改めて、コンプレションフードとは、、?
血統とは何の関係もない馬具についてのお話ですが、たまにはこんなのも良いだろうと思い書いてみました。
意外と競馬ファンには浸透して行ってない所があると思いますが、注目して損は無い点だと思いますので今後の馬券検討の参考になれば幸いです。
それでは、最後までお付き合いのほどよろしくお願いします😊
~~どんな馬具?~~
見た目はほぼメンコ(顔を覆う馬具)のような形状をしています。メンコと違う点は、メンコより顔を覆う面積が広い事や、通気性がありウェットスーツのようにピタッとしている点でしょうか。多くはこのコンプレッションフードの上にメンコを装着し、人間でいう所のインナーのように、目立た無いように使用しているケースが多いです。コンプレッション=圧迫するという意味の通り着圧を利用して効果を発揮する馬具です。
最大手は海外馬具メーカーのHIDEZ(ハイズ)の物で、豪州や米国で良く使用されていて日本でもそちらの物を使用している事が多いようです。日本製の物もあるようですがシェアとしては少なめのようです。
レースでの装着も認められており、調教時や輸送時、普段の馬房での生活の際にも使用している例があり、使途は多岐に渡ります。
~~どんな効果がある?~~
主な効果としては、馬をリラックスさせる(適度な精神状態にさせる)ことにあります。着圧で馬の頭部にあるツボを刺激する事で、リラックス効果が得られるようです。リラックスし適度に集中することでレースに対しても集中することが可能になり、ゲートの改善・レース中のテンションの上がり過ぎを防ぐ・筋肉の過度な緊張の抑止(=必要以上の消耗)・輸送疲れの軽減、などに繋がります。
元来、メンコにもそういった意図があり装着されてきた経緯がありますが、着圧がありピンポイントに刺激する分、より効果的にその影響が馬に伝わるという事でしょう。
メンコの効果に関する有名なエピソードと言えば2012年の天皇賞・春のオルフェーヴルでしょうか。
当時、前走の阪神大賞典で3コーナーで大逸走をしそれでも2着に巻き返してきた、まさに怪物と呼ぶにふさわしいレースをした後でしたが、レース内容から、調教再審査を課せられたり、陣営としてもその前向きすぎる気性をどうやって制御するかが課題となりました。その解決策の一つとしてレース中でもメンコを装着し臨んだわけですが、これがオルフェーヴルの闘争心までも抑える結果となり11着と大敗。
次走の宝塚記念ではメンコを外し見事1着に巻き返したことからもメンコが敗因の大きな要因になった事は明白というわけです。
ただ、これは実際に気性を落ち着かせたという意味では成功していて、改めてメンコにはそういった効果があるという証明になりました。
コンプレッションフードはその上位互換と考えて良いでしょう。
~~どんな実績があるか~~
そうは言っても、実際に効果があるかどうか気になりますよね?理論上はそうだと言っても、やはり皆さん“数字”が好きですからね。笑
形のある裏付けが欲しいのは重々承知しています。
ただ、このコンプレッションフードはチークピーシズやシャドーロールなどと言った馬具同様、馬柱には表記が無く正確な集計が取れないのが実情。集計しようと思えばパドックで確認するしかないですし、ただでさえ目立たない馬具なので見落とすこともあります。なので、“数字(確率)”ではお届け出来ないのですが、装着し突然好走したケースも多く見過ごせないと感じています。
ここ最近で一番分かりやすい例と言えばディアンドルでは無いでしょうか?
ディアンドルと言えば、デビューから1200mを使い続けて、世代限定重賞の葵Sを勝利、初の対古馬戦となった北九州記念では2着に入るなど、ここまでは5連勝を含めた7戦7連対という数字を残していた実力馬。
ただ父ルーラーシップ×母父スペシャルウィークという一見すると中距離馬っぽい配合の中で短距離を使い続けていたのは、祖母譲りな前向きな気性が出すぎていた為。これが高じて一時はスランプにも陥りますが、コンプレッションフードを着用し始めてから落ち着いたレース運びが出来るようになり距離を伸ばしていくことにも成功していきます。
ついには中距離重賞の福島牝馬Sを勝利し、次走のG1・ヴィクトリアマイルでも4着と好走します。前向きな気性を抑える事に成功したことで適性も変わり好走に導けた成功例の典型例かと思います。
他にも、今年の桜花賞に出走したストゥーテイや、4/24に穴を開けたハーフバック。遡ると、16番人気でダイヤモンドSを勝利したミライヘノツバサや元々ゲート難だったダイアトニックらもコンプレッションフードの効果が表れた馬たち。
条件馬でも、距離延長で成果を出したウォルフズハウルや先行しても折り合いが着くようになったエスケーアタランタ。ここ最近では8/29の小倉7Rで8番人気2着リアングロワールや、同日12Rの5番人気2着ジューンベロシティなど。穴馬の台頭も多く、穴パターンの一つともなっていると言っても過言ではないでしょう。
~~どう見極める?~~
前述もしましたが、装着しているかどうかを見極めるのは慣れがいるかと思います。
理由としては、一般的にコンプレッションフードの上からメンコをするため。また、メンコより大きい為、通常であれば鼻筋の辺りから見える訳ですが、その部分をシャドーロールで隠している場合もある為、ぱっと見では見分けがつかない事もしばしば。コンプレッションフード単体ですと、メンコと違い耳を覆っていなかったり、大きさが違うので見分けもつくのですが、、、特に今のコロナ禍でグリーンチャンネルでパドックを見るようになった勢には見極めも難しいと思います。
平均7~9秒くらいの映像で馬体を見て、歩様を見て、精神面を見て、さらには馬具を見る。。。無理ゲーだと思います。(笑)
もっとパドック解説員がそこの所について言及しても良いと思うんですがねぇ、、、(笑)
なので、もし現地に行く機会がありゆっくりパドックを見る機会があった際は注視して頂いても面白いと思いますし、グリーンチャンネルでも見れる!という強者も注目して損は無いポイントかなと思います。
この上記の画像のように
①メンコより大きくウェットスーツのようにピタッとした材質の物。
②耳は出ている。
と言うのが特徴になります。
~~狙い目は?~~
当然ながら、コンプレッションフードを装着してきた(調教などで使用した)=好走ではありません。競馬なのでそれ以外の要因もありますしね。
ただ、このコンプレッションフードの可能性として『距離の融通性が広がる』『気性の改善』『ゲートの改善』等の効果が出やすい事が挙げられます。という事は、その効果がより出やすそうな馬が着けてきたタイミングを狙えば、変わり身の好走を拾いやすいだろうという事です。なので、『短距離しか使えなかった馬』『道中で掛かっていた馬』『スタートが悪かった馬』などが着けてきた際は変わり身の期待が持てるという事になります。
パドックまで見れる余裕のある方は、新たな視点として取り入れてはいかがでしょうか?
本日は以上になります!
最後までご覧頂きありがとうございました😊