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「ハンバーグ特集」はGoogleディスカバーとか関係なくいい想い出になった 林雄司が結果を解説 #DPZ

ニッチで渋い企画が大好きな「デイリーポータルZ」ですが、12月中盤は、素直すぎる企画「ハンバーグ特集」を実施しました。ライターがローカルチェーンのおいしいハンバーグを食べに行くだけの企画です。

目的は2つありました。一つめは、「Googleディスカバー」に載ってPVを増やすこと。二つめは、狭くなりがちな記事テーマを、いったん広くしてみることです。

1週間にわたる特集の成果を、Webマスターの林雄司が語ります。(話:林雄司 構成:岡田有花)


ディスカバー効果「あったような、なかったような」

ハンバーグ特集は12月16日から1週間にかけ、7記事を掲載しました。

ブロンコビリーのハンバーグがご飯に合う理由は、たぶん塩(安藤昌教)
ジョイフルでハンバーグまみれ(窪田鳳花)
デニーズでシェフ監修ハンバーグを食べる(トルー)
つばめグリルをはしごする(江ノ島茂道)
ステーキのあさくま「学生ハンバーグ」で思い出をやり直す(石井公二)
愛されて30年、カウベルの弾力ハンバーグを食べる(爲房新太朗)
メニューが肉肉しいファミレス、トマオニを知っているか(まこまこまこっちゃん)

それぞれ、Googleディスカバーから、どれぐらい流入があったのか。結果をみてみましょう。以下が、同じ期間に掲載したハンバーグ特集の7記事と、同期間の通常記事(7本)のPVを比較したグラフです。

青い部分がディスカバーからの流入、オレンジがそれ以外です。

ハンバーグ特集のPVグラフ
非ハンバーグ特集のPVグラフ

ディスカバー効果、あったような、ないような……。

ハンバーグ特集では、「ブロンコビリーのハンバーグがご飯に合う理由は、たぶん塩」「ジョイフルでハンバーグまみれ」がディスカバー率が高く、それぞれ3割前後がディスカバー経由でした。とはいえ全体の傾向としてはディスカバー頼みではなく、普段のデイリーの読者から安定して読まれました。

前回「江ノ島はディスカバーの申し子」なんて言ったんですが、江ノ島さんの「つばめグリルをはしごする」はディスカバーから全然来ず、デイリーの普段の読者によく読まれました。江ノ島さんがつばめグリルをはしごした頑張りですね。

非ハンバーグもヒット記事が多かった週でしたが、半数以上がディスカバー経由の記事もありました。「海水でカニを茹でたら美味しいのではないか?」「これはもうひみつ道具だ!カメラのレンズが望遠鏡になるアダプター」はそれぞれ、50%以上がディスカバー経由でした。

結局、ディスカバー率は“非ハンバーグ”のほうが高く、非ハンバーグの勝利という結果になりました。

ディスカバーとかいいから、美味しいものを食べることの大事さを教えてくれた特集でした。ポジティブに言えば。

ハンバーグとディスカバーの相性を考えていなかった

Googleディスカバーには地名とか食べ物が載りやすいから、今回「ハンバーグ」という、みんなが好きな食べ物にしてみたんですが、1周回って意外なとこを狙っちゃう癖が出ました。

ディスカバーは、その人が普段検索してるワードなどに関連する記事が出るみたいなんですが、ハンバーグ、そんなに検索しないですよね! ディスカバーとの相性を考えていなかった。

場所も考えていませんでした。ディスカバーは東京より地方で利用されている印象があったんですけど、江ノ島さんが食べた「つばめグリル」は東京と神奈川の商業ビルにしか店舗がないみたいですね。

つばめグリルは都心すぎた(公式サイトより)

ライターが喜んだ

結果として、「みんながデイリーの経費でハンバーグを食べた」っていう、楽しい時間になりました。ライターに喜んでもらうのは大事ですから、良かった。

経費も安かったですよ。みんな2000円とか3000円ぐらいでした。江ノ島さんだけ高くて4000円ぐらい。2店舗まわって2回食べたから。でも、4000円です。

発見もありました。ハンバーグ特集1本目(ブロンコビリー)をアップした後、「あさくま」の記事を準備していた石井さんから「ブロンコビリーとほぼ同じです」って連絡があって。

いいハンバーグ屋さんって「牛肉100パーセント、サラダバー、塩で食べるご飯に合う、店内はウエスタン調」と、要素が割と一緒。ストレートに書くと、似ちゃうんですね。

そんな状況でもみんな、ひとひねりした原稿で面白かった。江ノ島さんは2店舗めぐるし、窪田くんはジョイフルで4つも食べるし。石井さんは「思い出をやりなおす」だし、食べる時も塩胡椒をかける時もずっとカメラ目線で笑いました。

石井さんは塩コショウもカメラ目線

1月の特集は焼き肉と「地域」です

1月は予告通り、焼き肉特集の予定です。12月とライターが重ならないようにしているんですが、江ノ島さんは焼肉もやりますよ。

もう一つ、ディスカバー狙いの企画として「地域紹介特集」が始まる予定です。ライターのみんなも帰省するので。地元の観光名所ではなく、みんなが行ってるスーパーとかを紹介してもらおうと思っています。私も、今住んでいる経堂で書こうかな。

その後の2月は……カニ特集ですかね。「海水でカニを茹でたら美味しいのではないか?」がディスカバー率5割超だったことを考えると、本気でディスカバーを狙うならカニかもしれません。でもハンバーグの反省からすると、「カニはうまい」ばっかりとかになっちゃうかも。

揚げ物とかの方がいいですかね。ハンバーグみたいな完成品ではなくて、ひき肉とか原料にすると幅が出るのかもしんないですね。

でもディスカバーに載らないか。目的を忘れかけていました。

「ガイドブックに載っている旅」はどうでしょう

食べ物からは一度離れたい気もしますよね。太いところを狙いつつも「その手があったか!」って言われたい。

「ガイドブックに載っている旅」ってどうですかね。みんな「ガイドブックに載っていない旅」を逆張りでやりがちですけど、今新しいのはむしろ、載っている旅じゃないか。ライターの石井さんとそんな話になりました。

置き去り企画もいいかも。2019年の年末年始に、新幹線の駅にひとりだけ置き去りにされたいっていう企画をやったんですけど、意外に評判が良くて、第二弾を期待する声があるので。

新幹線の駅にひとりだけ置き去りにされたい

アウトレットパークとか湖畔とかレジャー施設とか、置き去りにされて嬉しい場所に、ライターを置いてくるのもいいですね。移動用の車を運転できるライター、2人しかいないけど。

ハンバーグ特集、やって良かった

改めてまとめると、ハンバーグ特集はやってよかったです。

ディスカバーの効果はあるんだかないんだかよく分からなかったけれど、ライターが幸せになったし、読み手が広いからPV的にも上乗せがあったと思います。

ハンバーグは普通すぎて、いつもの読者のみなさんには「デイリーが日和った」って思われるかな、とちょっと心配していたんですが、素直に喜んでもらえて、よかったです。

来年の特集にもご期待ください。またハンバーグやってたら記憶力やばいなと思ってください。