きの秋です!
10月は、屋外で楽しめるツアーをたくさんご用意しました。特に、建築や自然にまつわるツアーが充実! ということで、専門家と学ぶ「建築さんぽ」&自然観察を楽しむ「植物さんぽ」、2つのテーマでおすすめツアーを紹介します。あなたはどちらに参加したいですか?
「栄」の地名の由来は、中村区にあり!?
まずは、建築さんぽからご紹介。名古屋市内でまち歩きを楽しむならまず、繁華街ど真ん中・栄エリアはいかがでしょうか。
ちなみに、みなさんは「栄」の地名の由来を知っていますか?
「栄町」という町名が正式に成立したのは明治4年。江戸時代、明暦年間の頃から栄村(さこむら、現在の中村区栄生町)の住民がこの地区に店を出して商売をするようになったことが由来…という説もあるのだとか。
その後、昭和の新住居表示実施を経て、御園・住吉・久屋などを含む一帯が「中区栄1〜5丁目」と設定されました。土地の変遷に思いを馳せながら歩いてみるのも面白そうですね!
【建築さんぽ】身近なまち「栄」の隠れた面白さとは
ビジネスから買い物まで、名古屋の賑わいの中心地となっている栄。何気なく歩いている栄を眺めてみると「なぜこうなっているのか」と不思議なことがいくつもあります。
まち区画の中心でポツンと空いた空間、時代に取り残された昭和の香りが残る路地や街の景色、碁盤割の町割りに突如あらわれる謎の斜めの道、時代やまちの条件によって変わる建築物の数々。
地理や歴史、建築の技術、ライフスタイルの変化など、違う角度で見てみると浮かび上がってくるものがあるかも!?
様々な観点から建築にかかわる冨木さんの案内のもと、ダンジョンのような栄の都市考察ツアーに出かけましょう!
金のシャチホコは、実は左右対称ではない!?
名古屋の名所といえば、「名古屋城」を思い浮かべる人も多いのでは。お城の敷地内だけでも、ゆっくり歩くとたくさんの見どころがあります!
今も昔も名古屋城のシンボルとして輝く、金のシャチホコ。実は、雌雄一対でそれぞれ大きさや形が違うのをご存知ですか? 北側の雄は少し身体が大きく、南側の雌はウロコが多く、きらびやかに演出されているのだとか。
その輝きは、江戸時代に「熱田の浜に魚が寄らないほど光っている」と歌に歌われたほど。また、東海道を行く旅人も「天下様でもかなわぬものは 金の鯱ほこ あまざらし」と、これほどの金をあまざらしにする尾張藩の権力を称えたそうです。
【建築さんぽ】建築史家の目線で歩く「名古屋城」
そして、名古屋城の魅力は天守閣や金鯱だけではありません!
城郭として国宝第1号に指定された名城。戦災によって多くを焼失してしまいましたが、再建された建物や創建時から残る隅櫓や焼失前を忠実に復元している本丸御殿など、現在でも十分に城郭としての魅力を感じられます。
いざ、建築史家の米澤さんと名古屋城まち歩きへ! このツアーでは、「名古屋城の何が凄いの?」というポイントを建築目線で巡ります。
敵を寄せ付けない堀、燃えないように工夫を施された門、絶対に足を踏み入れたくない桝形、石垣を高く積む技術、櫓の配置の工夫など戦への備えが随所にみられる一方で、本丸御殿の各部屋のつくりの違いから分かる格の違いなど政治において果たす建物の役割も見どころです。
400年前の人がどのような想いでこの城を造ったのか、紐解いていきましょう。
【建築さんぽ】「知多岡田」でレトロ建築探訪
名古屋市内だけではなく、東海地方の各地でツアーを開催している大ナゴヤツアーズ。少し足を伸ばして、知多市の趣ある街並みを歩いてみませんか?
知多市・岡田は、江戸期の綿花栽培、木綿の機織りで栄え、明治期より木綿工場や卸問屋が建ち並んだエリア。現在でも豪商屋敷や蔵など、当時の面影が色濃く残されています。
ツアーでは、建築士の本山さんと岡田のまちの奥深さに迫ります。
街並みを構成する、黒壁、左官職人によるアール・デコ調の壁や、知多木綿の産業と深く紐づいている蔵など… 歴史背景や時代変遷がもたらした建物と変化を解説。映画やドラマのロケ地としても人気のあるまちを、建築士の視点で一緒に歩きませんか?
