ポルノグラフィティGt.新藤晴一のギターソロは必要不可欠ということを伝えたい
「これすごいから、みなさんもぜひ!」といういわゆる「魅力」を発信するにあたり、文章化しての発信は果たして効果的か否か悩んでしまうのだが、悩んでもそうせずにいられないものがある。今回私がそうしたいのは、敬愛するロックバンド・ポルノグラフィティのGt.新藤晴一の弾くギター及びギターソロについてだ。
音楽など、百の言葉よりとっとと再生ボタンを押して聴いてもらったほうが断然早い。そりゃあそう。けれどそれは億も承知の上で、私はこれを読んでくれているあなたに、そして心の中で新藤晴一その人に「晴一さんのギターソロは必要不可欠なのよ」ということを、言葉で文章で表現し、魅力を伝えてみたいと思う。なんて無謀チャレンジングな。
なお、紹介する楽曲は最新のインスト曲が収録されている理由から、10thアルバム「RHINOCEROS」より全曲。歌ではなく「こういうことをこの曲から感じます」という考察や解釈にでもなく、とにかくギターソロ、まあ時々ギターの音に焦点を当てた内容になる。
加筆修正は加えたものの、すでにツイートした内容にもなるので基本的に重複しています。ですが、それはそれこれはこれ。割り切って楽しんで下さい。
はじめに:その経緯
きっかけは、忘れもしない今月13日に放送された彼のラジオ「カフェイン11」にての発言である。リスナーからの(要約すると)「サブスク配信が流行り始めてから、曲のギターソロを飛ばす人が多いと最近聞きます。それについて晴一さんはどう考えますか?」というメールに答えた形になるのだが、それへの彼の答えがこちら。
やかましいんじゃ。
では、先述したように、その「RHINOCEROS」から全曲一挙にどうぞ。
1. ANGRY BIRD
イントロから静かに忍び寄るギターを響かせ、緊張感のある音を続けていく。AメロBメロと裏で鳴り続けるもはや鳴き声のようなそれが、間奏からまさに「ANGRY BIRD」が羽根を広げ大きく羽ばたき威嚇するような音は身震いする響きを聴かせてくれる。派手というより、確実に急所を突いてくる攻撃力の高いギターソロ。是が非でも聴いてくれ。
2. オー!リバル
熱い風を感じさせてくれるギターの音から始まり、そのままラテンのリズムで「さあ、始めよう」と奏でていく。間奏ではステップを刻むようななめらかなメロディーで、ラスサビへ向けての聴き手の期待値を上げてくれる。始終、怪盗キッドさながら派手にニヒルにニヤリとこちらに笑いかけてくるようなギター。恐らくガットギターではないかと素人は推測する。聴いて損はない。
3. Ohhh!!!HANABI
華やかに、夏の夜の文字通り花火を頭に浮かべさせてくれるギター。間奏のカラフルなメロディーの連なりはウキウキする。リード曲のくせに本アルバムの中ではあまり目立たない(と個人的には思っている)曲だが、ギターの存在感は感じられる。線香花火のようにつつましくなく、大玉花火のように派手すぎというわけでもないのに、ポイントを外さず聴かせてくれるギター。夏じゃなくても聴ける。
4. wataridori
イントロのメロディーを少し切なげに聴かせる。その後のAメロは昭仁のギター、そしてBメロから入る晴一のギターでサビ前の助走がつき、曲の世界が広がっていく。間奏で昭仁の歌を引き継ぐように、夕陽に向かって叫ぶようなギターの音はあなたの胸を震わせること間違いない。バラードに浸りたい時にも聴いてみて。
5. Hey Mama
「ねえママ、パパがね、出会った頃ママはとってもかわいい笑顔だったってこっそり教えてくれたよ。だからパパにもっと優しくしてあげてね」というようなことを酔った勢いで書いた上に、それを弾いて歌ってみちゃった気恥ずかしさを音にしたようなギター。晴一がメインボーカルを務めているが、ギターも併せて二重のボーカルがちょっと味わえるカワイイ曲。非常に短く1分15秒ほどだが、それゆえの微笑ましさも感じるので聴いてみて。
6. 俺たちのセレブレーション
文字通りギターが「祝っている」。自分たちの15周年を、ここまでとっちらかせて聴かせてくれる曲はそうないと思うが、ギターの音がくるりと一回転、ステップ、スキップ、走る、間奏ではさらにそれが加速してお祭り騒ぎのような賑やかさだ。ソロは短いが、だからこそ存在感抜群。聴いてみると楽しいよ。
7. Stand Alone
