【日記】シーシャ屋がパパになって約半年経った
娘が生まれてまもなく半年。
長かったような気もするし、あっという間だった気もするし。
正直生まれる前は戦々恐々としてた部分も多かったんだけど、おかげさまで僕も奥さんもある程度ゆとりを持って子育てに臨めている。
というか、こういうnoteをゆるゆる書けるくらいの余裕はある。
効率厨でありシーシャ屋である父と、現役コンサルの母が臨む令和の子育て。
生まれるまでの8ヶ月と、生まれてからの半年分の備忘録。
1. シーシャ屋、父になる
妊娠発覚からの8ヶ月
2023年10月、奥さんの妊娠が発覚。
奥さんと結婚したのは2023年の1月だけど、交際を始めたのは僕がまだ大学1年生だった2017年の1月だったので、6年半にわたる2人だけの生活が一旦終了することが決まった。
で、そこから出産に至るまでの8ヶ月が大変だった。
僕じゃなくて奥さんが。
と言うのも、奥さんの趣味はお酒とシーシャ。どっちも妊娠中は厳禁。
正確に言うと飲酒は許容量があるんだけど、少しでも飲むとさらに飲みたくなってしまうと言うことで、8ヶ月にわたって趣味の2大巨頭が奥さんから剥奪されることが決まった。
加えて、会社外のコミュニティの9割をシーシャ屋さんに依存していた奥さんにとって、趣味に加えて人間関係まで剥奪されるという始末。
妊娠初期の眠りつわりも相まって、「これは大変だぞ…」という戦慄の幕開け。
妊娠も週数が進むにつれてお腹が大きくなり、赤子が動いてるのがわかったりするようになると少しは気が紛れたものの、初期は妊娠の実感というか便益があるわけでもなく、まさに1人だけコロナの自粛生活みたいな感じになった。
「出産も子育てももう1回やっていいけど、妊娠だけはマジで勘弁(奥さん談)」。
後期になると分娩をスムーズにするためにめちゃめちゃ散歩した。
2人とも読書が好きなので、東京中のブックカフェを巡った。
今までは休日のたびにシーシャ屋さんに行っていたので、強制的とはいえここに来てデートのバリエーションが増えたのは悪くなかったかな。
大変なことは沢山あったものの、必ず終わりというものは来る。
なんやかんやで8ヶ月が経過し、いよいよ子どもに対面する日がやって来た。
娘氏爆誕
選んだ産院は奥さんが生まれた病院。
うちは計画無痛分娩だったので、直前とはいえ生まれる日はあらかじめ分かっていた。
2024年6月20日、娘氏爆誕。
生まれるその瞬間までの経過は結構スムーズだったけど、3546gの大きめベビー。
奥さんは149cmと小柄なので、出血も平均よりかなり多く、最終的にかなり大変なお産になった。
どんなに医療が発達しても出産は命がけ。
本当にお疲れ様。ありがとう。
生まれたての新生児というのは基本寝ていて、3時間おきに空腹で目が覚めて泣くものの、ミルクを飲んだらまた眠る。
かわいいなと思いつつ、この時は能動的に動くことがあんまりないので、小さいなりに大きめな不思議な妖精みたいな印象だった。
で、迎えた奥さん退院の日。
黄疸で娘だけ退院が2日伸びたので、家に帰ると腹に赤子はいないけど、かといって部屋の中にもいないという不思議な状況が生まれた。
「とりあえず吸うか」
奥さんにとってマジで夢にまでみた8ヶ月ぶりのシーシャ。
多分彼女の人生で記憶に残るシーシャの上位3本には入ったと思う。
2日遅れて娘氏が無事退院。
いよいよ子育てが始まる。
2. シーシャ屋育児奮闘記
夫婦2人で育休を取得
娘の誕生に合わせて、僕も奥さんも育休を取ることになった。
前例がなさすぎるが故に逆に通ったことだとも思うけど、育休を取らせてくれたお店には感謝しかない。
奥さんは普通の会社員だけど、僕はフリーランスで経済的に不利になってしまうため、奥さんは1年弱、僕は3ヶ月取ることに決定。
お金の面では不利だったけど、既定の制度にとらわれず柔軟に稼働調整ができたのは良かった。
シーシャ屋さんは完全に店舗から離れてしまうと体力が著しく落ちてしまうということで、育休中も週1日だけ稼働することに決定。
