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『さんばん侍〈二〉 麒麟が翔ぶ』(小学館時代小説文庫)

拝金老中、歯ぎしり!  心を商う侍が戦う! 

老中格の田沼意次は、駿州田中藩の改易を企んでいた。
田中藩が借金している酒問屋麒麟屋を倒産に追い込み、藩と店を共倒れにしようとしているのだ。
片や、次代藩主の本多正供は、算盤に長けた勘定方の鈴木颯馬を麒麟屋に送り込む。
麒麟屋の大番頭へと身を変えた颯馬は、田沼の罠を次々と打ち破るが、ついに破綻の危機が訪れてしまう。
麒麟屋は一年の商いの大半を春の新酒の買い付けで賄っているのだが、田沼の陰謀のため、今年は仕入れられなかったのだ。
みな諦める中、颯馬はある秘策を思いつく。
そのためにはまず、銘酒にも引けを取らぬ「藤酔」を仕入れなければならない。急ぎ駿河国藤枝の蔵元へと旅立つ颯馬と麒麟屋のひとり娘・紬。道中、刺客に襲われながらも、ふたりは沼津まで辿り着く。
が、目の前には橋から身投げしようとする男が。
引き止めてみれば、取引先から預かった五十両を掏られてしまったという。
死んで詫びようとする男に、颯馬は金より命が大切と、持参した手付け金すべてを渡してしまうのだった。
ようやく無事に「藤酔」の蔵元に着きはしたものの、手ぶらの颯馬は一体どうするのか? そして、一発大逆転の秘策とは?


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