昔の友だち
少し前に高校の部活の同級生と10年ぶりくらいに集まって食事をする機会があった。
当時の部活の部長がみんなに声をかけてくれて同級生の5人が集まれる予定になった。
僕は文化系の部活に当時所属しており、僕以外はみんな女性。
久々に集まる機会があり、ワクワクする気持ちが8割、2割はよくわからないが何か違和感を感じていた。
ワクワクする気持ちは会える喜びとみんなが今何をしていているのか
気になっていたからである。
2割の違和感はよくわかっていないが、とりあえず楽しもうと思っていた。
いざ、集合場所に向かい再会すると高校生の頃と大きく変わってはなく、変わったことと言ったら、高校生の頃はあまりしていなかったであろうメイクをして綺麗になっていたことくらいだった。と再会直後は感じていた。
集合してお店に入店し、ドリンクを頼んで乾杯。色々な話をした。
昔の話や当時の写真を見たりなど、昔話に花を咲かせながらひと段落したころに、みんなの今に関する話になった。
まずは当時の部長から。
彼女は少し前に結婚をしていて、苗字も旦那さんの名前に変わっていた。
結婚後の生活の話や親から子供を遠回しに急かされる話、共働きで大変だけど、とても楽しそうな話であった。
続いて2人目の話。ここではAさんとする。
Aさんはこれから彼氏と同棲を始める予定だという話をしていた。
それぞれ一人暮らしをしていたが、一緒に住み、これから待っている少し先も未来に期待を寄せ、とても充実した生活を送っているようだった。
Aさんの話辺りから心の中にある何か違和感みたいなものを感じ始めていた。
3人目。Bさんは遠距離で恋愛をしている話だった。
毎月彼氏の所へ会いに行き、遠距離ながらもとても幸せそうな話だった。
4人目。Cさんは今の仕事に関しての話だった。
Cさんは高校卒業後に大学にはいかず、直ぐ就職をして働いていた。
その後紆余曲折ありながらも、今年の春頃に退社をして、企業して代表取締役になっていた。
CEOになっていたのだ。
これから事業を始めるにあたって、色々な準備をし、とても充実した生活を送っており、色々な夢も持っているようだった。
Cさんの話を色々聞いていくと、徐々に自分の中にある違和感が何なのか明確に、鮮明になってきていた。
違和感というのは、不安と焦りであった。
みんな10年もすれば、見た目は変わっていなくても、人間としてちゃんと大人になっていたのである。
自分は何か変わったのだろうか、何者かになれているのだろうか、愛する人はいるのだろうか、成長しているのだろうか、などと不安などに押しつぶされそうになった。
そんな気持ちを感じていたからなのか、お酒の飲むスピードは速くなり、酔いがまわるのも早くなり、そして酔っていないとまともに会話もできない自分の惨めさも徐々に大きくなるのだった。
10年という年月で大学は普通に卒業したし、普通に恋愛して、普通に就職。
社会のレールには乗って問題なく進んできてはいる。
ただ、レールには乗れているが、自分のレールに乗れていない感覚を感じていた。
普通過ぎてつまらない。何が楽しくて生きているのかもわからない。これから何をしていきたいのかもわからない。
社会のレールの先には自分のレールを繋げていかないとつまらない人生なんだと、30歳手前にしてやっと気付くことができたのかもしれない。
いざ、自分のレールを作ろうとしても何をしたらよいのかわからないし、何を作りたいのかもわからなくなってしまっている。
まずは、自分探し。
自分がどこかにあるのかは解からないが、どこかにあることを信じて一歩ずつ自分で選択した道を進んでいきたいと思うことができた食事会であった。
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