3ヶ月経って育休が明けた後も、毎月週1日ずつ稼働を増やすという段階的な復帰をすることができた(2024年12月は週3日店舗、週1日通販で稼働中)。
コンセプトは「代替可能な育児」
子育てを始めるにあたり、事前に決めていたコンセプトがある。
それは、「代替可能な育児」。
夫婦2人で目指すべきゴールは、「夫婦ともども睡眠と趣味の時間を死守することで、常に笑顔で子どもに接する環境作り」。
これを達成するためのコンセプトが「代替可能な育児」というわけ。
何を言ってるかというと、パパもママもお互い育児の全工程をできるようにしておいて、いつでも交代できるようにしましょうね、と言う趣旨。
僕も奥さんも産前に戦々恐々としていたのが産後クライシス。
出産後、奥さんの人生に占める子どもの割合が大幅に上がり、それまでの夫婦関係に亀裂が入るというもの。
でもこれって結局、子育ての負担が極端に偏ったり、片方の親(多くは男親)が育児において戦力にならず、手伝ってもらえないどころか下手に任せようものなら逆に気が休まらない、みたいなのが一番要因として大きいと思う。
これはなんとしても回避せねばならない。
で、コンセプトを実現するために個人的にキラーパスだったと思うのが次の2つ。
①子どもの栄養源は完ミ(完全ミルク、母乳を使わない)とする
②里帰り出産はしない
①の完ミについて。
生まれたての子どもの栄養源のあり方は大きく3つ。完母(完全母乳)、混合(母乳とミルクを併用)、そして完ミだ。
完ミにすることで、男親と女親でできることの差異が完全に消滅する。
男親にできないのは、妊娠、出産、そして母乳。
完ミを選択することで、いざ生まれた後の育児に関しては、「でも俺それできないし」がただの言い訳になるってわけ。
混合は一見双方の良いとこ取りのように見えるけど、場合によっては赤ちゃんがどちらかしか受け付けなくなるリスクがある。これで結局完母になってしまったら元も子もない。
母乳にすると妊娠中に引き続き、奥さんの飲酒・喫煙制限が継続してしまうと言うデメリットも大きかった。
それから②の里帰り出産しないという決断について。
里帰りをしてしまうと、実家の両親のサポートをフルで受けられる代わりに、産後すぐの子育てに男親が不在になる。
里帰り終了後に男親が子育てに参加する頃には、夫婦の間で子育ての経験値に厳然たる差ができてしまい、代替可能性が下がってしまう。
ということで、我が家は里帰りはせず、産後は高田馬場の自宅に直帰するという形を選んだ。
これはうちの夫婦が共に首都圏出身で、両親をいつでも我が家に召喚できるというめちゃめちゃ恵まれた環境にあったからできたこと。
子育てをする環境は人によって千差万別なので、必ずしも選択できるわけじゃないというエクスキューズをしておく。
この2つの結果、我が家はシフト制育児を選択できるようになった。
産後1番の悩みは、3時間に一回やってくる授乳によって睡眠が阻害されること。
というわけで、我が家では22時から翌朝5時までの7時間を奥さんの睡眠時間と規定して、その間は僕がワンオペすることにした。
代わりに5時から12時までを僕の睡眠時間とさせてもらい、その間は奥さんがワンオペ。
どちらもワンオペできる土壌を作った上で、実際に毎日2人ともワンオペに取り組むことで、同じスタート地点から同じだけの経験値を積めるようになった。
お互い毎日7時間の睡眠が確約されるのも精神衛生上とても良かったと思う。
(2025年1月12日追記。
娘がまとめて眠れるようになった現在は、僕も奥さんも娘が眠る寝室で一緒に寝るスタイルに移行している。
ただし、深夜1時頃から朝8時まで奥さんには耳栓とアイマスクをしてもらって睡眠を確約。
その間の夜泣き対応は僕が全て引き受けつつ、できる範囲で仮眠。代わりに朝8時から追加の睡眠時間をもらっている。勤務開始が遅い仕事をしていてよかった。)
のちにお互い育児に慣れてくると、昼間のツーオペの時間帯も交代で家を抜け出し、片方がワンオペしてる裏でもう片方はシーシャ屋に行くというリズムも作れた。
