自律分散型社会に向けた小さな芽

こんにちは。北海道旭川市で大学教員をしながら、「常磐ラボ」というコミュニティスペースを運営しています。ようやく少しずつ人のつながりができ始め、面白いことになりつつある常磐ラボをなんとか維持すべくサポートを募りつつ何か価値ある情報をお届けできればと思って更新しています。

常磐ラボの情報発信ブログhttps://ameblo.jp/tokiwalab/

有料記事に変更して再アップします(2019年9月4日)。ただ、有料部分は追記した全体のまとめ部分なので、内容的にはほとんど変更していません。有料部分を読まなくても内容は完全に把握できます。有料部分を作ったのは、ひとえにサポートへの誘導です。普段ネットに載せない写真とか入れておいてます 笑

昨日は朝から晩までNHKの「ザ・ディレクソン」という企画に参加していた。30名の参加者でチームを5つ作り、「旭川発 北海道をもっと幸せにするテレビ」をテーマにチームごとで番組企画を練るディスカッションを行い、まとめた案をプレゼンテーション。審査の結果優勝したチームの企画をNHKが番組にして放送するというものだ。今回、ご縁をいただき審査員として参加させていたただいた。

10時半からスタートして、全部終わったのがだいたい19時くらい。ガチンコのやつだ。趣旨説明やインプット用ワークショップの時間などもあったが正味5時間くらいはディスカッションしていたのではないか。

今回の記事ではこのNHKディレクソン in 旭川の様子などについては書かない。むしろ、NHKがこういう企画に「挑戦」しているということ自体が驚きだったので、そっちのことを少し。目次はこんな感じ。


 1.放送局なのに場づくりをする
 2.ボトムアップ型の自律分散社会
 3.ひるがえって、常磐ラボ

では、ちょっと書いていきますね。

放送局なのに場づくりをする

NHKはもちろん公共放送の会社だ。番組を制作し放送するのが仕事である。そのNHKが、参加者にディスカッションをしてもらい、番組制作の企画部分を作る作業を素人である一般市民に丸投げしているのだ。僕はそういう業界のことは全く分からないが、番組はそんな風には作られないことくらいはわかる。

おそらくこういうやり方で番組企画を作るのは大きなリスクがあるだろう。なんせ市民のディスカッションの結果だから、最初からどういうものになるか全く見当がつかない中で、「1位の企画は番組化される」ということなのだ。これは、制作サイドからすると、本当に怖いと思う。

しかもNHKが狙っているのは番組制作ではなく、このディスカッションの場そのものだというのだ。NHKが視聴者から必要とされる会社であるために、こういうやり方が必要なのだとこのディレクソン企画の担当者の方はおっしゃっていた。こうやってディレクソンの場で作られたつながりを活かして、地方をその市民の力で盛り上げていく動きをバックアップしたいということ。

ボトムアップ型の自律分散社会

このNHKの方針には正直びっくりした。番組作りにこういうリスクを取りながら、得ようとしているのは市民同士のつながりだというわけで、普通に考えたら「割に合わない」と思われるのがおちだ。そして、おそらく事実もそうだろう。経費的なところは全く分からないけれど、参加者が参加料を支払うことにもなっていないので、単発のディレクソン開催自体からはNHKにキャッシュフローは生まれていないはずだ。

でも、僕はこの動きがとても今っぽいと思った。トップダウンで企画を考え、それを巨額の予算で動かしていくようなスタイルは、テレビ的にももう限界だということなのだろう。

そうではなくて、ボトムアップ、つまり下から巻き込みを増やしながら上がっていくような制作のあり方だ。必要なものを全部最初から用意するのではなくて、小さなトライ&エラーを繰り返しつつ軌道修正しながら作り上げていく。敷かれたレールをいかに上手に速く走りきるかではなく、未踏の土地に足跡を付けていくようなイメージ。

先が見通せて、「何がリスクか」がある程度わかっていて、すでにある道を後追いしていくことが合理的な世の中ならば、トップダウンが一番効率がいいし、きっと安心感が幸福感をくれると思う。

でも、今はそういう時代じゃないし、「何がリスクか」あまりよくわからない時代だ。大学をドロップアウトしてガンガンビジネスを進める人もいれば、安定を目指して入ったはずの公務員で自殺やうつが多いという。補助金が無ければ進まない地方での行政主導のまちづくりの一方で、市民の草の根的な運動によってコミュニティの活性化が行われたりしている。

僕は以前に旭川市内で「自律分散型社会」についての講演をしたことがあるが、こういう時代にあっては、ボトムアップで小さな拠点がお互いに絡まり合いながらまちを作っていく自律分散的な社会のほうがうまく機能すると思う。まさに、今回のNHKディレクソンはそういう考え方の一つの具体化だろう。

ひるがえって、常磐ラボ

そんなNHKディレクソンに参加した昨日の夜のFacebookには、こんな書き込みがあった。

今日はラボでのライブに行ったあと高校生11人組でご飯に!実はみんなラボで出会った人たちなんですよ(笑)それってなんかすごいよね、学校外で出会ってこうしてご飯まで行くくらい仲良くできて。そんな出会いを生むラボはすごい場所だし、これからも守って行きたい場所!!ちなみに最近「ラボってどんな場所?」って聞かれるのでわたしは「どんな場所かなんて決まってなくて自分たちで作ってく場所だよ」ってよく答えます。管理人になってから感じたことね、これは。いろんな可能性があるステキなところだよ🙄
そんな場所に管理人っていう立場から関わらせていただけて、私は本当に幸せ者です。

これは、常磐ラボの管理人をしてくれている高校生による投稿だ。「どんな場所かなんて決まってなくて自分たちで作ってく場所だよ」と、管理人の高校生が書いている。もちろん僕が言わせたわけではないし、僕に気に入られようと思って書いてるわけでもない 笑

一緒にラボでいろんな話をする中で、いつのまにかこういう所に到達していた彼女の感性はとても素敵だと思うし、まさにこういう場所を作っていきたい。

もしかすると、結構怪しくて、何するかもわかんないところに集まって不健全極まりないとお叱りを受けるかもしれない。何をするかが分かってないと不安で参加できないという人も多いかもしれない。こういうリスクは、NHKディレクソンの「ディスカッションの結果どんな企画があがってくるか分からない」という不安に似ている。

でも、新しいことが生まれるときはいつだってどうなるかは分からないし、ともすればちょっと変に見えることが実は正解ってこともあるんじゃないだろうか。また別稿で書くことになると思うが、地方を活性化させたいと思うなら、それをどこまでも「自分事」として捉える必要がある。そういうマインドはおそらくトップダウン型の中央集権社会では生まれてこない。ボトムアップ型の自律分散型社会でないと、社会を自分の人生に重ね合わせて作っていくという発想にはならないだろう。

そんなマインドを、常磐ラボは僕の手を離れたところで小さいながらも生み出しつつある。しかも、これからの社会を担う高校生たちの心に。んーなんだかすごいぞ常磐ラボ。お前は頑張ってる!

というわけで、自分のやっている活動とこのNHKディレクソンの考え方が非常にはまりがよかったので、スタッフさんとの打ち合わせや軽い打ち上げも、とても充実できました。どうもありがとうございました。

ではこの辺で。最後までお読みくださいましてありがとうございます。

(2019年9月4日追記)最後に、まとめです。普段ネットに出さない写真も1枚入れました。

これより下は有料部分です。本稿の内容は2行上までで完結していますが、全体のまとめとして追記しました。購入していただいた場合には、売り上げを本稿でご紹介した常磐ラボの運営費に充当させていただきます。

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