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勘違いが狂わせた

 ごく普通の中流階級の家庭で育ち、両親の共働きもあってか不自由なく成人した。
 貧しいなんて1ミリも感じなかったけど、どこか乾燥したような心だった。何一つ夢中になるものもなく、女好きは小学生の頃からで、音楽は17歳からだ。何をしても継続はしないが、未だにその2つは好きだ。
 継続性もなく、飽きるというより諦める方だ。やらずとも自分には無理だと決めつけていた。自分に自信が何故ないのか?分からない。とある先輩にも言われた事があった。自尊心はとてつもなく高くやればなんだって出来ると思ってた。だからいざとなればと思っていたが、いざとなる事もなかった。そんな事してもいないから。

 ずっと観てなかったドラマを観た。好きな俳優さんが出ているから。でもつまらない気がするから観てなかったけど、観たらやっぱりつまらなかった。そんなもんだ。

 つい先日、友達が言った。何者でもない自分が結婚なんて考えられない。同感だ。とある芸人の半生を描いたらしいドラマを観た。同じ事を10代で言っていた。その芸人には、芸人の夢があって何者かになっていたし、女優と結婚していた。俺は何者でもないし、夢なんて腐るほどみてはすぐに諦めて捨てた。都合の良い理由を付けて。でも自分がなりたいような大人にはなっていた。その先を描けてない私は綺麗に転がり落ちた。

 自分を見つける事ができず、チャンスを見逃してきた。いや、正確には気付くことも無かった。そんなレベルの男だ。まだマシだとも思いはするが果てしないテッペンを見上げる方が程遠く、下では閻魔様が笑ってる。
 
 とあるユーチューバーも良い事を言っていた。10あるうちの全部を変える事はない、間違ったと思う最後の2.3修正すれば良い。私は意外と人生の前半を間違っていたような気もするから、修正が大変だ。取り戻そうともするけれど、墓場の方が近寄ってくる速さに驚いている。
 お金は引換券だ。何と引換えしたいかがないと意味がない。そんな事も別のユーチューバーが言っていた。下手に努力せずに棚から牡丹餅のように得たお金はすぐに消えたし、確かに何に引き換えたかって言ったらコンプラ的に問題になるから言わないが、まぁ想像つくような歩みをしている人たちの肥やしになったりしただろう。

 私の勘違いはリーマンショックが余波のように、ボディブローのように効いていた。しかしそれすらも感じない程の30歳だった。20代半ばで、収入が1000万を越えていたあの頃。それも実力でもなく単なる運と他力だ。某社の倅を観て思い出した。要はあんな感じだったのだろう。それよりも酷かったかも知れない。

 しくじり先生では無いけれど、でもしくじりだと思うし、このしくじりは話せるよなぁと思う。きっと普通の人はつまずく事はないだろうけど。

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