バンコクの電動TukTukとライドシェアビジネスの現状
バンコクに住んでいていつも思うのは、交通渋滞と大気汚染が改善されたらいかに快適に住みやすくなるかということです。特に、雨がほとんど降らない乾季に目抜き通りのThanon Sukhumvitを窓全開の安い日本製のバスに乗って渋滞に嵌るとこの思いを新たにせざるを得ません。バンコクではコロナ禍でマスク着用が増えましたが、バンコクの排気ガスから守るためにもマスク着用が必要と思うくらいです。
タイ政府が推進するEV(あるいはハイブリッド車)が普及し、バンコクの路上から排気ガスをたっぷり出す古いバスやガソリン車が少しでも減っていけば、バンコクの空気も大分改善する可能性があると思います。
今回は、バンコク交通事情の改善に少しでも寄与すると期待されるライドシェアアプリの「muvmi」を取り巻く現状と将来性を考察したいと思います。
電動Tuk Tuk、MuvMiとは?
タイのトゥクトゥク(Rot Tuk Tuk)は、インドのauto rickshawと似ていますが3輪自動車を改造したタクシーです。カラフルなデザインが目を引く乗り物で観光客に人気なだけでなく、公共交通機関が発達していない地方でもよく利用されています。元々は日本でもこうした3輪自動車は存在していましたが、タイに3輪自動車をODAの一環で輸出していた経緯があり、その後60年代からタイでも本格的に生産が始まりました。
このTuk Tukなのですが、小回りが利くことから短距離の移動にとても便利な優れものです。ただ、メーターが付いてないのでタイではしばしば観光客とトラブルが発生します。先月もタイのTuk Tukを利用した日本人観光客にオーバーチャージした罪でTuk Tukの運転手が警察から罰金と講習を受けさせられたとの報道がありました。また、タイでTuk Tukを運転するには専用免許が必要であり、外国人は運転できません。
私の感覚ではTuk Tukはタクシーよりやや割高な気がします。ちょっとの距離を移動するにも外国人だと100バーツから200バーツくらいをTuk Tukのドライバーがニヤニヤしながらふっかけてくることはよくあります。ただ、メーター付きのタクシーに限っての話ですが、タイでは初乗り2kmまで46.5バーツ(約200円)なので、法規制やタクシー業界による参入障壁の高い東京で初乗り2kmタクシーを走らせただけで700円以上もかかる点を考えればそれでも安いとは思います。
バンコクという世界でも有数の交通渋滞が激しい都市において、このTuk Tukの長所を生かし、環境にも優しい電子Tuk Tukが普及してきています。このEV配車アプリ、muvmiを運営しているのはUrban Mobility Techというスタートアップなのですが、他のride-hailingアプリであるGrab、Bolt、Lineman、inDrive、Airasia rideといった大手プレイヤーの一角に食い込んできています。
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