背水の陣でボールを拾う

はじめに

株式会社クライドでテクニカルプロダクトマネージャー兼プロダクトオーナーとして業務に従事している陶山大輝と申します。

自分は「ボールを拾う」という意識を持ちながら業務に取り組むことで成長し、この1年で様々な役割を担ってきました。直近は「背水の陣でボールを拾う」ということを意識しているので、本記事で紹介できればと思います。

ボールを拾う意識の重要性

「ボールを拾う」とは、不完全な組織体において責務が明瞭でないタスクに取り組むことです。

事業の成長と組織の成長の間のギャップ

構成員がボールを拾う必要がある状況は、事業の成長に組織の成長が追いついていないことにより生まれます。なぜなら、企業の成長によってやるべきタスクが増える一方で、組織が成長していない場合は責務が明瞭でないものが増えるからです。

個人の主体性と組織の成長

このような状況下では、組織の成長のために各個人が主体的にボールを拾う必要があります。それぞれの企業のフェーズによりこの状況は発生しますが、その度に組織が成長することで事業も成長するという正の連鎖が生まれます。

背水の陣でボールを拾うとは

背水の陣でボールを拾うとは、覚悟を持ってボールを拾うことであり、次の4点が重要であると自分は考えています。

責務の受容

大きいボールには相応の責務とリスクが伴いますが、同時に大きな成長の可能性を秘めています。したがって、背水の陣でボールを拾うためには、その責務を受け入れ、リスクを恐れずに挑戦する覚悟が求められます。

信頼の構築

責務やリスクの大きい仕事に取り組むには、周囲からの信頼が不可欠です。信頼を高めるには、まずは目の前の仕事を真摯にこなし、結果を出すことが重要です。徐々に大きな責務の仕事に取り組んでいくことで、信頼を築き続けることができます。

知識の獲得

ボールを拾って失敗した時には信頼の貯金を減らす可能性があるため、成功率を高めるための取り組みが必要です。そのためには、関連する分野での知識を獲得することが重要です。知識を充実させることで、ボールの本質やリスクなどを正しく把握し、適切な解決策を見出す能力を高めることができます。

アナロジー思考

アナロジー思考とは、ある未経験の事象に対して、それと共通した特徴を持つ他の事象を応用するような思考法のことです。この思考法により、ボールを拾うために必要な知識を効率良く獲得することができます。また、過去の経験や解決策を応用することで、新たなボールにも再現性を担保することができます。(参考:以前自分の執筆した記事

背水の陣でボールを拾った実例

この1年間で自分は数多のボールを拾いましたが、その中でもテクニカルプロダクトマネージャーへの就任は、背水の陣で大きいボールを拾った実例と言えます。

責務の受容

プロダクトの方向性に責任を持つ役割が曖昧になっている状況でした。そこで、当時のリソース状況を踏まえてプロダクトマネージャーの役割を分解して定義し、自らはテクニカルプロダクトマネージャーの役割になりました。担当する機能だけではなくプロダクト全体への責任を持つ必要がありますが、リスクを鑑みながらも成長の機会として受容することを決めました。

信頼の構築

自分自身の開発経験は1年未満であり、ドメイン知識やビジネス知識も不十分でした。しかし、それまでのプロジェクトで継続的に成果を出してきたことから、信頼を得ていました。その結果、チームメンバーや上司の支持もあり、テクニカルプロダクトマネージャーとして受け入れられました。

知識の獲得

プロダクトマネージャーとしての知識や経験は、自身にも社内にも不足している状態でした。そのため、様々な情報源から大量の情報をインプットし、プロダクトマネージャーとして必要な知識を獲得する努力をしました。その結果、リソース状況に大きな変化があった中でも2ヶ月の間で以前の水準でプロダクト開発を回せる程度まで成長することができました。

アナロジー思考

プロダクトマネージャーの役割や業務を定義する際、アナロジー思考を活用しました。エンジニアとしてシステム設計において重視してきた疎結合性や柔軟性の考え方を応用し、プロダクトマネージャーの役割をビジネスとプロダクトのインターフェースとして捉えました。後から振り返ると、最適ではないものの悪くはない考え方をできたように思えます。

最後に

背水の陣でボールを拾うことは困難な一面もありますが、その挑戦が組織や自身の成長に繋がると信じています。皆様も是非、背水の陣でボールを拾う意識を持ちながら、新たな役割やチャンスに挑戦してみてください。

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