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メルケル首相、同職就任後初のアウシュビッツへ
メルケル首相はあす、ポーランド南部のアウシュビッツ・ビルケナウ強制収容所を、2005年の就任以来、初めて訪問する。
ドイツでは近年、反ユダヤ主義によるヘイトクライム(憎悪犯罪)などが増加しており、旧ソ連軍による解放から75年の節目を迎える2020年を前に、国内で再燃しつつあるこうした反ユダヤ主義に対応する格好。世間でも注目が高まりそうだ。
アウシュビッツを訪問するドイツの宰相は、メルケル氏で3人目。
メルケル首相は、ポーランドのモラウィエツキ首相や収容所の生還者らと共に、「働けば自由になる」と掲げられた強制収容所の門などを見学するほか、何千人もの収容者が銃殺された「死の壁」で黙とうを捧げる予定。
また、スピーチも行う。
国際アウシュビッツ委員会のクリストフ・ヒューブナー副委員長は「この訪問は、国内の関心と連帯を高める非常に重要なサイン」と歓迎の意を示している。
独政府はメルケル首相の訪問に先駆け、アウシュビッツ・ビルケナウ基金に6,000万ユーロを寄付することを承認する見通し。
ドイツの警察当局によると、
昨年に国内で発生した反ユダヤ主義による攻撃は1,646件。前年から10%近く増加し、過去10年で最多を記録した。10月には東部ハレのシナゴーグ(ユダヤ教会堂)付近で、ユダヤ人を狙った銃乱射事件が発生し、2人が死亡した。
私は今年4月、初めてアウシュビッツ収容所を訪れた。
昔から一度は見ておきたいと思っており、ようやくそれが叶った。同施設で日本人として、またアジア人として唯一の公認ガイドである、中谷さんに連絡を取り、解説や背景を聞きながら、見学をした。
歴史上の出来事、と切り離すのではなく、我々が生きる現代でも当てはまり得る問題だと中谷さんは指摘。大衆迎合が生んでしまった悲劇であり、考えることを放棄し、他人に追従するのは「人間」ではない。
こうした事象を引き起こすのも、歯止めをかけられるのも私たち。
自分はどうなりたい?
中谷さんは私たち参加者に尋ねた。
考えるに、特に日本はそのきらいがある。「出る杭は打たれる」という諺が存在するくらい、他者と異なるものは異質と捉えられ、画一化されるよう矯正される(ような気がする)
目立てば叩かれるから大衆に迎合しよう。このマインドが潜在的にある気がする。
争いを好まない日本人の良いところでもある。
だが、時には自分で考え、違和感を感じたら大衆に混じることから一歩引いてみるのも必要だと思う。勇気はいること。その一歩は非常に大きく、何かが変わるきっかけになり得るかもしれない。
私は常にそれが「自分の基準に照らし合わせて」正しいか、変ではないかを考え続けたい。
収容所内に咲いていたタンポポ。
当時の収容者の方々も同じような景色を見て、一瞬でも気分が和らいだのだろうか。想像しながら、ここを後にした。