ドラえもん展での大根芝居とおじさん
今日は何もない日だったので美術館に行ってみることにした。
特に美術館によく行くわけでもなく、芸術に明るいわけでもない。
でも、
「ドラえもん展行ってみれば?」
パートのおばさんが放った一言が僕の心を突き刺した。
なぜかは分からない。
行ってみよう!そう思った。
そうして今日、僕は「ドラえもん展」に出かけた。
そもそもドラえもん展って何だ??
どんな展示なんだ??
そんな疑問と謎のワクワク感を持ちながら目的地に到着、、、したはずだった。
あれ?なぜ看板がない?
おかしい。
あ。
ここ文化センターじゃん。
いきなり「ドラえもん展」の洗礼を浴びた。
「そう簡単に見せるとでも??」
そう言われている気がした。
気を取り直して今度こそ美術館に到着。
どうやらこの展示はさまざまなアーティストが自分なりのドラえもんを作成し、展示するらしい。
なるほど。
正直芸術はまるで分からないが、テーマがドラえもんならなんとか食らいつけるかもしれない、、、
そう思ったのも束の間だった。
「これは〇〇さんの作品なのねぇ。あ、これはあの時の、、、」
隣にいたお婆さんが連れの女性に話していた。
まずい。
この人はドラえもんにも芸術にも詳しい人だ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
さて、読んで下さっているみなさんの中にも芸術とか全く分からないのに分かる人を装う方、いますよね?
僕それなんです。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
まあでも、この人だけならなんとか、、、!!??
同じ歳くらいの女性がたくさんいるだと!?
これは、まずい。
悟られないようにしなければ。
まあ、そんなことを考えたところで僕ができることは少ない。
まず、作品の作者と概要を読み、軽く頷いてみる。
次に、線のギリギリに立ち、特定の部分をよーくみる。
軽く頷く。
以上である。
これを繰り返した。
ここまで読んで下さった皆さんはもうお気づきでありましょう。
僕は全くドラえもんに集中してないのです。
しかし、出口を出た僕には謎の清々しさがありました。
「演じ切った」
これでしょう。笑
謎の清々しさと開放感を胸に、僕は駐車場へ。
すると、警備のおじさんが
「ありがとない。気をつけて帰らんしょ。」
そう一言。
県庁所在地とはいえ、標準語が飛び交う市内でこんな若造にも訛りが効いた挨拶をしてくれるだと!?
一瞬の出来事に少し戸惑ったが、嬉しさが勝ったのだろう。
先程の館内でのくそ芝居など比にならないほどスムーズで、全く淀みのない笑顔で感謝を伝えることができた。
「今日ここに来てよかった」
そう思えたのはきっとあのおじさんのおかげだろう。
そして、これからも定期的に美術館に行こう。
そう思った。
もちろん芸術は分からない。笑