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本との遭遇覚書・おっさん吸血鬼と聖女。

本が売れない売れないと言われ続けています。
その理由のひとつは生活圏に本がないことでしょう。
本のある場所が近くにないからでしょう。だから本が身近なものでなく、何か特別なもの、「私とは関係のないもの」と思う人が増えたのでしょう。

大吉堂の最寄駅(地下鉄)の周辺には本屋がありません。
でもひとつ向こうのターミナル駅に行けば、4軒も本屋があるのです。謂わばターミナル駅周辺にしか本屋がないのですね。
これでは本を買うにはわざわざ出かけなくてはいけない。

もっと本が身近になってほしいとの想いは日々感じており、ちょっとでも何かできないかと悩むのです。

昨日駅向こうの商店街でマルシェイベントが開催されました。
お誘いいただきまして、うちも店先に本を並べたのです。
マルシェイベントで本はなかなか売れません。でも人が集まるところに本を並べるのは意義があると思っています。普段本を買うという習慣のない人も、目の前に本が並んでいれば本を認識して手に取り、場合によっては購入へと繋がることもあるのです。その体験は大きいと信じています。

そんなマルシェイベントにもかかわらず、並べた本はいつも通りなのですけどね。YAとラノベ中心。それでもちょっとだけ譲歩して、いつもの古本市なら持って行かない絵本と料理本も並べたのですよ。
親子向けの企画が多く、小さい子も多くいました。すると並べている小説の中から、なぜか同じ本ばかり手に取られることに気づいたのです。しかもラノベ。しかも小学校に上がるかどうかという年頃の女の子が。

『おっさん吸血鬼と聖女。』(稲荷竜)との遭遇。
小さな女の子を引き寄せる何があるのだろう? と悩みましたが、よくよく見てみて判明しました。並べた本の中でその本だけ背表紙に絵があるのです。可愛い女の子の絵が付いているのです。
子どもたちは、その絵に惹かれて手にしていたのですね。絵が持つ力を思い知らされましたよ。しかも可愛いに惹かれるんだなあとの想いも。

本との遭遇はあちらこちらにあればいい。しかも何がきっかけになるかなんてわからない。本がそこにあるから手に取る。そこから始まるのです。

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