チェロ どんなにひどくても落ち込まない
クリスマスが近づいていることも忘れていたぐらい私生活の追い込みに忙しかった。婚活ではなく、10月から準備していたことの集大成が近づいてきていたのだった。
何をしていたのか。
それは旅行の準備である。
父親に行きたいと言われ、必死こいて婚活のことを考える間もなく、手配をしていた。
言う方は簡単だ。つぶやけばいいのだから。
こちらは仕事から帰った後、必死だ。
そしていよいよ次の日が出発日だというのに全く何の準備もしていなかった。
無事に旅行へ出発できるか頭はいっぱいだったけれど、少しはエーデルワイスの練習はしていった。
ただ授業が始まるとそれ以上に授業は超特急で進みすぎだった。唖然としっぱなしだった。
全然ついていけないし。
弾けたのは、授業トータルの中で4割ほど。
前回の授業終わりに、次回は新しい曲に進むと言われていた。
以前に弾いたこともある曲だったし、何回やってもエーデルワイスが弾けないのでそちらを優先的に練習していた。
そうしたら、授業はやはり一番できる人にあわせるので教本からすでに何を弾いているのかさっぱりついていけなかった。
新しい曲はいきなり通しで弾かされる。
自分自身がマイペースにスローすぎて音は分かっているのに、弦の移行とかすっかり忘れていた。びっくりするぐらい忘れていた。
たぶん弾けているのは2代目マイチェロさんだけだったのではないか。
いやむしろ2代目マイチェロさんだけグループレッスンを継続する意思があったからか、2代目マイチェロさんだけのためのように、2代目マイチェロさんに合わせた授業だった。
授業にすっかり置いて行かれていることや、存在がないように扱われているように感じたこと、私いなくてもいいかしらと一瞬頭をよぎったこととか。
先生がどんな考えでどんな思いで授業を進めていたかは知らなけれど、そこから私には色々思いが出てきた。けれど旅行のことで頭がいっぱいだったので深く考えずにすんだ。
勉強についていけなかった学生時代も同じ思いをしたなぁ、知ってる知ってるこの気持ちとふつふつと思い出しながら、そんな気持ちは一切顔に出さないのが私。
グループレッスンはあと一回だ、修行だと言い聞かせた。
新しい曲はびっくりするぐらい弾けなかったけれど、エーデルワイスはびっくりするくらい弾けるようになっていた。
そんなことに少し満足した私。
そして夜は、旅行に持っていくために買った詰め替えの化粧水をクレンジングを入れた容器にぶちこんでしまい、化粧水をすべて廃棄することになってしまったことに落ち込んだ私。
そして私はただいま休暇中♫