ラグビーW杯準決勝2試合目の見どころを書いてみる
前回の記事で、ニュージーランド VS イングランドについて書いたので、今回は、もう片方のラグビーW杯準決勝 ウェールズVS 南アフリカについて書いてみようと思う。
準決勝二試合目
ウェールズ対南アフリカ。
この2チームは、両チームともディフェンスが堅牢なのが特徴である。
堅守かつ展開ラグビーのウェールズ。
ディフェンスの完成度が高いことに加えて、セットプレーが安定していることが特徴である。ここまで5試合で、33回のマイボールスクラムを失った数はわずか2回。そういった、マイボールのセットプレーが、この試合の起点となると想定される。
またディフェンスだけでなく、ウェールズはボールを素早く回す展開ラグビーを得意とするチームだ。
特に、ウェールズのマイボールセンタースクラムからの攻撃には注目だ。
センタースクラムとは、フィールドの中央付近で行われるスクラムで、攻撃のオプションを沢山とれるのが特徴だ。
以下の図は、予選プールのオーストラリア VS ウェールズの後半2分のシーンである。このような位置で開始されるスクラムが、センタースクラムである。
右に展開するか、左に展開するか。ナンバーエイトがボールを持ち出しそれにスクラムハーフが付いていく、通称89と呼ばれるサインプレーか。スタンドオフが裏にキックを蹴ることも考えられる。バックスに展開すると思いきや、スクラムからすぐに離脱したフランカーにオフロードパスをすることもできる。
このような展開ラグビーが、南アフリカの堅いディフェンスを破れるか注目したい。
圧倒的なディフェンスの南アフリカ
次に南アフリカだが、ディフェンスにおいては世界一との呼び声もある。
ここで、南アフリカのディフェンスについて、クリーンブレイクという単語を使って説明したい。
クリーンブレイクとは、タックルしてくる相手プレイヤーに触られることなくディフェンスラインを抜け出すことである。
1試合でクリーンブレイクした数と勝敗には強い相関関係があるので、試合後のスタッツで注目されることが多い。
ここで、以下の表に注目したい。
この表は、予選プールを含めたここまでの5試合で、互いのチームがクリーンブレイクした数とクリーンブレイクされた数である。
南アフリカの、1試合でクリーンブレイクされた平均値は、なんと6.8回。これは驚異的な数字である。それだけ、南アフリカのディフェンスラインを突破することが難しいことがこの数値からわかる。それと同時に、クリーンブレイクした数でもウェールズを上回っているので、オフェンスとしての突破力も素晴らしいことがこの数値からわかる。
さらに南アフリカは、ゲインラインを突破された数でもすさまじい数値を残している。ラグビーでは、ゲインラインを割るということがしばしば重要視される。
ゲインラインとは、ラックなどの密集の中心地点にトライラインに平行に引く線のことである。以下の図に描くのがゲインラインである。
こちらの図が、一般的なオフェンスである。ゲインラインを少し前進させている。
それに対してこちらが、ディフェンスが強固な時の図。
ゲインラインが後退しているのだ。この時は、ゲインラインを割っていないということになる。
ラグビーはボールを前に投げることができないので、後ろにボールをパスしながら前に進む。このとき、ゲインラインを超えることができなかったら、事実上押し戻されていることになる。
おそらく最近ラグビーを見始めた方々でも、「攻めてるのにどうしてジリジリと下がっていってしまっているんだろう」と思ったことはあるのではないだろうか。つまり、相手にゲインラインを突破された数が少ないなら、それだけディフェンスが機能していることを表している。
南アフリカは、この数値がすさまじい。プール戦含めた5試合の平均数は、わずか27回。
このように、南アフリカのディフェンスラインを真正面から突破するのは、非常に難しい。それだけでなく、南アフリカの力強いフォワード陣の突破力もある。
これを、ウェールズの素早い展開力が上回るかどうかが、試合の鍵であり、試合の一番の面白さであるといえる。
通算対戦成績だと、南アフリカの28勝6敗1分と、南アフリカが大きく勝ち越している。しかし、2016年以降の試合に注目すると、ウェールズが4連勝しているのだ。
前回の2015年ラグビーワールドカップの準々決勝でも実現したこのカード(その際は、南アフリカが23-19で勝利)
ウェールズが史上初めての決勝進出を果たすか、南アフリカが優勝を果たした2007年大会ぶりの決勝に駒を進めるか。目が離せない試合となるだろう。
引用元:J spports オーストラリア VS ウェールズ
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