(世界史)フランス革命を読んで

約1週間ぶりの投稿となりましたが、今回は安達正勝さん著作の「物語 フランス革命 バスチーユ陥落からナポレオン戴冠まで」を読んでの個人的な感想を共有したいとおもいます。

いつも通りですが結論から申し上げると、以下3点に絞られるかなと。

① 変化というのは1日で変わるのではなく3世代(100年)程かけてジワジ
 と変わっていく。
② 良い悪い、偉大な人凡人という区別は振り返って初めて分かるもの。
③ 事はなるべくしてなるということ。

夫々の各論を述べる前に本書を手に取った背景から述べさせて頂くが、株式会社COTEN代表の深井さんのPodcastを通じて興味を持った。本書を通じ、月並みな感想になってしまうものの、改めて我々現代人が日々当たり前に考えていること・ものというのはフランス革命前まで(日本で言えば明治維新前まで)は当たり前ではなかったということを社会の変化とともに俯瞰して捉えることができた。そしてフランス革命というのは起こるべくして起こったと振り返って考えるしかないと感じる程に時代背景や社会構図と密接に関わっていると感じる。

まず①について述べたい。「パンをくれ」と唱えていた女性達や貧困民はまさか後に「革命」運動にまで発展するとは思いしなかっただろう。封建制度で他国に多大な借金を背負っていた当時のフランスは財政が困窮し、市民から9割の税金を搾り取っていた。文字通り人々は(当時、国民といった概念はなく、農奴として認識されていた人々は)飢餓状態にあった。そこから女性陣達も革命運動・戦争に加わり乍ら封建制度を打ち壊した。ただ一方でそこには0:100の割合革命派が社会変革を成し遂げていったはずがなく、一定数の反革命派や穏便派、どちらにも賛成しながら利己的に生きていく派閥(所謂ブルジョワジー)が混在しており、加えて既得権益としてぬくぬく生きてきた人々(当時のオーストリア、プロイセン、スペイン、イタリア、イングランド)から猛反発を受けながら「フランス革命」が醸成されていった。ビジネスの経営でも同じことが言えるのではないだろうか(まさにメタ認知)。経営者一人が一世代で変革できる可能性もあるが、決して多勢ではないと思う。先人達の仕掛けや思いを引き継ぎなら、自分たちの代で出来るベストな選択を取り続けた結果、世代を超えて漸く成し遂げられるものであると考えるきっかけを与えてくれた。

②について。フランス革命が勃興する当時の王はルイ16世。彼は幼少期の王家教育を受けながら、決して利己的に動くのではなく(当時の王様は国を自分のものとして扱っても良いと法的に見做されているものの)、なるべく国民に寄り添う形で、かつ実績としていくつもの変革を実施してきた(ギロチンの導入、農奴制の廃止、宗教の自由、海軍の補強等々)。なんとなく、「フランス革命前までの王はけしからん、だから革命が起きたのだ」と捉えがちだが、皮肉にも革命が勃興した当時の王様は真剣に且つ愚直にフランス国民に寄り添い、なるべく国民の意見を吸い上げる努力をとってきた立派な政治家だと考える。勿論、それだけでは抗えない程に困窮していた財政という背景があったのは事実であり、財政再建にてを付けられず仕舞い。結局は財政難が「革命運動」の最大の原動力となってしまったのは事実ではあるものの、生きる時代や社会情勢が違えば功績を残した偉人大王として捉えられていた可能性もあるのではないかと考える。つまり、人が何を成し遂げ、どのような影響を与えたかというのはその時々で判断はできず、振り返った時の社会情勢やその人の捉え方次第で随分と変わってしまう陳腐なものだと思ってしまった。

③について。②にも繋がる話ではあるが、歴史というのはその人が意図して起こした事件や物事が、意図通りにコントロールされたものはないと考える点である。言い換えると、その時々で思いつく考えや思想、下す判断というのは多分に社会情勢に影響を受けており、真っ白な状態から生み出したものではないのでは、と考える。「パンをくれ」と束になって訴え続けた人、三部会を開催することを決定したルイ16世の判断等々、当時其のような発言・行動を取った意図は意図通り動かず、後に壮大な波としてフランス・ヨーロッパ(我々日本の政治体制や制度も明治維新を通じて、フランス革命時代に発起された「ナポレオン法典」が輸入されベースとなっている)を襲い掛かったのである。
AIで予測ができる、自分のキャリアは自分で決める、未来は自分で作るものだ、といった人々の思いや意見を決して否定するものではないが、それらのビジョンは虚構であり、現に予測不可能な歴史を持った世界に身を置いて日々生活をしているということを認識することがまずは大事なのではないかと改めて実感した。

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