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AI関連は結局この3つ! アマゾン・ドットコム(AMZN)、ラム・リサーチ(LRCX)、アトラシアン(TEAM)

AI時代の到来で恩恵が見込まれる企業

人工知能(AI)をめぐる競争がヒートアップしています。ChatGPTのような生成型AIサービスはさまざまな業界に浸透し、ナレッジワーカーの効率性向上に寄与しています。AIとロボットは製造業を合理化しています。自動車技術は将来的に、道路をより安全なものにすると見込まれています。

投資家もまた、こうした動向から恩恵を受けることができます。AIは成長市場であり、AIを活用することで、企業の利益率が飛躍的に向上する可能性もあります。アマゾン・ドットコム、ラム・リサーチ、アトラシアンの3社は、AI関連銘柄として特に注目に値します。以下で詳しく見てみましょう。

賢い投資家であれば、アマゾン・ドットコムに投資する最大の理由の1つとして、同社のクラウド・コンピューティング部門であるアマゾン・ウェブ・サービス(AWS)に何年も前から注目しているはずです。結局のところ、AWSはアマゾン帝国で最大の収益源なのです。

2022年に、AWSは228億ドルの営業利益を生み出し、eコマースを中心とした北米部門(28億ドル)と海外部門(77億ドル)の営業損失を相殺しました。

この重要な収益源が、最近になってペースダウンしています。マイクロソフト(MSFT)のアジュールやアルファベット(GOOGL)のグーグル・クラウドといった主要な競合クラウドサービスが30%を上回る成長を示したのに対し、AWSの2022年第4四半期の売上高は前年同期比20%増にとどまりました。マイクロソフトとグーグルが激しいAIバトルを繰り広げる一方で、アマゾン・ドットコムは冷静を保っています。もしかして、アマゾン・ドットコムは後れを取っているのでしょうか。

答えは「ノー」だと思います。はるか以前からAWSはAIを導入しており、企業がAIを活用するのをサポートするためのデータセンター・ハードウェアについて、トップクラスの半導体メーカーであるエヌビディア(NVDA)と長年にわたって協力してきました。AIの新しい能力を引き出すためにエヌビディアと協力していることを発表するタイミングをうかがっていたようですが、アマゾン・ドットコムは2023年3月下旬、エヌビディアが毎年春に開催する技術カンファレンスで、ついにそのことを明らかにしました。

アマゾン・ドットコムがAI時代に取り残されることはないと知り、投資家が一安心したところで、次に株価を見てみましょう。アマゾン・ドットコムの株価は、過去最高値から50%近く下落しており、2022年末に付けた安値からようやく上昇し始めたところです。

業績は再び赤字に転落しており、2022年は純利益もフリーキャッシュフローもマイナスでした。とはいえ、同社はパンデミック初期にかさんだコストの一部を見直して、コスト削減を急速に進め、新たなクラウドインフラやeコマースサービスに投資しています。アマゾン・ドットコムが再び堅調な利益率を報告できるようになるのは、時間の問題と思われます。

一方で、足元の株価は、2022年1株当たり営業利益の84倍の水準にあります。この指標も、高額な支出によって歪められていますが、状況は改善に向かっています。長期投資家にとって、アマゾン・ドットコムはAI関連株として有望と思われます。

メモリ業界は、世界金融危機以降で最悪の不況に陥っており、最先端のプロセッサも、それほど深刻ではありませんが、不況下にあります。

しかし、ChatGPTやBardといった新たに浮上したAIアプリケーションには膨大なコンピューティング力が必要、つまり、大量のDRAMやNAND型フラッシュメモリが必要になることを意味します。現在のAIサーバーには、通常サーバーの8倍のDRAMと3倍のNANDフラッシュが搭載されています。当然ながら、これらのサーバーには最先端のGPUやCPUプロセッサも必要です。そのため、AI競争の激化をきっかけに、メモリや最先端プロセッサの売上が再び上向く可能性は極めて高いのかもしれません。

ラム・リサーチは半導体製造装置メーカーであり、同社の技術は、高度なメモリや最先端のロジックチップの生産に不可欠です。そのため、ラム・リサーチは、将来のAI競争から多大な恩恵を受ける可能性があります。

