おすすめのIT企業の選び方
本記事では、エンジニア職を志望する方向けに就活生の目線でのおすすめの企業の選び方を紹介します。
4つのタイプの企業
本節では、SIer、ITコンサル、SES企業、自社開発企業の4つのタイプの企業について説明します。また、ITコンサルは厳密にはエンジニア組織ではないですが、広義のものとして含めます。
SIer(System Integrator)
クライアントの希望に応じたシステム構築を行う企業を指します。また、要件定義や設計などの上流工程から開発や運用などの下流工程までシステム開発は細分化されます。多くのSIerはそれぞれの工程に特化している場合が多く、多重下請けの構造になることも多いです。
ITコンサル(ITコンサルティングファーム)
クライアント企業の課題をITを用いて解決する企業を指します。SIerの目的がシステム構築であるのに対し、ITコンサルの目的はクライアントの課題解決であるという違いがあります。また、ITコンサルがSIerに下流工程を請け負う場合が多いです。
SES企業(System Engineering Service)
クライアント企業に人材を提供する企業を指します。勤めているエンジニアは客先常駐で働きますが、派遣とは異なりクライアント側に指揮命令権はありません。ただ、クライアント側に指揮される偽装請負が発生することで、ブラック企業化する可能性もあります。
自社開発企業
システムやサービスの開発工程を全て自社で行う企業を指します。他の3種類とは異なり、勤めているエンジニアの給与等は業績にも依存します。
新卒でどのタイプの企業がおすすめか?
本節では、「給与」「携わる工程」「クライアントの有無」の三つの観点から、先程の4つのタイプの中でおすすめの企業を紹介します。
「給与」
まず、同程度の規模の企業では、給与は「SES企業<<<SIer<<<自社開発企業<ITコンサル」となります。ただし、自社開発企業の場合は業績にも依存するので、ITコンサルを超える場合もあります。また、SIerについては上流工程ほど年収は高くなります。当然ではありますが、上記は同程度の規模で比較しているので、大企業ほど給与は高くなり優劣が逆転することもあります。
さらに、新卒であってもこの傾向は変わらないため、自社開発企業とITコンサルが個人的にはおすすめです。ただ、自社開発企業やITコンサルには実力主義の企業も多く、昇級幅が大きい代わりに初任給が低い場合があります。初任給だけでなく給与体系についても詳しく調べることをお勧めします。
「携わる工程」
前述の通り、携わる工程は企業によって異なるため、一口にエンジニアとは言っても業務内容は様々です。また、新卒にて選んだ職種が自分の近い将来を決める可能性が高く、将来エンジニアとしてしたい仕事を元に逆算することが重要です。自分の場合、将来は起業したいという思いが漠然とあるため、開発工程の全体像を見るために自社開発企業を中心に探していました。ただ、大企業では自社開発企業であっても専業制を敷いている場合が多いので、注意が必要です。
「クライアントの有無」
自社開発企業以外にはクライアントが存在します。クライアントのために働くのを好むかは重要な観点であると自分は思います。自分の場合、クライアントのためではなく、自身の携わるサービスや所属する企業のために働きたいという思いがあったため、自社開発企業を中心に探していました。
その他の重要な観点
本節では、上記の3つの観点以外に重要と思われる観点を紹介します。随時追記予定です。
「育成環境」と「雰囲気」
育成環境は工程と同程度に今後のキャリアにおいて重要だと思います。育成環境は企業によって異なるため、面接の中で具体的な育成環境を聞くのが良いと思います。また、具体的な制度よりも新卒を育成する意識が企業全体としてあるかを元に判断すると良いと思います。さらに、企業全体の雰囲気も育成環境に大きな影響を与えます。できるだけ多くの面接の機会を設けてもらい、自分に合う雰囲気なのかを慎重に判断する必要があります。
「ベンチャー企業か大企業か?」
就活生の目線では、ベンチャー企業と大企業の間で下記のような違いが主に挙げられます。左側が大企業で右側がベンチャー企業の性質です。
プロジェクトの規模:大きい↔︎小さい
裁量:小さい↔︎大きい
キャリアパス:定型↔︎自由
成長速度:遅い↔︎速い
給与体系:年功序列↔︎成果主義
実際に選考を受けてきた経験から、上記の違いは必ずしも当てはまるわけではないと感じました。また、メガベンチャーや外資系大企業のように両方の性質を持つ企業も増えてきています。したがって、企業ごとに研究するしか方法はないと思います。企業研究や面接の際に発見した性質を元に適切な判断を下してください。こちらの動画も参考になると思います。
「現段階での実力」
現段階での実力を元に選考を受ける企業を決めるのも良いと思います。特に上位の企業(例:Google、メルカリ、など)の競争率は非常に高く、相当の実績を有していないと勝ち抜くのは難しいです。人によっては自信を失うことで他社の選考に影響する可能性すらあります。自分もリクルートやDeNAなどの大手企業にエントリーしましたが、Webテストの成績は快心の出来であったにも関わらずESの時点で落ちました。幸いにも、駄目元で提出していたので影響はほとんどありませんでしたが、志望度を高く設定していた人にとってはなおさらでしょう。ただ、要求水準が低い企業の場合、入社後に社員のレベルの低さに幻滅する可能性があります。総括すると、自分の実力に適した企業を見極めつつ選考を進めるのが良いと言えるでしょう。