木造建築物の組立て等作業主任者技能講習を受けて、意外に気付きが多いと思った話
はい! おはようございます!
たまには現場を離れて講習でも受けることもある田舎の大工です。
全国の木造建築を叩きまくってる職人の皆さま、いかがおすごしでしょうか??
ということで、木造建築物の組立て等作業主任者技能講習を受講してきたのですが、これで、軒高5m以上の木造建築物の構造部材の組み立て、屋根下地、壁下地の取り付け作業の監督・指導ができるようになります。
意外かもしれませんが、棟上げ作業での注意点だけでなく、もろもろの現場監督としても気をつけておきたい、知っておきたいことも盛りだくさんなので、受講がまだの方にもおすすめです。
ポイントだけを備忘録として、かいつまんで記録しておこうと思います。
意外に多い、労働災害
木造家屋建築になるので、規模も小さく、平屋、2階建て、3階建てくらいな工事ではあるんですが、意識が低くなりがちなのか、労働災害の割合は結構多いです。それでこの木造建築物の組立て等作業主任者技能講習が制定された背景にもなるんですが、建設業での死亡者数の1割ほどが木造家屋建築で占めています。
死亡災害の内容では、墜落と転落が7割ほどを占めていて、建て方と屋根下地での作業が危険だということですね。あと、最近は高齢化で人数が多いっていうのもあると思うんですが、50歳以上が75%以上を占めているんですね。以前は半分でした。歳を取ったらあんまり高いところに上がらないようにしたいものですが、じゃあ誰が行くん?ってなると、行くしかないという。。。
現場での役割
木造建築物の組立て等作業主任者として現場では、
・事前に作業の打ち合わせ、使用するものと使用方法の検討
・作業前に機器や工具の安全確認をさせて、自らも点検、不良品の排除
・作業の方法、順序を手順書をまとめて、作業者が理解できるようにし、直接指揮
・安全作業の監視(保護帽、安全帯、不安全行動是正、整理・整頓・清潔・清掃など)
をするようになるので、責任も重大です。
安全管理も
・作業者の模範となって安全を守る努力を実行
・不安全状態と不安全行動をすぐに是正する
・作業者の服装と安全装備を点検、使用させる
・安全活動(準備体操、朝礼、安全ミーティング)
・作業前点検、巡視、指導、片づけ、終業時の確認
などなど、毎日現場で行うことになるのでやることたくさん、大変です。
工法の特徴をおさえておく
在来軸組工法
・足場先行工法で墜落防止が図られ、躯体内部へは安全ネットを設けたり、床下地合板を先行させる。
・横架材を吊り込むのに移動式クレーンが用いられることが多い
枠組壁工法(2×4)
・あらかじめ壁枠パネルを工場で用意し、移動式クレーンで建て方する
パネル工法
・あらかじめ工場で、床枠組、壁枠組に合板、断熱、サッシを取り付け、大型トラックで搬入され、移動式クレーンで建て方する
ユニット工法
・工場で箱型の住居ユニットを用意し、移動式クレーンで建て方して、つなぎ合わせたり、積み重ねる。
・狭くてクレーンが使えない、搬入できないと組み立ては困難。
ログハウス工法
・丸太材や角ログ材を積み重ねて壁を構成して、屋根を掛ける。
・チェーンソーの取り扱いに注意(防振手袋、保護メガネ、耳栓、連続10分、1日2時間以内)
・チェーンソーは軽量、低振動を選ぶ
足場のポイント
・高さ5m以上で主任を付ける
・幅40cm以上、床材間は3cm以下、床材と建地は12cm未満
・手すりは90cm以上、中桟は35〜50cm
・軒先から建地を30cm以内にするか安全ネット
・悪天候、一部解体や変更時に点検する項目
床材の損傷、取り付け、掛け渡し状態
建地、布、腕木の緊結部、持続部、取り付け部の緩みの状態
建地、布、腕木の損傷の有無
緊結材、緊結金具の損傷、腐食の状態
墜落防止設備の取り外し、脱落の有無
巾木等の取り付け状態、取り外し状態
筋交、控え、壁つなぎの補強材の取り付け状態、取り外し状態
突りようとつり索との取り付け部の状態、吊り装置の歯止めの機能
いろんな注意事項
・電線が近いなら防護管を取り付ける
・野地板は軒先から棟、下から上へ張っていく
・はしごの幅は30cm、上部を60cm突き出す
・屋根勾配が6寸以上なら幅30cm以上の屋根足場の設置
・脚立の天板に乗らない、遠くに無理な姿勢で作業せず移動する
・体重の40%を目安にそれ以上重いものをひとりで持たない
・資材搬入は工程表をよく検討して、よく打ち合わせる
・道路にクレーンを配置するなら、道路使用許可を警察署から得る
・打ち合わせた場所に資材を置き、余ったらすぐ回収させる
・「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」と「再生資源の利用の促進に関する法律」に基づいて産廃処理
・廃棄物は収集運搬業者、中間・最終処理業者それぞれと委託契約
・廃棄物を現場内で焼却や埋めたりしない
・悪天候の基準
10分の平均風速が10m/s以上の強風
1回の降雨量が50mm以上の大雨
1回の降雪量が25cm以上の大雪
震度4以上の地震
・3m以上から物体を投下するには監視人を置き、投下設備を設ける
・2重絶縁構造の電動機械を使う
・リスクアセスメントは、作業行動に起因する危険性又は有害性を調査し、その結果に基づいて、法律又はこれに基づく命令の規定に夜措置を講ずる
・移動式クレーンのつり上げ荷重1t以上5t未満が技能講習、アウトリガーは最大限
・丸ノコの接触予防装置は固定しない
特定元方事業者は
・災害防止協議会の設置、運営
・作業間の連携、調整
・作業場所の巡視
・関係請負人が行う労働者の安全衛生のための教育に対する指導、援助
を行わなければならない
まとめ
やっぱり建て方、棟上げの時に労働災害が多いのは、人が多くて一気に作業して、難易度も高いので危険だということですね。お互いに気をつけましょう。