チェロ 成長を阻む音
この日は久しぶりに仕事後にチェロに行った。
連日の寒さと疲れのせいか体調がいまいちだった。職場は寒い。外も寒い。
だからか私もうすら頭痛。体温が低いせい?肩こりのせい?
と思いながら、行くと教室はポカポカだった。
暖房完備っていいね。
まずは基礎の練習。
そこから、第1ポジションから第4ポジション(チェロの下の方の場所)へ移動、またその逆を弾く練習をする。
このとき、左手の指はずっと弦を押さえ続けたまま上や下に動かすと前回初めて習った。
この弾き方を教えてもらった時、「嘘でしょ」と思った。
的確なミやファではなく、音がみょーんと聞こえるからだ。
このときの音がどうにも私は苦手だ。
そして今回のレッスンは私は体調がいまいちだったことと、仕事帰りの疲れが合わさって、この音がだんだん気持ち悪くなってきた。
先生が見本として色々なバージョンで弾いてくれたが、
あまりにもこの音を連続で奏でるので、思わず先生に、
「音が気持ち悪い。」
。
いつも真顔で話す私も、疲れから感情を隠しきれず、眉間にしわを寄せて伝えた。
「なんか、真空管みたいな感じの音がする」
自分でも何がどう真空管なのか分からないのだけれど、今思えばだいぶ昔に流行っていたテルミンという楽器の音と似ている気がする。
先生は「えっ!?」
と驚いている。
「でも楽器の特性上仕方ないんだよねぇ。」
と言って、弦を押さえながら弾くバージョンと押さえずに弾くバージョンの違いを披露してくれたが、
もう無理無理無理無理
弾かないで!
どんどん気持ちが悪くなっていく。吐き気すら催してくる。
私がずっと眉間にしわを寄せているので、先生は妥協策として
「もし無理だったら、放して弾いてもいいよ」
と提案してくれた。
その案速攻採用する。
課題曲の『荒城の月』はそれなりに練習していった成果か、前回よりだいぶマシになったと一人で思っているし、第1ポジションだったら、音はだいたい合うようになってきたなぁと自分で褒めている所。
『荒城の月』をがんばったので、帰りは仕事の精神的なしんどさもどこかにいった。気持ちが軽くなり、ホッと帰宅の途についた。