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実例解説!個人事業主が一人で事業再構築補助金をもらうためのマニュアル その⑥ SWOT分析攻略法

事業計画書を書く上の注意点は公募要領に詳しく書いてあります。

その注意点の1番初めの項目を見てみます。

1:補助事業の具体的取組内容
1 現在の事業の状況、強み・弱み、機会・脅威、事業環境、事業再構築の必要性、事業再構 築の具体的内容(提供する製品・サービス、導入する設備、工事等)、今回の補助事業で実 施する新分野展開や業態転換、事業・業種転換等の取組、事業再編又はこれらの取組につい て具体的に記載してください。

【現在の事業の状況、強み・弱み、機会・脅威】とあります。

これがいわゆるSWOT分析というものです。

はて?SWOT分析?

多くの個人事業主さんがそう思うはずです。当然私もそのうちの一人です。この公募要領を読んだその日に1冊の本を買いました。

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私はSWOT分析の言葉はなんとなく知っていましたが、そんな分析はしたことがありませんでした。ですが、別にできなくたって補助金には採択されるのです。


今回はこのSWOT分析を攻略していきましょう。


さて、SWOT分析とはなんなのでしょうか。

SWOT分析(-ぶんせき、英: SWOT analysis、SWOT matrix)とは、目標を達成するために意思決定を必要としている組織や個人の事業上の競合やプロジェクト計画などに関係する脅威について、外部環境や内部環境を強み (Strengths)、弱み (Weaknesses)、機会 (Opportunities)、脅威 (Threats) の4つのカテゴリーで要因分析し、事業環境変化に対応した経営資源の最適活用を図る経営戦略策定方法の一つである[1][2]。

Wikipediaより引用しました。

簡単にいうと、自社の内部要因を強みと弱みで分析し、外部環境を機会と脅威で分析するわけです。

じゃあ、この通りに分析すればいいんよね?

と思ったあなたは正直ものですが補助金に応募しても採択率は低いでしょう。正直に分析なんかしなくてもいいのです。なぜならこれを読むのは審査員なのです。コンサルじゃないのです。補助金事務局はあなたの正直な分析なんか求めてません。正直に分析するのはコンサルさんの経営サポートを受けた時にしてください。

ではどうすれば攻略できるのでしょうか。事例で考えていきましょう。

私の友人にリラクゼーション店を経営している人物がいます。彼が「事業再構築補助金でたこ焼き屋をやろうかな」と言い出しました。結局やりませんでしたが、この計画を事例にして解説していきます。「もしリラクゼーション店が店舗の一部を改装してたこ焼き屋をしたのなら」です。長いので「もしたこ」と略します。

まず普通に分析してみます。

当該リラクゼーション店の強み・弱みは、

強み:高級感ある癒し空間でのおもてなし、技術力の高いスタッフが揃っている、スタッフのホスピタリティが高い、地域に根付いている、遠方からの来院客も多い、長年の常連顧客が多い、備品が清潔である、高級タオルを使っている

弱み:新規集客が少ない、スタッフの離職率が高い、生産性が低い、顧客単価が低い、利益率が低い、営業時間が長い、休みが少ない

こんな感じでしょうか。想像で適当に書きました。なんとなくダラダラ書きがちです。

ところでこのSWOT分析はなんのためにあると思いますか?自己啓発させるため?自社の状況を把握させるため?

違います。

分析結果に基づいた再構築計画になっているかを審査するためです。

そのため、SWOT分析は計画から逆算して埋めていくのが効率的です。

「もしたこ」を実行すればどんな効果が生まれるでしょうか。リラクゼーションとたこ焼き屋に関連性があるとは思えませんが、無理矢理見つけていきます。

・リラクゼーション店とたこ焼き店のスタッフを兼任することで人件費節約

・リラクゼーションスタッフの空き時間にたこ焼きを焼かせてアイドルタイムをなくす

・リラクゼーション客がたこ焼きをついで買いすることで顧客単価が上がる

・たこ焼きを買いに来たお客さんにリラクゼーション店の存在をアピールして認知度を上げてリラクゼーションの集客につなげる

・ホスピタリティの高いスタッフにたこ焼きを売ってもらうことで一般的なたこ焼き店よりも接客クオリティが高い

こんなところでしょうか。

この中で一番効果的なのは「兼任による人件費節約」「空き時間にたこ焼きを焼いてもらってアイドルタイム解消」だと思います。これを補助計画の効果として打ち出すとします。そして、既存事業の「弱み」がこの効果によって打ち消される事業計画であると、分析結果に基づいたプランであると審査されるわけです。

そのため、既存事業の「弱み」の中に、「人件費が高い」「スタッフの隙間時間が多い」という項目は必ず入れなければなりません。

次に強みを考えます。

たこ焼きを買いに来るお客さんはどんなお客さんでしょうか?遠方から来るでしょうか?高級感を求めるでしょうか?

なので強みにある高級感とか遠方からのお客さんはいらないですね。逆に、「地元のお客さんが多い」とか、「主婦の来店が多い」とか「スタッフの人気が高い」とかたこ焼きを買いそうなお客さんにつながりそうな項目を入れるべきですよね。誤解してほしくないですが、嘘をつけってわけではないですよ。お店をやってれば必ず地元の人はくるし、主婦もくるし、人気のあるスタッフもいるでしょう。結果に関連する項目を優先して記述するべきだということです。

再構築計画による効果から逆算した強み弱みはこうです。

強み:地元に根付いた経営で周辺住民のリピート率が高く長年通われている方が多数、ホスピタリティの高いスタッフが揃っている、女性客が多い、技術力が高い

弱み:人件費が高い、隙間時間が多く経営効率が悪い、サービスがリラクゼーションしかないため売上が少ない、コロナで来院数減少、新規集客少ない

強み弱みに基づいた再構築計画のあらすじはこうです。

コロナウイルスの影響で来客数が減少。提供メニューが一つしかないため売上が下がり、高い人件費やスタッフの隙間時間が経営を圧迫していた。そこで、コロナ禍で内食機運が高まっていることを活用し、店舗の一部を改装して粗利率の高いたこ焼き店を運営。たこ焼き店の運営は既存事業のスタッフを兼任させることで既存事業の高い人件費と隙間時間を解消。提供できるメニューが増えることでトータルでの顧客単価を上げることができる。弊社顧客は地元住民が多いため、たこ焼き店の認知度を最初から高めることもできる。また、たこ焼き店への顧客に既存事業の存在をアピールすることで集客力も強化できる。

こんな感じでしょうか。強み弱みに基づいた事業計画に見えませんか?補助金の事業計画には一貫したストーリーが求められます。そのため、結果から逆算した強み弱みにするとストーリー性が高まります。

あとはこれを元に膨らまして事業計画をたてればなんとなく受かりそうじゃないですか?知らんけどw

リラクゼーション店がたこ焼き屋やるのはちょっと苦しいけど、熱意が有ればもっと上手に書けるかもしれません。私にはそんな熱意がないのでこれ以上はうまく書けません笑

そんな感じで、機会・脅威も同じ要領で、結果から逆算して埋めていきましょう。

以上、SWOT分析攻略法でした。 

ほんとはSWOT分析は自社を分析するには有効な手法なので、暇な時にやってみるのもいいかもしれません。


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