こんな感じで我が家では、ゴールに掲げていた「睡眠と趣味を死守する」という部分をクリアし、いざ子どもに接するときは常に笑顔という状態をキープできていたと自負している。
何より、常にお互いがワンオペできるという状態はシステム用語で言うところの冗長性の確保につながり、障害に強くなる。
障害って何かっていうと、例えば片方が風邪をひくとか、丸1日潰れてしまう遊びの予定とか。
そもそもが2人ともワンオペできるようにしているので、万が一片方が離脱してしまっても一応回る。風邪を引いてしまったなら、もう片方がワンオペをしている裏で風邪をひいた側はひたすらポカリをがぶ飲みして爆睡し、最速で戦線復帰ができる。
遊びに関しても実績として、僕はお店のレクリエーションキャンプに行ってきたばかりだし、奥さんも推しのアイドルを観に高知まで遠征している。
頼れるものに頼りまくる
さて、代替可能性を確保する以外にも大事なこと。
それはトータルの労力を削減すること。
現代日本は素晴らしくて、ありとあらゆる便利グッズが登場してる。
もちろん「これいるか?」ってのもあったけど、「これが無かったら大変だぞ」ってものも沢山ある。
例を挙げると、日常の手間を削減してくれる哺乳瓶の消毒乾燥マシーンやおむつ専用ゴミ箱。子どもが1人で遊べるメリー。寝かしつけの難易度を下げてくれるスワドルアップ。寝た後の安心安全を確保するベビーカメラなどなど。
ウォーターサーバーもミルク作りの手間を大幅に減らしてくれた。いつでもお湯が出るというのは素晴らしい。
育児の負担を下げるために、頼れるものへの投資は惜しまなかった。
あとは家事の効率化。これは娘が生まれる前から進めてたこと。
ロボット掃除機の導入(うっちゃんありがとう)、照明やリモコンを音声操作できるスマートホーム化、レンジと冷蔵庫の買い替えなど。
中でもアレクサの導入は良かった。子どもを抱っこしてるとどうしても手が塞がりがちだけど、そんな時音声操作は便利すぎ。
あとぴよログっていう子どもの睡眠・食事・排泄の記録ができるアプリがあるんだけど、これもアレクサから操作できて良い。
そもそも育児を他の人に託してしまうというのもある。
産後ケアホテルの活用(神サービスだけどまぁ高い)、ベビーシッター(自治体の助成が使える)、両親の定期的な召喚(みんながみんな頼れるわけじゃない)など。
代わりばんこでリフレッシュというのは定期的にできているけど、夫婦2人でどこかに行きたいとなった場合、子どもを預かってくれる存在はありがたい。
こんな感じで、いかに効率化してサボるか、替えが効く存在になるかをひたすら追求したのが我が家の子育て。
乗り越えるものであると同時に楽しむもの
基本的に僕が効率厨なので、育児にまつわるタスクをどうこなすかみたいな書き方を沢山してしまったけど、大前提として子どもは超絶可愛い。
初めは無表情でほぼ動かない妖精さんだったのが、いつの間にか笑うようになり、物を持ち上げられるようになり、(まだ意味はわからないけど)めちゃくちゃ喋るようになり、表情がさらに豊かになり、寝返りをするようになり。
1週間単位でできることが増えていくなんていうのは大人じゃ考えられない。しかもその全てが「可愛い」を強化する方向の変化なんだ。
お腹は満杯でも抱っこしてもらえないと寂しくてギャン泣きしたり、眠れなくてグズってる時も添い寝をするとストンと寝てしまったり、身長164cmしかない父の高い高いに大はしゃぎしてくれたり。
少し前に軽井沢に行った時は、初めて見る一面の紅葉に大興奮して終始ニコニコしていたりと、感性の素敵さも見せてくれた。
寝不足が続いている時の大泣きなどで「勘弁してくれ」と思う瞬間がないわけじゃないし、慣れないことの連続に疲れを感じる時もあるけれど、この子と出会わなければ味わえなかった喜びが確かに存在している。
パパとしての向こう数年の夢は、娘と一緒にスイパラに行くこと。
甘党で良かった。
3. パパになって変わったこと
子どもは足枷なのか?
