iPhone 6s Plus入手まで〜流通在庫の考察〜
今回、店舗予約という愚行をやってしまったが故に発売日にiPhone6s Plusのローズゴールドは入手できなかったわけですが、発売日前日にファストクーポンを使って自宅予約し、29日には無事に確保できました。店舗予約で無駄待ちをさせられたわけですが、そもそも人気機種とはいえ、キャリアのショップに1台もないってどういうことよ!?と、皆が思うことを当然思ったわけで、こうなると僕は在庫や流通の仕組みを調べたくなるわけです。
僕が予約した店舗は家の近くですが、関東近郊で有名な再開発地帯でショッピングモールやタワーマンションが立ち並ぶエリアです。auショップとしては小規模ですが地域性を考えればどんな人気機種でも数台は入ると読んでいました。が、結果は1台も入らず…。難民になってしまったわけです。
どうやら、地域性はあまり関係がないようです。じゃあなんなんだろう、ということで、online storeも含めて流通在庫の現実を紐解きました。
まず、これはauについてですが、おそらく各キャリア大差ない状況だと思います。ファストクーポンの優遇や不条理に見える在庫扱いでMNPをするという声もたくさん見られましたが、3キャリアどこに行ってもおそらく変わらない扱いを受けます。掲示板はキャリア別に分かれていたのでちょこちょこ他キャリアも覗きましたが、ソフトバンクなどはauよりもっと酷いことになっていました。
iPhoneの流通としては、当然、大元は米国のApple社です。世界各国のキャリアがそれぞれの周波帯に合わせてカスタマイズされたiPhoneの端末をApple社と交渉して確保するわけです。
発売日に合わせ、まずは各キャリアの倉庫に端末が入ってきます。当然、その在庫量をいち早く知り、コントロールできるのは各キャリアそのものということになります。
量販店などの小売店はAppleから各キャリアが割り当てをもらい、各キャリアと交渉して入荷台数を確保するわけです。ここまでは順当ですね。では、各キャリアのショップはどうでしょうか。
キャリアショップは看板こそキャリアの名前を掲げ、契約や解約など、キャリアから権限を与えられてサービスを提供していますが、実態は全く別の会社(代理店)が運営しています。
要は、立ち位置としては家電量販店や街場の携帯ショップと大差はないのです。当然、持ち在庫はAppleではなく各キャリア本体と交渉して確保するわけです。ちなみに、各キャリアの「直営店」というのもau、ソフトバンクについては数店舗だけ存在します。ドコモは直営店持っておらず、一番近い店舗でも子会社運営です。直営店についてはキャリア本体と一体化した在庫管理と見ていいでしょう。働いてる人もキャリアの社員です。
が、日本中のほとんどのキャリアショップは前述の通り代理店運営です。スタッフも制服こそキャリア貸与のものを着用し、見た目はキャリアのスタッフですが、代理店の社員やアルバイトの方々です。つまり、キャリア本体には所属していない、委託先の人たちということになります。お店によって言っていることや対応が違う、という話がありますが、この構造を理解すれば納得ですね。
コンビニも大手の看板を出していますが、運営主体は個別経営(フランチャイズ)です。携帯のキャリアショップもそれと似たようなものです。
もうおわかりですね?つまり、キャリアショップは小売店と同じ立ち位置で、一度キャリア本体を通した形でしか在庫確保ができないのです。キャリア本体で振り分けが終わった残りを奪い合っているに過ぎないのです。
各キャリアがキャリアのオンラインショップに誘導した理由、特にauはファストクーポンという対象者限定の優遇措置ができた理由は、Appleから仕入れた直接在庫をコントロールできるからなのです。
キャリアショップがなぜ優遇措置をとれないのか?それは在庫の確保がキャリア裁量に大きく依存するからです。彼らはキャリアが割り当てない限りどうあがいても在庫の確保はできないのです。だから、ユーザーに入手を約束したりは到底できないのもうなづけます。
