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4つの義務 28
藤林邦夫の3分メッセージ(『生きる楽しみ』1991年版、pp.38-39。)
イエス・キリストを試みようとして、
「カイザルに税金を納めて良いでしょうか、悪いでしょうか」
と問い掛けた人がいました。
それに対して、イエス・キリストは
「なぜ、私を試そうとするのか?税を納める貨幣を見せなさい」
と言われました。
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彼らが見せたデナリ貨幣には、肖像が刻まれていたのです。
「これは誰の肖像か、誰の記号か?」
「カイザルのです」
「それでは、カイザルのものはカイザルに、神のものは神に返しなさい」
こうイエスは答えられたのです。
この鮮やかな答えには、イエスを罠に陥れようとしていた人々も、驚嘆するほかなかったのです。
ある日本人がフランスのパリで、ヨーロッパの事業家と食事をしていました。
もう夜の10時だというのに、そのレストランの向こうにあるビルの、日本企業のオフィスには、煌々と電気がともり、仕事をしている様子です。
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それを見て、ヨーロッパの人が
「市民には3つの義務がある。
それは家庭に対する義務、職業に対する義務、コミュニティに対する義務
だ。日本人は、その内の1つの義務しか果たしていない。
1つの義務しか果たさないのは、軍人か、囚人だ。きっと彼らの働いてい
る組織も、軍隊に似た組織なのだろう」
と言ったそうです。
神の子・キリスト者には、カイザルのものはカイザルに、神のものは神に返す、すなわち、今もう1つの義務、神のものを神に返すことも加えて、4つの義務があると思います。
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要は神のものを神に返そうとしないところから、仕事、会社への忠誠だけの人間と、その社会になってしまうのです。
イエスの言葉は、古くて、新しい真理の言葉です。
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<著者紹介>
藤林邦夫 1935年(昭和10年)生まれ。日本純信聖書学院自主退学、京都福音教会で、35年牧師として従事。ホザナ園園長も務めた。1992年2月26日、56歳で召天。この一連のエッセイは、亡くなる直前に、4年間にわたり、3分間テレフォン・メッセージとして書き溜めたもの。
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