ラム・リサーチは、垂直積層技術を得意とするため、最先端のメモリやプロセッサの生産に欠かせない存在です。半導体を垂直に積み重ねることは、NANDフラッシュで10年以上前から既に実用化されています。しかし、最先端のプロセッサでは現在、ゲート・オール・アラウンドと呼ばれる、トランジスタを垂直に積層し、すべての側面をゲートで覆う新しいタイプのトランジスタ構造への移行が進んでいます。ラム・リサーチの経営陣は最近のアナリスト向け説明会で、半導体業界におけるゲート・オール・アラウンド・トランジスタへの移行により、エッチングとデポジションの需要が25~30%増加するとの見方を示しました。

DRAMメモリでさえも、近いうちにモジュールを垂直積層することが求められるようになると予想されます。なぜなら、プレーナ型DRAMの回路線幅が10ナノメートルに近付き、物理的限界が近いとみられるからです。現在の最先端DRAMの回路線幅は12ナノメートルであるため、垂直スケーリング能力が必要になる日もそう遠くないと思われます。

つまり、高性能チップは将来的に、より多くの垂直積層が求められるようになり、これらはすべて、ラム・リサーチの長期見通しが極めて有望であることを示しています。ラム・リサーチの株価は、安値から回復しているとはいえ、過去最高値からは30%超下落しており、株価収益率(PER)はわずか13.8倍です。

この原因は、メモリ市場が、パンデミック後のPCやモバイル機器の販売不振から依然として立ち直れずにいるためです。とはいえ、AIの飛躍的進歩をきっかけにメガトレンドが生まれ、最先端のプロセッサやメモリチップの売上は低迷から抜け出すかもしれません。ビル・ゲイツ氏も最近、高性能AIの発表について、1980年代の「グラフィカル・ユーザー・インターフェース以来の、テクノロジーにおける最も重要な進歩である」と述べました。

AIの成長に伴って最先端のプロセッサやメモリ、ストレージの需要が回復する可能性があることから、AIはラム・リサーチの売上回復にとっても、大きな起爆剤となる可能性があります。それが起こるのは2023年ではないかもしれませんが、2024年以降は十分に期待されます。

プロジェクト管理ソフトウェアを開発するアトラシアンは、この1年間で株価が乱高下しており、過去52週で株価はほぼ50%下落しています。しかし、同社はAIの専門知識も有する、将来有望なハイテク業界のプロであり、心配する必要はありません。

確かに、予想PER75倍、予想株価売上高倍率(PSR)12.6倍というバリュエーションは魅力的とは言えないかもしれません。しかし、最近の株価下落に伴い、グロース志向の長期投資家にとっては、アトラシアンの将来の成功に投資する好機が訪れています。しかも、同社の事業計画の中では、さまざまな形態のAIが驚くほど大きな部分を占めています。

例えば、アトラシアンは2022年にパーセプトAIを買収しました。パーセプトAIは、AIを搭載した仮想エージェント技術のプロバイダーであり、この買収によりアトラシアンは、Jira Service Managementツールの一部として、サポートサービスを拡充することができました。このITサービスの問い合わせプラットフォームにパーセプトAIを統合することで、サポートチームは自動化された質の高いサービスを迅速かつ大規模に提供できるようになったのです。

共同CEOのMike Cannon-Brookes氏は、2022年4-6月期決算発表の際に次のように述べています。「単に数字を伸ばすことだけではなく、すべてのユーザーエクスペリエンスを高速かつ大規模に提供できるようにすることが重要である。AIと機械学習の知能は膨大であり、例えばある企業内のユーザーについて問い合わせがあった場合、ほんの数回のキーボード操作で、その企業の3万5,000人もの従業員の中から正確な人物を見つけ出すことができる。」

これは、今日の競争の激しいビジネス環境において、極めて重要なセールスポイントとなります。

さらに、アトラシアンが持つAIの専門知識とイノベーションは、クラウド化が進む同社のプロジェクト管理パッケージの中で、既に多くの重要な機能に生かされています。予測を伴う課題の割り当てから、インテリジェント・オートメーション、パーソナライズされたトラブルチケットの検索まで、アトラシアンのAI知能はあらゆるところで役立っています。

過去5年間の売上高成長率は、年平均で34.9%に達しています。直近の四半期決算では、成長率は27%に若干鈍化していますが、インフレにより世界的に景気が落ち込んでいる中で2桁の成長率というのは、十分に力強い伸び率と言えます。IT支出が削減され、厳しい市場環境にもかかわらず、アトラシアンは今後も好業績を維持する見通しです。

アトラシアンが持つ高度なAI知識は、割高ながら高品質の銘柄への投資を十分に裏付けています。

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