また、発売日直後において、Apple Storeには在庫があった!という報告を幾つか見ました。もちろん、SIMフリーモデルはキャリアとは違うのでそれがあるのはわかりますが、キャリアのモデルも置いているそうです。なぜ、Apple直営店には在庫があるのか。これもおわかりですね?Apple社の直営店なわけですから、Apple Japanが別ルートで確保した在庫が当然あるわけです。これは強力なパイプですね。キャリアに提供する分と分けてApple Storeが確保しているのか、あらかじめキャリア経由で確保しているのかはわかりませんが、Apple直営店という立場はやはり強力なようです。そのかわり、キャリアが提供する割引の契約や端末の割賦契約などはできない場合があるようです。その点はキャリアのショップが優位にあります。
在庫確保の優位性を順位にまとめると以下でしょうか。
1.キャリアのオンラインショップ及びキャリアの直営店→1.5?.Apple Store→2.家電量販店及び有力代理店運営で売上上位のキャリアショップや携帯販売店→3.ノーマル代理店のキャリアショップや携帯販売店
予約のタイミングなどによって当然、前後してしまうのはありますが、おおかた上記の構造でしょう。量販店もキャリアによって在庫差がありますね。ヤマダ電機と提携したソフトバンクなどは量販店流通が多かったみたいです。量販店に力を入れたんですね。
上述までの記載を見ていただいてわかる通り、キャリアの看板を出していようがいまいが、小売店は小売店なのです。そして、小売店の立場は家電量販店などの大口取引先に比しても、キャリアに対して非常に弱い、いわばお伺い的な立場です。当然ですね。キャリアから看板降ろせと言われたら商売できないわけですから。別記事で携帯代理店についての考察は詳細しますが、代理店にも一次から三次代理店までランクがあります。それほどまでに厳しいヒエラルキー社会なのです。
キャリアの看板を抱えていなくても顧客販売上位の代理店は当然キャリアが優遇するでしょう。一部携帯販売店の方がキャリアショップよりも早くiPhoneの在庫を確保できるのはそうした成績も参照されているからです。
バイヤーの力も問われます。僕も仕事柄、家電量販店と関わることもありましたが、量販店のバイヤーは本当にやり手ぞろいです。営業会議も物が飛んでくるくらい厳しいので、プレッシャーも相当だそうです。
代理店も会社によるでしょうが、特に携帯販売を主軸にしていない会社や法人営業主体の会社などは小売の方のパイプは弱く、さらに3キャリア全て取り扱っている会社も多いので、特定キャリア1本でやっている会社に比べるとそういうところはパイプ自体が弱まります。
地域ではなく「代理店力」が在庫を決めるんですね。
どうしても店舗でiPhoneを予約したい方は自分の家の近くのショップ運営会社を確認した方が良いです。大手ベスト10以内に入っていたり、auならauショップのみに特化してやっている店であれば、早期入手の可能性は高いと思われますが、いくつかある事業の1つが店舗運営だったり、3キャリア手広くやっている代理店の場合は気をつけた方が良いかもしれません。どんな会社が運営しているかは、該当のショップ名でネット検索をすれば、大抵出てきます。
家電量販店の方が優位そうにも見えますが、あくまでバイヤーが強いだけなので、キャリア本体に比べればそれは流通量が落ちるはずです。あくまで、交渉元はキャリア本体ですからね。そして、当然予約する人も多いですから、ライバルが多くなるのもデメリットでしょう。
キャリアのオンラインショップもしくは、キャリア直営店まで家から行ける距離の方は直営店での予約がやはり早期入手の近道なのは間違いなさそうですね。ただし、キャリアによって直営在庫も地域わけをしている、などの情報もあるので、地域によって確保に差が出る可能性もあります。
皆さんが無事、新しいiPhoneを手に入れて楽しい携帯ライフを早々にできることを願ってやみません。