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パートナーのキャリアに合わせて職場を変えた話

「研究員をやらないかって言われてたんだよね」

妻から発せられたこの言葉の意味を、僕は、瞬時に理解した。2019年8月下旬のことである。

いや、もう少し正確に言うと、一秒ほどの時間その言葉を反芻する間に、その言葉が自分にとって意味することを想像し、受け入れたのだった。

当時僕ら家族は北海道の旭川という地方都市に暮らし、僕はそこにある大学で教員生活7年目を送っているところだった。6年半の間には結構いろんなことがあり、大学の外にも色々と知り合いなどができて世代や職種などを超えたちょっと面白い動きの萌芽が見えてきそうな、そんな時期でもあった。同時に、子供がまだ1歳と少し。育児にとても手がかかって、それまでやっていたことから少しずつ身を引いていく決断をしなければならないとも思っていた。要するに、その頃の僕は割と複雑だったのだ。

そんな時に降って湧いた妻の冒頭の言葉。これには実はベクトルの違う、しかしどちらも決定的な重みが二つあった。

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