僕も奥さんも娘の誕生まではフルタイムで働いていたわけで、自分の時間はどこまで行っても自分のものだった。それが娘の誕生で大きく変わったのは事実。
以前常連さんに「子どもがいなければ今これができていたのにな、と思う瞬間ってあります?(意訳)」と聞いてもらったことがある。
部分的にはYesだし、部分的にはNoだ。
確かに今までと時間の使い方は大きく変わったけど、新しく自分の時間を振り分ける選択肢が増えたというのが感覚としては近い。
僕が子どもを可愛いと感じるタイプの人間だったことと、周囲の沢山の協力を得ながら基本的に楽しく育児ができる土壌を作れたことがものすごく効いている。
強いられてというより、自分に与えられた1日24時間を、最も自分が幸せに感じるように振り分けなおした結果、今までの趣味や仕事の割合が減り、そこに育児が入ってきたという感じ。
確かによそのシーシャ屋さんに行く機会は減ったし、交替要員を用意しなければ奥さんと2人でデートに行くことはできなくなった。
でも今は、娘を連れてのお散歩が楽しいし、娘が笑う瞬間を見られるのが嬉しいし、娘が寝ついた後に奥さんと観る映画は出産前よりも噛み締めて観れている。
パパとしてのペルソナとシーシャ屋としてのペルソナは不可分
仕事に割ける時間は確かに減ったんだけど、自分に占めるシーシャ屋さんという役割の重みはむしろ増えてる感覚がある。
というか、生半可な気持ちで仕事をしてる場合じゃなくなった。
シーシャ屋さんはやっぱり他の仕事に比べると寿命が短い。
どこまで行っても肉体労働だし、金銭的な天井も低めだ。それは否めない。
それでも僕はシーシャ屋さんとして一生を終えたい。いつか年齢の壁にぶち当たって、店舗にまともに立てなくなる瞬間が来るかもしれない。
それでもシーシャにまつわる仕事をして、飯を食い続けたい。
シーシャ屋さんである自分に誇りを持っているし、パパとして娘に接する時も、やっぱり僕は「外でシーシャ屋さんをやっているパパ」だし、それ以外ではあり得ない。
娘には自分の全人格をもって接していて、その人格とシーシャ屋さんという役割は不可分だ。
シーシャ屋さんとして成熟することで、パパとして果たせる役割もより大きくなっていくと信じている。だからこそ1年でも長くこの仕事を続けていたいし、年齢を重ねてもシーシャに関わり続けられるポジションを作っていかなきゃならない。
自分の子どもという約20年は自分の庇護下にある存在を持ったが故に、仕事に励まなきゃという責任感もある。
でもそれ以上に、自分よりも未来を生きることになる娘に対して、この世界が少しでも豊かで満ち足りたものであってほしい。
シーシャ屋さんという仕事がこの世界を豊かにしている事実を僕は知っているし、だからこそ今の仕事に邁進することは、娘がこの先生きていく世界を豊かにすることと同義だ。
君の父親がシーシャ屋さんであることが、君にとって幸福なことかどうかはまだ分からないけど、「パパがシーシャ屋さんでよかった」といつか思ってもらえるように。
明日も頑張ろう。
【シーシャ屋ばんびえん】
高田馬場と中野に計3店舗を構えるシーシャカフェ。
毎日14:00-24:00で営業。
【つー@ばんびえん / Daiki Tsukamoto】
シーシャ屋ばんびえんスタッフ。
「知って楽しい、真似して便利」をコンセプトとした #シーシャ雑学 をTwitterで発信中。
最近パパになった。