県内最大の原生林「きららの森」って?
さて続いては、植物さんぽをご紹介。自然の中で季節を味わいたいなら、県内最大の原生林として知られるく「きららの森」を訪れてみては?
名古屋から車で2時間あまり、愛知県北設楽郡設楽町へ。「きららの森」と呼ばれる段戸裏谷原生林は、樹齢200年を超える巨木がそびえたつ、自然の宝庫。
実は、学術的にも貴重な存在価値のある場所なんです。大正初期に考証林として約700haが保護され、昭和25年にはその一部が学術参考保護林として指定を受けました。では、具体的にどんなところが凄いのか? 知りたくなったら、ツアーに遊びに来てください!
【植物さんぽ】一足先に秋の訪れ! 紅葉の森へ
大きな木が多く、たくさんの動物が住み、山野草が森を彩る「きららの森」。標高が高いため、県内でも早くに紅葉が始まり、やがて長い冬を迎えます。針葉樹と広葉樹が入り混じる森で、紅葉が際立って美しいのが特徴です。
鷹ノ巣山を中心とした山の塊は「段戸山」と呼ばれ、かつては江戸幕府の直轄地だったといいます。その関係もあり、江戸城二の丸が火事になったときには、このあたりから再建の木材を供給したのだそう。明治時代になると宮内省の管理となったことで山間の町に鉄道を引くきっかけにもなりました。
全国的にも貴重な原生林を一緒に歩きませんか?
タンポポコーヒーってどんな味?
名古屋市内で自然を感じたいなら、矢田川河川敷での雑草路上観察ツアーがおすすめ。森のなりわい研究所 代表の伊藤さんの案内で植物を観察し、「タンポポコーヒー」も試飲します。
代用コーヒーの一種であるタンポポコーヒー。飲んだことがある人は少ないのでは? 焙煎したタンポポの根を材料にしたノンカフェイン飲料で、19世紀にアメリカで考案されたといわれています(ポーランド発祥など諸説あり)。河川敷の景色を眺めながら飲むと、ほっこり癒されそうですね!
【植物さんぽ】「矢田川河川敷」で雑草路上観察
“雑草”と呼ばれ普段誰にも気にされないものをじっくり観察してみると、何が見えてくるのか。いつもより視点を低くしてみると、思いもよらない世界と出逢えます。
河川敷は擬似草原であり、植物や生物にとっても面白いビオトープにもなっています。河川敷に集まる雑草、食べられる野草、公園などの街路樹も観察していきます。木曽山脈の最先端!?ともいわれる木ヶ崎公園での地形観察も。
イキイキとした生物たちに会いに、河川敷散歩を楽しみましょう。
【植物さんぽ】生物教員と「久屋大通」で観察会!
さらにもっと近くで、ルーペを片手に植物を観察してみると、今まで見えていなかったものが見えてくる…!? 植物に興味があるなら、生物教員の永田さんといく、久屋大通公園&フラリエの生物観察ツアーにも参加してみては。
久屋大通パークではハナノキやヒトツバタゴのような周伊勢湾要素(東海地方に特徴的な植物)の木や、ケヤキやクスノキといった街路樹の代表と、街路樹の幹に着生するコケ、地衣類、シダ、スミレのタネのエライオソームなどを観察。フラリエでは子供が葉に乗れるほど大きな葉のオニバスも!
植物観察の後は、栄のど真ん中の久屋大通がこれまでと大きく違って見えてくるはずです。
専門家と学ぶ「建築さんぽ」と、自然観察を楽しむ「植物さんぽ」。それぞれ3つのツアーをご紹介しました。みなさんはどのツアーに参加してみたいですか?
ほかにも、大ナゴヤツアーズでは多種多様なまち歩きツアーを企画しています。仏像めぐりや古墳めぐり、妖怪さんぽから着物散策まで。詳細は公式サイトからチェックしてみてください!