イントロからエンジンをふかすようなギターメロディーで、「どんな曲なんだろう」というわくわくした気持ちを持たせてくれるだけでなく、最後まで駆け抜けさせてくれる。この曲にあるメッセージの説得力を増してくれ、間奏で風を巻き上げ手伝うように追い風を吹かせてくれるギター。聴いてくれよな。
8. ワン・ウーマン・ショー〜甘い幻〜
ばかだけど、苦いけれど、それは甘い夢だったと諦めるような大人の女性のむなしい恋を、ひとつひとつ紡いでくれるようなギターメロディーが続く。女性目線だからか、ギターも女性性を帯びた音。彼女がこれまでの思い出を振り返るような、そんな間奏ソロの切なさは必聴。
9. ソーシャルESCAPE
風刺を効かせた詞の中で一際目立つのが間奏ソロの跳ね具合と「指が取れそうだが???」というくらいの、連続したメロディー。比較的長く約40秒は晴一のギターがここで楽しめる。個人的ポイントは間奏明けに一度(あなたがイヤホンをして聴いているなら左耳から)入るエッジの聴いた一音。聴いてみてくれ。
10. バベルの風
イントロからアウトロの最後まで、ギターの音が重厚にロックに、バキバキのサウンドで聴かせてくれる。この曲のキモはやっぱり間奏のソロ。長くはないが、聴いてるこちらが心をはやらせ、最後までそのリズムを保ったままゴールを切らせてくれる。この飽きさせないロックナンバー、かっこいいんだから聴いてみて。
11. AGAIN
歌もギターも全てが慟哭している曲だが、それがしつこすぎることもなく、泣かせにくるわざとらしいものでもなく、いっそ静かに確実に揺さぶってくる。間奏ソロが一番かと思いきや、最も感情に訴えかけてくるのはサビ前のギターの軋みだと思う。このギターの音をあなたは泣かずに聴けるか。
12. Good luck to you
前トラックのAGAINから一転、ガラリと世界を変えてくれるのがポルノである。はっちゃけ具合、決して自暴自棄というわけでもない感情が、ギターの音からも伝わると思う。クールにキメたギターのイントロ、間奏はソロギターではなくまさかの新藤晴一のラップ(通称・ハルラップ)とラスサビ前の一声。歌詞そのままに「浮かれ気分で飛び出してみせろ」を体現したようなギターが楽しませてくれる。
13. 螺旋
本アルバム唯一のインスト曲。ギターソロ中のギターソロ。2分53秒ずっと新藤晴一しかいない。だがそれがいい。インストなのに歌詞がある、声がする、それが新藤晴一のギターである。文字通りくるくると落ちていく妖艶さ、これまで3曲インストを出してきてついに大人の色気をたっぷりと聴かせてくれる。いいか、飛ばすなよ絶対にだ。
14. ミステーロ
このRHINOCEROSというアルバムを美しく終わらせてくれる1曲。Aメロ、Bメロ、サビと追いかけるように、逃さないように聴かせてくるギターの音、タイトルが示す意味を、アウトロ以上にそのまま表した間奏のギターソロはめくるめく鮮やかさで、文字通り神秘的。美しい音色に酔いしれて、最後までRHINOCEROSの世界に浸かってほしい。
おわりに:つまるところこれです
当日、ラジオを聴きながら私は顔が歪んだ。何を言っているんだ、どうした晴一。一体何を弱気になっているんだ!そんなに今回、歌詞に苦戦してるのか!
晴一さん自身もこの放送回で語っていたように、「ギターソロはいわばミニ作曲。1曲作っても別に褒められんし」というのは恐らく本音なのだろう。スポットのなかなか当たることがないものに、苦労していくのもただただしんどいだけだろうことは想像できる。そこへ「いや、頑張って作ってよ!」というのは酷なのだろうか。
だが、である。我々ファンにはそんなことは関係なくないか?なぜならばそう、ギターソロも曲なのだから。これだけはひとつの揺るがない正解である。今回のリスナーのメールにあったように、「個人的には有り得ません。ギターソロ、大好きなのでなくさないでください!」この言葉は、ほぼ全ポルノファンの叫びと願いと取ってもらってもいい。わたし的にも有り得ません。
新藤晴一のギターソロは、ポルノグラフィティの曲において必要不可欠、そして私にとってもファンにとってもなくてはならない存在である。もはや欠けた月はまた満ちればいいとかそういうことにはなり得ません。あなたのギターがなければポルノの曲の魅力は75%減少します。損失です。それだけ素晴らしいものなのです。
お分かりいただけましたか?
つきましては、8月3日にリリースされるアルバム「暁」、特にギターソロをめちゃくちゃに褒めて差し上げますのでどうぞひとつよろしくお願い致しますね!